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ANA客室乗務員は見た! JAL全盛期の“光”と“影”

坂の上の雲【ANA編】

2010年1月28日(木)

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 書くべきかどうか散々悩んだ結果、やはり書くことにします。私がANAの国際線の客室乗務員(CA)として勤務している時に感じていた、JALとANAの“違い”についてである。

 迷った理由は、二つ。一つは、私が勤務していたのは4年間だけだったということ。二つ目に、CAは専門職であってその限られた空間での出来事に基づく考察であり、しかもJALについては、“きっと”や“らしい”という憶測情報も含まれているからである。

 だが少し見方を変えて考えてみると、現場で実際に“感じたこと” は研究材料としては至極好材料であり、私が感じたことを企業研究に置き換えてみれば4年間は十分過ぎる期間でもある。しかも、ANAという会社にもJALという会社にも、さほど強い思い込みを抱いていない、キャリア志向が高くもないイチCAの“感じた”出来事にはあまりバイアスがかかっていない。

 そこで、あくまでもANAで実際にあった出来事を軸に、企業が存続し続け、元気であり続けるためのヒントを考えるという視点で、いささか手前みそで恐縮であるが書くことにした次第です。

「時代はANA!」は真っ赤な嘘、むしろ「ダサくてウェット」

 時代はANAが国際線に就航して2年目の、「JALに追いつけ、追い越せ!」が全日空社員の合言葉だった頃に遡る。ANAの国際線は、ロサンゼルス、ワシントン、シドニーの3本の長距離路線と、グアム、香港、北京(大連経由あり)、ソウルの4本の短距離路線のみ。成田にいる客室乗務員もわずか500人程度だった。

 それでも当時の学生たちの間には、「時代はANA!」という風潮があり、「スッチーになるなら、勢いのあるANAでしょ」という単なるイメージだけで、私はANAに就職した。

 そんな私が、ANAとJALの“格差”に愕然としたのは、3カ月間の訓練を終え、成田に配属された初日だった。

 初フライトのオリエンテーションを受けるために初めて出社した成田のANAオペレーションセンターは、ターミナルから離れた場所に建てられた2階建てのプレハブ小屋だった。よく建設現場などで、そこで働く人が一時的に使うために建てられるような、実にそまつで、小さな建物だったのである。

 一方のJALは、ターミナルの目の前に(当時は第1ターミナルのみ)、鉄筋の高層ビルを構えていた。颯爽とそびえ立つビルは、「私たちがナショナル・フラッグ・キャリアです!」と言っているような気高さをもっていた。

 しかも、ANAではフライトに出発する時に、プレハブ小屋に響き渡る音量で映画『ロッキー』のテーマ曲をかける。スタッフは全員玄関に集合し、CAが見えなくなるまで手を振り続けていたのである。

 「うわぁ、ダサっ」。最初に抱いた感情である。

 海外の空港でもJALとの格差は歴然としていた。
 ANAが誘導される駐機場は「ここも飛行場なの?」と疑いたくなるほど、入国審査場までが遠い。一方のJALは比較的いい場所に駐機し、しかもいくつものツルのマーク入りジャンボが列をなして止まっていた。

 「国内だと逆にANAの飛行機ばかりでJALは少ないのに。海外で遠くに一機だけポツリと止まっている青い翼(ANA)を見ると、なんだか愛おしいわ」と国内線から移ってきた先輩CAたちが、よく言っていた。

 これが私が最初に目にし、感じたANA。「時代はANA!」と思って入社したのに、実際のANAはちっともカッコよくなかった。しかも確実に、JALとの距離があった。いや、ありすぎる、といったほうが正確かもしれない。

 でも不思議なことに、私を含め多くの同期CAたちも、そんな“ダサく”て、“よわっちい”ANAがキライじゃなかった。すごく好きではないが、キライじゃない。「ANAってダサいよね~」っと、温かく、そう、温かく笑っていたのだった。

 それはきっと、フライトに向かうCAたちを、ロッキーのテーマをかけて手を振り続けてくれるスタッフたちの存在があったからかもしれない。あるいは、「がんばってね」と優しく声をかけて降りていってくれるお客さんたちのおかげだったかもしれない。

 いずれにしても、私たちは、JALの“クール&スマートさ”を少しばかりうらやみながらも、ANAの“ウェット&ダサさ”を受け入れていたのである。

 そんな未熟なANAの現場は、すべてが試行錯誤の連続だった。

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「ANA客室乗務員は見た! JAL全盛期の“光”と“影”」の著者

河合 薫

河合 薫(かわい・かおる)

健康社会学者(Ph.D.)

東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(Ph.D)。産業ストレスやポジティブ心理学など、健康生成論の視点から調査研究を進めている。働く人々のインタビューをフィールドワークとし、その数は600人に迫る。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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