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イノベーションとは、後から「あれがそうだったのか」と気づくもの

  • 常盤 文克

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2010年1月29日(金)

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 近頃、「イノベーション」という言葉を目にする、耳にする機会が多くなりました。リーマンショック後の閉塞感を打ち破って経済に革新を起こしたい──そんな気持ちの表れなのかもしれませんが、どうも言葉だけが一人歩きしているように思えてなりません。

 国や企業がイノベーションの重要性をいくら叫んでも、大きなイノベーションを起こすことは容易ではありません。しかし、イノベーションにつながるような小さな芽は、研究や生産の現場に、また顧客と市場の接点にたくさんあります。そこで問題は、これらの芽をどう育て、どうつないで、イノベーションという花を咲かせるかです。

 イノベーションにも大小さまざまあります。最初から画期的な大きなイノベーションを狙うのは難しくても、小さな芽を上手に組み合わせて生かしてやれば、小型か中型のイノベーションなら起こせるでしょう。そして、それがやがて、大きなイノベーションにつながっていく可能性を秘めているのです。

 イノベーションというと「技術革新」をイメージしがちですが、決してそのような狭い意味だけでありません。広い意味での革新──つまり、方式や制度、組織などの古い枠組みを壊し、新しい仕組みを作り上げることが本来の意味です。

定説は「待ち針」にすぎない

 イノベーションという言葉を経済や企業経営の世界で広めた経済学者、ヨーゼフ・シュンペーターは、こう指摘しています。「生産・技術の革新に限らず、新商品の開発、新市場の開拓、さらには新しい組織の導入に至るまで、あらゆる分野でイノベーションは存在する」。そんな意気込みで臨むべきなのです。技術の側面だけでイノベーションを語っていると、どうしてもハードウエア志向になってしまいますが、ハードだけでは物事は変わりません。日本人が陥りやすいのは、ここです。

 イノベーションを起こすには、既存の概念にとらわれず、自由な発想で物事を考える必要があります。また、いわゆる定説にこだわったり、過去の成功体験に酔ったりしていては、決して新しいものは生まれません。ハードだけでなく、ソフトの思考も重要です。

 歴史民俗学者の石井米雄さんは、「定説は『待ち針』にすぎない」と言っています。裁縫で先へ先へと縫い上げていくには、ある程度まで縫い進んだら仮留めの待ち針を抜かねばなりません。従来の発想や既成観念、過去の成功体験などは待ち針のようなもので、抜いてしまわないと先へ進めず、そこからはイノベーションは生まれません。

 待ち針を抜いた先で新しい世界に出会うには、自社という「たこつぼ」の外に出て、積極的に外の異質な人材やモノ、技術と接し、交わることが大事です。

 よく「知の交流」と言いますが、大切なのは完成した知の交流ではなく、何か未知のものが混じり合う「知の混流」をつくることです。異なる知が深く混じり合うことによって、まったく予期しなかった新しいものが生まれ、新しい流れができてくる――これがイノベーションにつながっていくのです。

 何度かお話もしましたし、「そんなことはもう知っている」方も多いと思いますが、順を追っていきましょう。

 シュンペーターは「イノベーションとは新結合である」と主張しています。これは要するに、社内外にあるいろいろな経営要素(人、知、技術など)をグローバルなネットワークの上で上手に結合して、新しい価値を創造していくことです。言い換えれば、世界に点在するあらゆる経営要素を網の目にように有機的につなげていく、知の「メッシュ化」です。

 メッシュ化を実践している企業は少なくありません。アップルやグーグル、サムスン電子、日本企業では任天堂やユニクロなどがそうでしょう。アップルの「iPod」や任天堂の「Wii」は、いずれも技術的に特に高度というわけではありません。社外に点在する技術や人材、生産拠点などを取り込みながら、自分たちの思いを商品の形で実現させ、結果として大ヒットになりました。外部のリソースをメッシュ化して結び、融合するところにイノベーションが生まれたのです。

「心の付加価値」の重要性

 メッシュ化によるイノベーションを成功させるには、3つの重要な要素があります。

 まず1番目は「コトづくり」です。モノありきで考えるのではなく、リーダーが大きな夢、熱い思いを抱き、それをチームで共有し、その実現に向けて同士が一丸となって取り組む。そういった仕組み、仕掛けを作る、すなわち「コト」という活動のインフラを作ることです。これがイノベーションの出発点になります。

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