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「交通基本法」がやって来る

競争規制と社会的規制のすり替えにご注意を

  • 大矢 昌浩

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2010年2月2日(火)

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 民主党政府が交通運輸行政の憲法となる「交通基本法」の制定を進めている。今年6月をメドに検討会の答申をまとめ、次期通常国会に法案を提出する見通しだ。

 民主党は2002年と2006年にも社民党と共同で同法案を国会に提出しているが、いずれも審議未了で廃案となっている。しかし、与党となった今回は成立する可能性が高い。

 民営化と規制緩和、そして道路整備重視という流れが逆転する。自民党政権時代の交通運輸行政から180度転換することになる。

国民の移動する権利

 当然、物流は大きな影響を受ける。輸送機関の公営化と事業規制の強化が進む。モーダルシフトによる環境負荷低減も促進されるはずだ。

 ただし、市場競争が停滞することで、物流の生産性や利便性は低下しそうだ。自民党の“道路族”や“運輸族”に代わる新たな利益集団が登場する恐れもある。

 民主党の交通基本法は、国民の移動する権利を基本的人権の1つとする「交通権」と呼ばれる考え方をベースにしている。

 自動車免許の取得や車両の保有が困難な人、あるいは僻地の住人に対しても公共交通機関を平等に利用できることを保証するもので、貨物輸送における国民の権利もそこに含まれる。

 環境面も重視した社会主義的な色合いの強い理念であり、公共交通機関の民営化や規制緩和による効率化を是とする新自由主義政策とは対立する考え方だ。

 実際、フランスでは、1981年に保守党から政権を奪取したミッテラン社会党が、その翌年に交通権を明記した「国内交通基本法」を定めている。

 同様にイギリスでも、保守党に代わって政権を取った労働党のブレア首相が「2000年交通法」によって、それまでの自動車重視の交通政策を大きく転換した。

 日本では、国鉄の分割・民営化に反対の立場を取る労働組合関係者や学者たちによって1986年に「交通権学会」が組織され、フランスを模範とする交通権運動が展開されてきた。

 しかし、自民党政権時代には日の目を見ることはなく、国鉄の民営化から時間が経つにつれ結成当初の主要なメンバーたちが徐々に離脱し、活動は下火になっていた。

 それが労働組合を支持母体とする民主党への政権交代によって、にわかに息を吹き返した格好だ。

 民主党は先の総選挙のマニフェスト(政権公約)で、自動車中心の都市計画を転換する「総合交通ビジョンの実現」と、交通権を明記した「交通基本法の制定」を公約している。

 具体的な政策としては、市街地の路面電車(LRT:Light Rail Transit)やコミュニティバスへの補助を促進することなどが挙げられている。そのために交通行政を含めた街づくりの権限も地方自治体に移譲する。

 これらの交通ビジョンや交通基本法の理念は、民主党が同じマニフェストで掲げた高速道路料金の無料化や暫定税率の廃止とは大きく矛盾している。

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