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第2回 SAMURAIは「価値のないもの」に敏感であれ

2010年2月2日(火)

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 仕事をしていく上で、世の中に「自分を知ってもらう」ことの大切さ、そしてそれが「重要だね」と分かってもらうことの難しさを、前回の「『佐藤可士和』は偶然ではない」で、佐藤可士和(クリエイティブスタジオ「SAMURAI」代表)さんのパートナーにしてSAMURAIのマネージャー、佐藤悦子さんから伺いました。

 言われてみれば当たり前のこと。でも、「企業」「組織」「製品」を世の中に知ってもらうために引く手あまたの、佐藤可士和さんですら、最初は理解できなかったことでした。「なぜ僕が、仕事と直接関係のない仕事を」と訝り、その意味と価値を実感するまで相当の時間がかかったとのこと。それも、傍らで「今の貴方はこう見えている。だから、このままではと世の中には伝わりにくい」と、鏡の役割をしてくれる人がいても、です。

 「目の前の仕事をちゃんとやればいい」。それはそれでひとつの分野のプロたらんとする「オトコらしい」仕事の姿勢なのですが、つい自分を鏡に映す作業を、そしてその鏡の中の自分を変えていく作業を軽視しがちになるのでしょうか。

 今回は、脱・オトコらしさの第一歩として、「鏡ののぞき方」を盗んでみたいと思います。佐藤悦子さん自身の体験談から、清野さんに聞き出してもらいましょう。(編集Y)

清野 前回、「佐藤可士和」という存在は、佐藤悦子さんにとって、「クラランス」「ゲラン」といった化粧品と同じく、ブランド開拓の対象だった、と発想の原点をうかがいました。その、ブランドを作っていくプロセスが楽しいと発見されたのは、いつぐらいのことなんですか。

佐藤 えーと、博報堂からクラランスに移ってからですかね。

清野 博報堂時代は、そうは思えなかった?

佐藤 今から思えば、私はブランドを作っていくことがやりたかったから広告代理店に入ったんだ、と説明できるのですが、学生のころはそんなにうまく考えが整理できていませんでした。

清野 学生の頭だと「なんか代理店って面白そう」ぐらいですよね。

佐藤 はい、その程度で。しかも晴れて広告代理店に就職しても、知識も経験も下積みもないまったくのぺーぺーが、ブランドなど作れるわけもなく、私の新卒就職時代は、よく分からないうちに怒濤に流されて終わってしまった、と。

画像のクリックで拡大表示

清野 ちなみに博報堂では、どんな仕事をされていたんですか。

佐藤 最初に配属された営業局時代は、クライアントの広告が載った雑誌を、クライアントの手許に届ける仕事がスタートでした。毎朝、雑誌30冊×2~3束を持って回る仕事で、人間バイク便と呼ばれていました(笑)。

清野 交通手段は?

佐藤 電車です。タクシーは認められていませんでしたから。

清野 博報堂といいながら、けっこう地味ですね。

佐藤 やってることは、全然、地味です。

「今日も怒られた」と泣く日々

清野 私もクリエイターになりたい、という思いはなかったんですか。

佐藤 その志向はまったくありませんでしたし、今でもないですね。営業に配属されても、クリエイティブへ転局したい、という人は多かったのですが。

清野 なぜでしょう?

佐藤 自分にそういう才能がない、ということを、よーく自覚していたので。

清野 どういう風に自覚していたのでしょうか。

佐藤 博報堂では営業もクリエイティブ会議に同席します。

 その場で、たとえばそのクリエイティブの企画は弱くてダメだろう、ということは分かる。ですが、だからといって代わりのアイディアは自分からはまったく出せない。何かアイディアを聞かれても、答えに窮する。

 かといって実務もそれほどのことはまだできないですから、振り返ると、本当にだめだめな社員でしたね。だから毎日、上司とかクライアントとか、いろいろな方面から怒られていました。同期と女子トイレで「今日も怒られちゃったよ~」と泣いたりもしていました。

清野 にわかには信じられない過去です。

佐藤 でも、これ、自分に合ってないな、これ、少しイヤだな、と思う仕事でも、与えられた仕事は一生懸命やりました。そこを抜け出して、仕事が面白い、と思うようになったのは、営業局から雑誌局に転局してからです。

清野 営業局と雑誌局の違いは、どのようなものだったのですか。

たとえば、いま化粧品はどうやって「知ってもらう」べきか

佐藤 営業局では決められたクライアントを担当し、そのクライアントのTVCFやグラフィック広告などの制作や、そのために必要なマーケティング、作った広告を露出するための媒体計画、また販促計画など一連の作業を、各局の専門スタッフと共に担当します。

 雑誌局は文字通り、雑誌の出稿計画に関するすべてのことを扱い、全営業局から持ち込まれる依頼に応じて、担当する出版社とのタイアップや特殊広告などを立案して、実施までのプロデュースを行います。

清野 なるほど。

佐藤 たとえば、女性誌のタイアップ企画だったりすると、こんな私でもアイディアがどんどん出てきて、しかも、それが採用されて評価もされる。で、その醍醐味を本当に実感するようになったのが、博報堂からクラランスに移ってからです。

清野 外資系化粧品のプレスというと、マスコミの人と会ったり、パーティを開いたり、といった“社交ビジネス”の感が強いのですが。

佐藤 仕事として多くの方々に会うことは確かですが、それ以上にブランディングの思考法が問われるポジションでした。

 誤解を恐れずに言えば、今、この時代に化粧品って、どこの何を使ってもそんなには変わらないと思うんですね。

清野 あらら。

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「第2回 SAMURAIは「価値のないもの」に敏感であれ」の著者

清野 由美

清野 由美(きよの・ゆみ)

ジャーナリスト

1960年生まれ。82年東京女子大学卒業後、草思社編集部勤務、英国留学を経て、トレンド情報誌創刊に参加。「世界を股にかけた地を這う取材」の経験を積み、91年にフリーランスに転じる。2017年、慶應義塾大学SDM研究科修士課程修了。英ケンブリッジ大学客員研究員。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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