「河合薫の新・リーダー術 上司と部下の力学」

“女”じゃ、ナゼいけないのですか?

“差別”を引き起こす「数の論理」

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2010年2月4日(木)

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 この先、“男社会”の終焉はやってくるのだろうか。

 きっとない。おそらくない。多分ない…。そして、「仕方がない」と、あきらめなくちゃいけないのか…。

 そんな気持ちにならざるを得ない出来事が立て続けにあった。

 希望退職という名の“クビ切り”が、男たちをますます群れさせ、女たちをますます孤立させた。

 知り合いの3人もの女性が上司から突然呼ばれ、「辞めてもらうと助かるんだけど…」と、屈辱の一言を浴びせられた、という。

 いずれの女性も、そんなことを言われてそそくさと「そうします」と従うほど“ヤワ”じゃない。それなりの覚悟をし、苦労を経験しながら、男社会を生き抜いてきた女たちだ。当然ながら断った。

 だがそれで彼女たちの上司も、「そうですか」とすぐに引き下がるわけにもいかなかったらしい。

 結果、それぞれの会社で、それぞれの“報復人事”が行われたのである。

A子・・・ 電気メーカーの技術職だった彼女は、総務に転属を命じられた
B子・・・ 商社に勤めていた彼女は、関連会社に転籍となった
C子・・・ 広告代理店に勤めていた彼女は、××戦略室という、名ばかりの窓際に追いやられた

「そろそろいいでしょ? 海外勤務もしたし、結婚もしたし・・・」

 彼女たちの証言によると、彼女たち以外にも同年代の女性たちが同じ“被害”にあったそうだ。「そんなに辞めてほしけりゃ、辞めてやる」と退職の条件をつり上げ、辞めていった同僚もいたという。

 彼女たちの名誉のためにも断っておくが、今回の出来事は、彼女たちがもともと肩たたきされても仕方ない人たちで、たまたま“女性”だった、というわけでは決してない。

 いずれの女性も私がこれまで一緒に仕事をしたり、取材をしたことがある人物で、男性だからとか、女性だからとか、全く感じさせない仕事ぶりだった。当然ながら、私は彼女たちの上司ではないし、彼女たちと同じ職場で働いているわけではないから「100%違う」とまでは断言できない。だが少なくとも彼女たちの働きぶりを見る限り、たまたま“女性”とは考えにくい。

 商社に勤めていたB子は、女性初の海外勤務を命じられたというキャリアの持ち主で、数年前に会社からの推薦を受けて私が取材した女性でもある。

 当時、彼女の上司だった男性は、「うちの会社は女性でも能力を発揮できるようになっています。ほら、彼女などは、女性として初めて海外支店に異動になり、経験を重ねてきました。うちの会社では、“だから女は…”なんていう社員は一人もいません」と散々彼女を持ち上げていた。

 彼女は帰国後、女性初の役員か、と期待されていたほどだった。

 「所詮、会社は男が群れをなす絶好の場所。散々私を持ち上げていた上司が、“そろそろいいでしょ? 海外勤務もしたし、結婚もしたし、退職金だって増やすって言ってるんだから。どう?”だってさ。ふざけてる…」。彼女は悔しそうに言っていた。

 なんという変わり身の速さなんだ。たわけ過ぎる。“女を会社の宣伝だけに使う会社”という名目で、是非とも取材をさせていただきたいくらいだ。

 窓際に追いやられたC子の話からは、男たちの“群れ”具合が、あまりにわかりやすく、聞いていて、つい笑ってしまったほどである。ちなみに彼女は自ら立てた企画が昨年大ヒットし、社長賞までとった女性である。

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著者プロフィール

河合 薫(かわい・かおる)

河合 薫博士(Ph.D.、保健学)・東京大学非常勤講師・気象予報士。千葉県生まれ。1988年、千葉大学教育学部を卒業後、全日本空輸に入社。気象予報士としてテレビ朝日系「ニュースステーション」などに出演。2004年、東京大学大学院医学系研究科修士課程修了、2007年博士課程修了。長岡技術科学大学非常勤講師、東京大学非常勤講師、早稲田大学エクステンションセンター講師などを務める。医療・健康に関する様々な学会に所属。主な著書に『「なりたい自分」に変わる9:1の法則』(東洋経済新報社)、『上司の前で泣く女』『私が絶望しない理由』(ともにプレジデント社)、『<他人力>を使えない上司はいらない!』(PHP新書604)



このコラムについて

河合薫の新・リーダー術 上司と部下の力学

上司と部下が、職場でいい人間関係を築けるかどうか。それは、日常のコミュニケーションにかかっている。このコラムでは、上司の立場、部下の立場をふまえて、真のリーダーとは何かについて考えてみたい。

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