私は社長時代、早朝会議を毎日、開いていました。この「毎日開く」ということも、実は重要なポイントです。私は、無理にでも毎日、会議を開いたほうがいいとすら思っていました。毎日会議を持てば最短のデッドラインを設定できるからです。1週間に1回の会議ですと、緊急なものを除いて次回の会議までにというデッドラインになり、どうしてもその会議の全体のスピードは落ちていきます。
コミュニケーション不足は会社を滅ぼす
ただ、毎日全社の会議をすることによって、それ以上に重要なことは、毎日のように社員が顔を合わせる機会が作れたということです。毎日のように顔を合わせるとどうなるのかといえば、当たり前のように親しくなるのです。挨拶は交わすし、自然と話をするようになる。少なくとも何か思うことがあれば、気軽に話しかけられる間柄になれる。いい人間関係が作れるのです。
会社が抱える問題の一つに、よく「コミュニケーション不足」が挙げられます。とりわけ違う課や違う部など、部門間でのコミュニケーション不足が起き、それが会社経営にダメージをもたらすことはよくあります。
実際、うまくいっていない会社というのは、例外なく社員間のコミュニケーションがうまくいっていません。ひどい場合には、部門間どころか、部門内にも、あちこちに壁ができていたりする。しかも、それが社内で当たり前のようになってしまっている。かつて、私が会議を始める以前の、前の会社がそうでした。
コミュニケーション不足が深刻化すると何が起こるのかというと、それぞれの部門が自分勝手にやりたいことをやるようになります。「部分最適」だけを考えるために、「全体最適」が不可能になる。ちょっと連携さえすれば、いい結果がもたらされる可能性の大きなチャンスがあっても、うまく動くことができない。そうやって、みすみすビジネスチャンスを逃してしまう。仕事も効率的に進まない。こういう例は、実にたくさんあるのではないでしょうか。
ところが、コミュニケーション不足というのは、単に顔を合わせて話をすることによって解決できる部分が大きいのです。なぜなら、それは実は人間関係の問題だから。そもそも人の常として、疎遠な相手のことはよくわからないものです。会うことがないから、何をやっているのかよくわからないのです。
会議をやれば本当に親しくなれる
月に1回程度、形式的な会議で決まりきった会話を交わしているぐらいでは、親しくはなれません。だから、お互い疑心暗鬼の感情を抱くようになってしまうのです。コミュニケーション不足の会社は、雰囲気もギスギスしたものになっているケースが多い。お互いがお互いのことを、よくわからないままに探り合ったりしている。これが、おかしな空気を作るのです。
しかし、会議で頻繁に顔を合わせるようになれば、お互いを知る機会が増える。しかも、今どんなことをやっているかという“報告”だけでなく、これまで私が解説してきた「吉越式会議」では、これから何をしようとしているのか、ということもわかる。腹を割っての真剣な話し合いを毎日、毎朝、行っていくのです。だから、本当に親しくなれるのです。
ここから先は「日経ビジネスオンライン」の会員の方(登録は無料)、「日経ビジネス購読者限定サービス」の会員の方のみ、ご利用いただけます。ご登録のうえ、「ログイン」状態にしてご利用ください。登録(無料)やログインの方法は次ページをご覧ください。



1947年千葉県生まれ。ドイツ・ハイデルベルク大学留学後、72年に上智大学外国語学部ドイツ語学科卒業。極東ドイツ農産物振興会、メリタジャパン、メリタ香港の勤務を経て83年にトリンプ・インターナショナル(香港)に入社、リージョナル・マーケティングマネージャーを最後に86年よりトリンプ・インターナショナル・ジャパンに勤務。87年代表取締役副社長、92年に代表取締役社長に就任し、2006年に退任。同社は毎日開催される早朝会議での即断即決経営を武器に19年連続増収増益を達成。2004年には『平成の名経営者100人』(日本経済新聞社)の1人に選出された。2008年、第37回ベストドレッサー賞<政治・経済部門>を受賞。

からのご案内




