「武田斉紀の「よく生きるために働く」」

第4回 仕事の「誇り」の見つけ方

年俸では野球に負けるサッカー選手がより感じる「誇り」

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2010年2月8日(月)

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サッカーワールドカップで日本が優勝したら

 「サッカーのワールドカップで、わが国日本が優勝したんだよ!」「そいつはすごいや! おめでとう!」。パブにいたみんなが両手を広げて祝福してくれた(実際は私の場合、たぶん英語)。

 そんな体験を早くしてみたいものだ(東アジア選手権ではいまだ得点できず苦戦していますが、不可能だなんて言わずに、長い目で選手たちを信じましょう)。実際奇跡が起これば、世界のパブに入った途端にこうなるだろう。「あなたは日本人か?」「そうだよ」「おめでとう! すごいや!」

 私たちは日本代表選手でもないのに(サッカーボールに触ったことさえなくても)、自分が成し遂げた仕事のように言い知れぬ「誇り」を感じるだろう。「誇り」とは不思議なものだ。

 野球の世界大会WBCで日本は2度も優勝した。私は野球も好きで、テレビで興奮しながら応援していた。優勝の瞬間、先ほど(想像)と同じように日本人として、自分が成し遂げた仕事のように「誇り」を感じて震えた。米国に旅行していたら、「あなたは日本人か? おめでとう!」と言われたことだろう。

 日本ではプロの年俸水準で、サッカーは野球にはかなわない。プロ野球選手はそのことに誇りを持っているし、野球の盛んないくつかの国では「私は日本のプロベースボール選手です」と言えば、「そいつはすごい!」とすぐにサインを求められるだろう。

 だが世界には野球を知らない国の方が多い。「ベースボールって何?」と聞かれた瞬間、彼の「誇り」は少なからず傷つくに違いない。彼自身の野球という仕事に対する「誇り」自体は揺るぎなかったとしても。

仕事の「誇り」は、他人に認められてこそ満たされる

 サッカーと野球の話から、仕事の「誇り」にはいくつかの特徴があることがわかる。

 その1.「誇り」を「持つ」「満たされる」のは本人で、「持つ」かどうかは本人の気持ち次第だが、「満たされる」かどうかは他人によるところが大きい。

 「『誇り』」を『持つ』『満たされる』のは本人」であることは、説明するまでもない。次に「『誇り』を最初から『持つ』かどうか」も本人の気持ち次第。向いている仕事に就けた人は最初から「誇り」を「持つ」ことができるだろう。

 最初からそうした幸運に巡り合えなかった人のために、今回のコラムの後半で「誇り」の見つけ方についてご紹介したい。

 最後の「『満たされる』かどうかは他人によるところが大きい」は、先ほどのサッカー選手と野球選手の違いでわかっていただけただろうか。自分の仕事に確固たる「誇り」を持っていても、「誇り」が「満たされる」かどうかは、他人の反応や言葉によるところが大きい。時には傷ついたりもする。

 先日テレビでアイスホッケーのプロチーム、日光アイスバックスの選手の日常が紹介されていた。日本で唯一のプロチームなのだそうだ。サッカー解説者でもあるセルジオ越後さんが2006年からシニアディレクターに就いている。

 彼らの年俸は平均的なサラリーマンよりも低いくらいだった。奥さんと赤ちゃんのいる選手が登場していたが、生活のやりくりは大変だろう。だが選手たちは、プロのアイスホッケー選手という仕事に強い「誇り」を持っていた。

 選手たちはいろいろな場面で「誇り」を「満たされて」いく。地元の人たちが「がんばって!」と街で声をかけてくれた時。会場にたくさんのサポーターを見つけた時。オリジナルグッズを買って喜んでいる子どもたちを見た時。これらがもしなかったとしたら、彼らの「誇り」は「満たされた」だろうか。

 地元の声援を受けて戦ったが、試合には負けてしまった。 “相手”に負けたことで彼らの「誇り」は傷ついただろう。勝っていたら、ファンの期待に答えたことで、もっと「誇り」が「満たされて」いたはずだ。

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著者プロフィール

武田 斉紀(たけだ・よしのり)
企業理念コンサルタント
ブライトサイド コーポレーション代表取締役社長

武田 斉紀1986年東京大学卒、同年リクルート入社。人事部を経てHR事業部へ。大手から中小まであらゆる規模、あらゆる業種の企業を対象に、採用・組織作りやブランド構築を支援する。全社表彰、MVPほか各賞を受賞。その後マーケティングの新規事業立ち上げに参画、軌道に乗せて2002年に退職。期間限定でベンチャーの立ち上げに参画した後、2003年9月に企業理念の共有浸透を専門とするコンサルティング会社、ブライトサイド コーポレーション(正式名称ブライトサイド株式会社)を設立、現在に至る。
日本一のコピーライター集団「TCC(東京コピーライターズクラブ)」会員。
著書『なぜ社長の話はわかりにくいのか』(PHP研究所)、『新スペシャリストになろう!』(PHP研究所、海外でも発売)、『行きたくなる会社のつくり方』(Nanaブックス)。
全国で講演多数/一般企業、経営者交流会、官公庁、都道府県などの自治体、学校。
ホームページ:http://www.brightside.co.jp/
■過去のコラム
「社長の話がわかりやすい会社は伸びる」
「武田斉紀の「企業理念は会社のマニフェスト」」
「武田斉紀の「よく生きるために働く」」
「武田斉紀の「行きたくなる会社のつくり方」」



このコラムについて

武田斉紀の「よく生きるために働く」

今回のシリーズ『よく生きるために働く』は、社長も部長も課長もメンバーも関係なく、すべての働く人にとっての大切なテーマではないかと思う。
一人の大人として、社会人としては“義務だから働く、生活のために働く”のは言うまでもない。だがそれだけで、人は大人人生の半分以上を占める仕事の時間を幸せに過ごせるだろうか。
働く目的や意義を考えることは、人の集合体である会社を元気にする、元気を保つ上でも欠かせない。「働く目的や意義を同じくする人たちと一緒に働ければ、人はもっと幸せに働ける。人生をよく生きる、幸せに過ごすことができる」からだ。
このコラムシリーズが、読者のみなさんにとっての働く目的や意義を改めて考え、“よく生きる”ためのきっかけになりますように。
前回シリーズ「企業理念は会社のマニフェスト
前々回シリーズ「社長の話がわかりやすい会社はのびる

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