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episode:43
「楽器は木でできていますから、手入れが良くても悪くても、時間が経つと狂ってくるんです」

  • 阿川 大樹

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2010年2月9日(火)

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前回までのあらすじ

老舗 大日本鉄鋼の3人だけの部署、第三企画室は新会社、オルタナティブ・ゼロとして独立した。旭山隆児(あさひやまりゅうじ)は社長、風間麻美(かざまあさみ)は第三企画室室長、楠原弘毅(くすはらこうき)は次長だ。休止していた高炉が再稼動するというニュースが届くのと、楠原が動き出したのは同時だった。

「花小金井に自分のギターを修理してもらいに行ったんですよ」

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 ついに旭山さんに話をするときが来たのだと思った。

 まだ、まとまった考えなんてない。けれど、きっと今が「話すとき」なのだ。出かけて、帰って、何の書類も用意していない。けれど、たった今見てきたことをまず、会社の人たちに話しておきたいと思って、勇んで会社に戻ってきた。

*  *  *

 いつまでも企画書をまとめることができず、悶々としていたとき、風間さんに、調べものばかりしないで、実際の世の中を見ろと言われた。当たり前のことを言われてはっとした自分がいた。

 半分、苦し紛れだった。

 とにかく、何処かに行って何かを見なくては。そう思っていたときのことだ。酔っぱらいの風間さんを見送って偶然にストリートバンドを見て、彼らの演奏よりも楽器に目がいった。

 茅ヶ崎南製作所の「ガレージ村」プロジェクトが進み始めていることで、それに考えが引っ張られていたといえばそうかもしれない。彼らが駅前で演奏するために買いそろえた立派な機材を見て、その対極に何かがあるような気がした。

 自分も誰か職人さんに会ってみたい。上司の風間さんにちょっと対抗意識があるといえばそうかもしれない。風間さんはすごい。すぐに勝つのは無理だとしても、たまには「あっと言わせたい」という気持ちはある。

 茅ヶ崎には、一度だけ連れて行ってもらった。

 残念ながら職人の津久井さんには会えなかった。ガレージの人はみんな、いい人たちだった。

 でも、ガレージ村の人たちは、自分たちの幸せな時間のためにあの場所をつくったのだから、あの場所にいるときは幸せなはずなのだ。幸福を感じているとき、人は誰だって「いい人」になることができる。

 いや、だからこそ、幸福になれる場所や、幸福になることのできるサービスや、商品を、世の中に出していくことを、オルタナティブ・ゼロは模索しているわけだ。

 そんなわけで、何の感触もないまま、家に帰って手当たり次第に「楽器の修理」で検索した。手始めだからどこの工房でもよかったのだ。なんとなく勘が働いて、花小金井の山城ギター工房の山城茂太さんに会いに行くことにした。

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