これまでのあらすじ
米国の大手電子部品会社UEPC社の生産技術部長、アンソニー・ホワイトは、子会社となったジェピーの長野工場に足を運び、技術のすべてを手に入れて本国に帰った。ジェピーのロボット技術は、新しく稼働させる上海工場でフルに活用するつもりだった。
ところが、サンディエゴにある研究所でロボットの最終確認をしていた際、設計図通りの精度が出ないことに気づいた。
UEPCの会長兼CEOのマイケル・ウッズに予定通りに上海工場を稼働させることを厳命されていたアンソニーは焦った。そして、ロボットとの制御プログラムの肝心の部分を開発した金子順平が会社を辞めたことを知り、金子が故意にプログラムを渡さなかったのだと考えた。
確かに金子は自分が書いたプログラムを横暴な親会社に渡すのが嫌で持ち出したのだった。そのことを知った団達也は、金子の上司であった三沢充に相談し、金子が持ち出したプログラムをサンディエゴに持って行ってもらい、事態を収めてもらうよう頼んだ。
「ミスター・ウッズ。上海工場のロボットが完璧に作動することを確認しました」
アンソニーは東海岸の本社にいるマイケル・ウッズに電話で伝えた。
「難解な謎解きのようでした。実を申し上げますと、来月の稼働に間に合わないのではと、あきらめかけていたんです」
「ほほう。それで、日本から来たミサワに教えてもらったというわけか」
アンソニーは即座に否定した。
「とんでもない。キャサリンがミサワをサンディエゴ動物園、ポイントラマ、オールドタウン、それからメキシコのティワナに案内しています。あの人は観光気分なんです」
「ミサワが観光ね。つまりきみは自分でプログラムを書いたと言いたいのかな?」
するとアンソニーはムッとしたのか「あなたは私の実力を知らない」と声を荒げた。
だが、アンソニーは言葉を選んでいた。マイケルにはウソはついてはいない。金子が書いたプログラムをそのままロボットにインストールしたとは言わなかっただけだ。
「ミスター・ウッズ。マイクロスイッチの量産化の目途がたちましたので、ミサワには明日にでも帰国してもらおうと思っています」
「本当にミサワがいなくても大丈夫か?」
「あなたは私の実力を知らない」
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