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不毛なつぶやきは自分への“凶器”に変わる

上司部下関係を潤す“宛名のないメール”のススメ

2010年2月18日(木)

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 公表するために、書く。
 いつの間にか、そんなことが常識になったようである。

 多くの人が、いつでも好きなように、ブログで自分の日記を公開したり、ツイッターで自分のつぶやきを140字以内にまとめたり、読者のコメント欄に批判、共感、意見などを書き連ねる(私の連載にも、毎回、多数のコメントをいただきありがとうございます)。

 ブログで日記を書く人たちは決まって(ブログを日記ととらえるかどうかの議論はさておき)、「反応があるのって楽しい」と言う。

 他者のまなざしを通じて、“自分”を感じとる。承認欲求とでもいうのだろうか。ネットを通じて“書く”ことは、署名、匿名にかかわらず、そんな人間の欲求を満たす“道具”となった。

 私はブログはやっていないがコラムにコメントが反映されるので、「楽しい」という気持ちは理解できる。何もコメントされないよりもされたほうがいいし、反応があればあるほど「自分が書いた」という実感と自分の存在を確認できる。時には反論や批判に落ち込むことがあったとしても、コメントをいただくのはありがたいものなのだ。

 ツイッターにはまっている知人たちは、「他人のつぶやきを知るのは、覗き見をしているようで楽しい」と決まって言う。

“公開”するために書くブログやツイッターに違和感

 ツイッターなるものに完全に乗り遅れてしまった私は、今さら始める気もおきなければ、いちいちつぶやくのも面倒くさい。でも見知らぬ人のつぶやきを見ることは、頭から吹きだしが出て相手が考えていることがわかる、まるでマンガの一コマのようで、それはそれできっと楽しいのだろうと正直思う。

 でも、そんなにみんな公開しちゃって、大丈夫なのか?

 そんな思いが日に日に募る。

 かつて日記には鍵をかけ、つぶやきたいことはグッと我慢するものだった。そんな常識が打ち破られた違和感。いや、危機感、といったほうがいいかもしれない。“公開”するために書く行為に、ひどく脅威を感じてしまうのだ。

 「みんなが発信者になれるんだからいいじゃないか」
 そう言う人もいるだろう。

 もちろんそれはちっとも悪くないし、発信者になることを否定しようとは思わない。テレビや新聞、雑誌の中にも「ブログ」発や「ツイッター」発のものが確実に増えているし、一般の人から発信された情報にはそれなりのリアリティーがあり興味深い。

 「ネットワークだって広がるし、いいじゃない」
 確かにそうだ。

 以前、ブログを開設した70歳の女性を取材したときに、「一人の時間が一人じゃなくなった」とうれしそうに語っていたのを思い出す。その女性は日記を公開したことでネットワークが広がり、ブログは日々の生活を潤すビタミン剤となっていた。

 でも、これでホントにいいのか? と、ひっかかる。

 公開したことから得られる快感が大きいだけに、何か大切なことを、コロッと忘れてしまっているような気がしてならないのだ。

 そもそも、“書く”という行為は、自分と向き合うための行為ではなかったか。

コメント33

「河合薫の新・リーダー術 上司と部下の力学」のバックナンバー

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「不毛なつぶやきは自分への“凶器”に変わる」の著者

河合 薫

河合 薫(かわい・かおる)

健康社会学者(Ph.D.)

東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(Ph.D)。産業ストレスやポジティブ心理学など、健康生成論の視点から調査研究を進めている。働く人々のインタビューをフィールドワークとし、その数は600人に迫る。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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田坂 正樹 ピーバンドットコム社長