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【第1回】“朝三暮四”で事業再生を考える

2010年3月2日(火)

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 「事業再生(Corporate Restructuring)」というトピックが、将来の企業幹部を対象としたビジネススクールの授業で人気を博している。こうも厳しい経済環境が続けば、どんな企業の社員にとっても、「事業再生」は縁遠い話ではなくなってきた。大企業であっても、かつては日産自動車、ダイエー、そして今回の日本航空といった一流企業が事業再生の対象として新聞やテレビに大きく取り上げられ、再生の専門家でなくとも、「ああいう企業はこんな風にしたら再生するだろう」、もしくは「こうしたら良かったのでは」という議論が盛んになっている。

 筆者の仕事は、企業が苦境に陥った時に再建のための手法や金融機関等関係者との交渉に関してアドバイスを行うこと、いわゆる「事業再生支援」である。

 事業再生の現場担当者の視点から見ると、当事者の取引先との会話や議論、それに教科書で事業再生に触れる際、その論点にはもう少しの踏み込みが足りないのではないか、重要性の順序が違うのではないか、との印象を受けることがある。このコラムでは、議論と実際の再生現場の実務との間で何が違うのか、何が再生に至る上で重要なのか、についてお伝えしていきたい。

なぜ、部分最適が現れるのか

 ビジネススクールで習う初歩として、そして、今では一般的に周知されるようになってきている考え方として「現在価値」という言葉がある。時間には価値があり、現在の1円と将来の1円は異なる価値を持つため、意思決定は、将来価値を踏まえた判断をしないといけないという、ファイナンスの基礎の中でも初歩的な概念である。

 この概念を用いて、事業再生を「朝三暮四」という諺で考えてみたい。朝に3個のトチの実、夕に4個のトチの実を猿に与えようとしたところ、猿が怒ったので、逆にしたら猿は満足した。この故事から、どちらも同じなのにそれを怒る猿は物事の本質が分かっていない、転じて目先のことに囚われて大きな本質が分からない様を指す言葉となっている。

 ところが、「現在価値」を単純に考えた場合、むしろそう言って笑った人間が、朝の4は夕の4よりも明らかに価値がある、将来価値も知らないのか、と逆に笑われるというおかしな具合になる。

 このファイナンスの考え方に基づけば、関係者にとっての最適な行動は、まず先に取れるものを取る、ということが正しい。夕方に4つもらえるから待っても一緒だ、ということはあり得ない。このことは、ファイナンスの教える現在価値、という原則論からも納得してもらえると思うし、倒産の可能性を考慮するとさらに分かり易いであろう。なぜなら、倒産してしまえば、4つを与えてくれる人間そのものがいなくなるからである。倒産するリスクが高いのであれば、先に、できるだけ多くのものを取った方が明らかに良い。

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