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【第2回】「囚人のジレンマ」と大岡越前守と、事業再生

  • 五十鈴川 憲司

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2010年3月16日(火)

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「悩んでないで、相談してみたら」

 会社の経営が傾くと、孤独な経営者はひたすら思い悩んでしまう。取引先のリアクションや風評を心配したり、自分の面子や評判を気にする経営者は、窮状を誰かに打ち明けることも、会社再建の相談をすることもままならない。

 そんな時は私たちアドバイザリー会社に相談してほしいと言いたいところだが、まずは身近なところで、取引金融機関に相談してほしい。出来ることなら、資金繰り破綻など抜き差しならない状況になる前に、だ。窮状を打ち明けるのには、多少の勇気が必要かもしれないが、会社が倒産した場合の苦労を考えれば何でもないはずだ。

経営者だけでは会社は再建できない

 「会社を再建するのは誰か?」

 シンプルな質問だが、実際の状況によって多様なケースがあり得るため、答えるのは非常に難しい。敢えて言えば「みんなで再建する」が最も妥当な回答である。

 なぜその答えになるのかについて、今回はご説明していきたい。

 事業の再生を巡っては、多様な関係者が数多く存在する。主な関係者は、経営者や従業員、株主や金融機関等の債権者だが、販売先や仕入元が重要な役割を担う場合もある。最近では投資ファンドが登場することも多いし、これまでの経験では“整理屋”と呼ばれる反社会的勢力や社長の婚外子が登場したこともある。

 事業再生の現場では、原則として全ての関係者に再建の方向性について納得してもらい、協力を取り付けなければならない。反対する関係者がいる場合、再建合意は成立せず、関係者の努力は水泡に帰すこととなる。従って、経営者だけでは(どんなに優秀な経営者でも)、一人で悩んでいても事業再生に向けての解が出てくることはない。

重要なのは「関係者間調整のプロセス」

 しかし、事業再生の現場では、それぞれの関係者が少しでも多くの成果を得ようと、自己の権利を主張し、相手の落ち度を非難する喧々諤々の交渉が長期にわたって行われることがある。前回に続いて今回も猿の例えを使えば、「腹を空かせた猿の群れに餌を投げ入れれば、限られた餌を巡って奪い合いが起こる」。そんな状況を思い浮かべてほしい(実際の猿社会はもっと秩序立っているそうだ)。

 一般に、再生局面に至った会社では、それまでに関係者間で不満が蓄積され、互いに不信感を抱いているケースが多い。経営者は銀行に「必要な支援をしてくれない」と不満を持ち、銀行は経営者の説明を疑い、従業員は経営者が語る言葉を信じていない。だから、自分だけ損を押し付けられまいと、一生懸命“餌”を奪うがごとく、自己の利益確保に走りがちになる。

 だが、前回(“朝三暮四”で事業再生を考える)の繰り返しになるが、事業再生の現場は、負担や役割の分担を巡る交渉の場であり、一人勝ちするプレーヤーがいてはいけない。また、残念ながら「Win-Win」はあり得ない。むしろすべての関係者が、負担をフェア且つ公平に分担する「三方一両損」の“大岡裁き”こそが理想の事業再生である。

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