これまで、私が前の会社で社長として行ってきた会議「吉越式会議」の考え方を、8回にわたって解説させていただきました(記事一覧)。おかげさまでたくさんの方にお読みいただき、好評をいただいて、さまざまなコメントやご質問をいただきました。今回は、第7回(2月9日掲載)で募集し、丁寧にも頂戴しました質問に対して、お答えをしていきたいと思います。
質問1 案件の優先順位の付け方や低順位の案件の対処法とは?
いつも心を躍らせながら読ませていただいています。そして自分が主催する会議を振り返り反省しています。ひとつ教えてください。早朝会議ではいろんな案件があったと思うのですが、その案件毎に優先順位はつけておられていましたでしょうか? 私が主催する会議でも多くの案件があり、優先順位をつける必要があるのではと考えているのですが、納得性の高い優先順位をつける方法や低順位の案件の対処法で悩み、なかなか前に進んでいません。よろしければアドバイスをお願いいたします。
緊急度だけに目を向けてはならない
吉越:楽しみにお読みいただいたとのこと、ありがとうございます。実は、優先順位は基本的につけていませんでした。気づいたらすぐにクリアする。それが鉄則だからです。会社のレベルというのは、気づいた問題点に対して、どのくらい対策が打てているか、その徹底度で決まると私は思っています。とはいえ、パワー的にどれかからやらなければいけないとすれば、どれが最も会社にダメージを与えるか、ということになるでしょう。ただし、いつかすべての問題点をクリアする、という前提としての意識を絶対に失ってはなりません。なぜなら、問題は次々に噴出してくるからです。とりあえず、これをやっておけば、くらいの感覚では、あっという間に問題に埋もれてしまうことになりかねないのです。
「してほしい仕事を、部下がしてくれます」で、仕事の緊急度と重要度のマトリックスを使いましたが、担当者として緊急度の高いゾーンの問題点だけをクリアしていても、その多くが作業的な仕事で、実は根本的な問題は解決できていないことが少なくありません。ここで見落とされがちなのが、緊急度は高くないが重要度の高い仕事なのです。そこには、仕組み化したり、マニュアル化することで、問題をクリアしたり、仕事を効率化できたりする仕事が潜んでいます。優先順位が高い問題点を見ていると、緊急度だけに目が行き、それだけで十分忙しくなってしまい、実はこのゾーンがほとんど手つかずになってしまうことが多いのです。担当者としては、緊急度の高い中だけで優先順位をつけてしまおうとする危険が潜んでいることを、ぜひ理解しておいてほしいと思います。
ですから担当者の緊急度の高い仕事の上に、リーダーが、「緊急度は低いけれども重要性の高い案件」を少しずつ選び出し、担当者のキャパに合わせてデッドラインをつけ渡していくのです。これを行えば、最終的にはデッドラインによる優先順位ということになります。そして先に書いたように、むしろ、優先順位はそれほど重要ではなく、最終的にはすべての案件をクリアしていく体勢に持ち込む。そういった姿勢で臨んでいかれては、と思います。
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1947年千葉県生まれ。ドイツ・ハイデルベルク大学留学後、72年に上智大学外国語学部ドイツ語学科卒業。極東ドイツ農産物振興会、メリタジャパン、メリタ香港の勤務を経て83年にトリンプ・インターナショナル(香港)に入社、リージョナル・マーケティングマネージャーを最後に86年よりトリンプ・インターナショナル・ジャパンに勤務。87年代表取締役副社長、92年に代表取締役社長に就任し、2006年に退任。同社は毎日開催される早朝会議での即断即決経営を武器に19年連続増収増益を達成。2004年には『平成の名経営者100人』(日本経済新聞社)の1人に選出された。2008年、第37回ベストドレッサー賞<政治・経済部門>を受賞。

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