「ケータイユーザーの「トリセツ」」

「今」「すぐ」が当たり前。少しの遅れで不満

それでも「電話よりメール」という不思議

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2010年3月11日(木)

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 「今、お店に並んでいるから、すぐにクーポン送って!」

 私(吉田文儀)が社長を務めるクロス・コンセプト(大阪市)が運営するケータイサイトのコールセンターには、時折こんな要望が寄せられます。

 お得なクーポンを添付して配信している、とある飲食店のメールマガジン。配信の時間は決まっていますが、「今、自分が必要としているこの瞬間に送ってほしい」というのが、このユーザーの主張です。

 いかにもケータイだから、と思いませんか? 固定電話であれば外出先からこんな問い合わせはそもそもできませんし、モバイルパソコンを使うユーザーであれば無線やデータ通信でインターネットに接続してクーポンを手に入れるでしょうから。

便利さ故に、忍耐を失う?

 「メルマガのせいで授業中にメール着信音が鳴って困る」

 「こんなに早い時間にメール送信しないでください。子供のことで緊急のメールかと思い、運転中に事故を起こしそうになりました。10時過ぎに送信してください。それより前は、禁止」

 こちらの方々は、メルマガ配信の時間を自分の都合のいい時間に設定してほしい、という要望です。授業中や運転中はマナーモードにして、メールを見るのは控えたほうが・・・と思ってしまいますが、どうしても気になってしまうのでしょう。かといって、クーポンなどの情報が欲しいので、解約する気にはなれないようです。

 自分の必要な時に、必要な情報を流してほしい――。営業時間外の問い合わせにも関わらず、「至急」「今すぐ」「即刻」の対応を要求する方も増えています。

 インターネットが普及して分からないことは何でもすぐに調べられ、ケータイやメールによってすぐに連絡が取れる時代。この便利さが消費者を短気にし、忍耐強さを忘れさせてしまったのかもしれません。ケータイの普及が持つ功罪が垣間見えますね。

 前回、ケータイユーザーをリテラシーで4タイプに分類しましたが、このような傾向は、ケータイを使い慣れた「ヘビーユーザー」「一般ユーザー」に多いようです。

 しかし、こうしたユーザーに対応することで、ビジネスチャンスが生まれることも事実です。冒頭の事例では、クレームの内容からメルマガ配信の適切なタイミングを読み取とって、配信する時間をずらすことで、より効果的に顧客の来店頻度を高めることができるようになりました。

 ケータイユーザーに対する象徴的なキーワードは、「今」です。「今、あったこと」「今、見たいこと」「今、知ったこと」「今、知りたいこと」「今、感じたこと」「今、聞きたいこと」・・・リアルタイムにコンタクトしてくる傾向にあります。

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著者プロフィール

吉田 文儀(よしだ・ふみよし)

クロス・コンセプト代表取締役。1954年生まれ。79年に米ハワイパシフィック大学経営工学部中退後、米半導体商社などを経て、94年に産業機器用コンピューターを手がけるために独立。そこでケータイサイトを中心としたソフトウェアやシステム開発を行うようになり、2009年6月にクロス・コンセプト(大阪市)を設立。飲食店、ドラッグストア、ファストフードチェーン、食品販売、ゴルフ場などのケータイサイトに関するシステム開発やカスタマーサポートセンター(Webコンシェルジュ)運営を受託し、合計で数百万人というケータイサイト会員を抱える実績を持つ。

飛田 恵美子(ひだ・えみこ)

フリーライター。1984年生まれ。2006年に明治大学政治経済学部を卒業後、地域新聞を発行するタウンニュース社に入社。町の著名人へのインタビューやお祭りのパンフレット制作を行う。2008年に退職後、映画作品の分析評価や教育系フリーペーパーの編集補助の仕事に携わる。



このコラムについて

ケータイユーザーの「トリセツ」

携帯電話の進化が著しい。通話だけでなく、メールやショッピング、テレビ、おサイフなど、様々な場面で使われている。既に1人1台が当たり前となったケータイによって、新たな企業と消費者の接点が生まれた。これまでになかったコミュニケーションツールの登場は、消費者の購買に関する意識や行動に何らかの影響をもたらすはずだ。そこで、ケータイユーザーからカスタマーセンターに寄せられる問い合わせやクレームなどを通じて、今どきの消費者の行動を探るとともに、顧客対応のあり方についてヒントを提供する。

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