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第6回 明日クビになったらどうします?

社長も社員も準備しておくべき3つのこと(1)

  • 武田 斉紀

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2010年2月22日(月)

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“その日”は突然やってくる

 「申し訳ないが、あなたには明日で辞めてもらうことになる」

 第5回では、ほとんどの仕事には「替わり」がきくけれど、仕事で関わる人たちにとってあなたは「替わり」のきかない存在かもしれないと書いた。しかし、周りにとって「替わり」のきかない存在なら仕事は続けられるかというと、もちろんそうではない。“その日”は突然やってくるかもしれない。

 少し前までの日本では、バリバリ働いている人にとって突然クビを言い渡されることは、映画やドラマの中の出来事だった。その後、外資系企業が日本に増えてきて、クビ(fire=ファイア、またはlay off=レイオフ)が国内でも行われていることを知ったが、それでもまだ縁遠い話だった。バブル後の不況、ここ1年の不況で、知り合いにもリストラされた人が現れるようになり、ことはようやく現実味を帯びてきた。

 それでも、現在正社員として働く人は、その一言が突きつけられる“その日”を、自分の身にどれだけリアルに感じているだろうか。

大手企業の社員が信じる「定年までは安泰」の神話

 先日、大学時代の友人と久しぶりに再会した。いつも会うのは私を含めた5人だ。うち2人は、新卒で入った大手銀行と大手化学メーカーにずっと勤めている。どちらの会社もM&Aを繰り返し、その都度社名が変わり、規模はどんどん大きくなっている。彼らは「M&Aの度に、社内の雰囲気が変わるよ」とこぼしていた。

 彼らは制度として、定年までの勤務を保証されている。望まない仕事や関連会社への片道切符が渡されたとしても、何とか我慢していれば働く場は保証される。中間管理職としての悩みは尽きないようだが、定年まで今勤める会社で働くことに関しては何ら疑うことなく信じているようだった。

 明日何が起こってもおかしくない小さな会社を経営する私は、「定年まで保証されていていいよなあ」と返したが、保証の前提が崩れてしまった例をいくつも知っている。彼らにとってクビのリアリティーは、私や中小企業の研究者である3人目の友人よりも少ないだろう。そして“その日”が来たら、2人は「まさか」と慌ててしまうのだ。

 4人目の友人は勤務医だ。話していて一番気持ちの余裕があると感じた。収入の話ではない(開業医ほどもらっておらず、バブル期に買ったマンションのローンがしっかり残っているそうだ)。高度なレベルで外科医としての“手に職”をもっており、当面重宝されることは間違いないからだ。彼も自分に“その日”が来るとはリアルに感じていないだろうが、たとえ解雇されても、先ほどの2人ほどは動揺しないはずだ。彼には準備がある。

 売上高は約2兆円、来年で民間企業となって栄光の60周年を迎えるはずだった日本航空が破綻した。親方日の丸の匂いは感じつつも、かつての栄華を知る日本人にはまさかのニュースだった。グループ全体で3分の1に当たる1万5700人もの人員削減が不可避となっている。

 もはや定年前にクビになる可能性がゼロの会社などなくなった。“その日”が明日になるか、1カ月後か、数年後かの違いだけだ。

“その日”は社長にさえ予測できない

 私がお会いしてきた経営者の多くは、がんばってくれている従業員をできる限り解雇したくないと考えていた。どうしても避けられない状況になったなら早目に告げて、次の仕事探しの準備期間を長く設けてあげたいと思っていた。

 心ある経営者であればあるほど、「何とか雇用だけは守って乗り切りたい」とがんばってしまうものだ。しかしそれがために、本人に伝えるのがギリギリになってしまうことが少なくない。「こんなことならもっと早く伝えてあげればよかった」と後悔しながら。

 経営者が望んでいなくても、突然従業員の解雇を迫られることがある。取引先の倒産による連鎖倒産、信じていた財務責任者のもとでいつのまにか左前になっていて、ある日破綻の事実を知る。経営者として甘いと言われればそれまでだが、準備を重ねてもリスクはなくならないものだ。

 オーナー企業ではない経営者、つまり経営者自身が過半の株主でない場合は、常にそのリスクと隣り合わせだ。新たな経営者が送り込まれてきて、彼の方針で従業員の雇用が守れなくなることもある。M&Aによるリストラや事業停止、縮小を迫られることもあるからだ。

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