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モンスター化した大人が破壊する、子どもたちの大切な“もの”

教師たちの“傘”を壊してはいけない

2010年2月25日(木)

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 他人から「ありがとうございます」と感謝されるだけで、ホっとすることがある。どんなに大変な仕事であっても、そう言われた途端、報われる。

 「良かった。がんばった甲斐があった」。自分の存在が認められたと感じられ、自分の仕事に意味を見出すことができる。

 ところが、感謝されることがなくなった、と嘆くようになった職業がある。

 「感謝されたくて働いているわけじゃないです。でもね、非難されたり抗議されたりすることはあっても、感謝されることはめっきりなくなりました。子どもたちは受験に成功して塾の講師には感謝しても、僕らには感謝しません。保護者との関係も難しい。ここ20年くらいで、教師を取り巻く環境は大きく変わりました」

 そう語るのは教師生活30年のベテラン教諭だ。

 “モンスターペアレント”と呼ばれる保護者の存在が、教師たちを追い詰めているのか?、との私の問いに彼はこう嘆いた。

 「確かに理不尽なことを言ってくる保護者はいます。でも、それはごく一部で、マスコミが騒ぎ立てているだけの感も拭えません。多くの場合、保護者と教師のコミュニケーション不足がきっかけで大きな問題になっています。教師も自信を失っているから、保護者と上手く対話ができないんです。特に若い教員は、保護者のほうが年上だったりするから余計ダメ。結果的に些細なことで相手を怒らせてしまったり、教師も異常に萎縮してしまうから、自分のメンタル面も低下し、登校拒否になったり、辞めたりする。子どもと向き合うことなく、保護者との関係で悩む教師は非常に多い」

子どもの親との関係で心病める教師たち

 うつ病などの精神性疾患で2008年度に休職した全国の公立学校教員は、前年度より405人増え、5400人を超えた。これは病気休職している8578人の6割を占め、16年連続で増加傾向にあり、1979年度に調査が始まってから過去最悪となっている(文部科学省調べ)。同省が行った抽出調査によれば、うつ症状を訴える教員の割合は一般企業の2.5倍にも上っているという。

 また、「保護者への対応が増えた」と感じている教諭は、小学校で74.9%、中学校では70.6%いる(2006年の文部科学省調査)。

 相手がモンスターじゃなくとも、モンスターのように感じ、心病める教師たち。子どもが好きで、子どもの成長と向かいたくて先生になったのに、親との関係で悩み続ける教師たち。数年前にも東京都の区立小学校の若い新任女性教諭が、保護者との関係に悩んだ末、自殺したことがあった。

 「若い先生が辞める」ことについては、実は私にも苦い思い出がある。

 私の通っていた中学校にやって来た新人の家庭科の先生が、着任わずか半年間で辞めたのだ。先生が辞めた正確な理由は定かではないが、私たちのせいだったんじゃないか、と思っている。

 その先生は“こふき”と生徒に呼ばれていた。家庭科の授業で粉吹き芋を作ったときに、誰かがそう呼び出したのが始まりだった。

 “こふき”先生が辞めたきっかけは、新人教諭の授業を県の教育委員会の偉い人たちが見学にきたことだった(これが本当にきっかけかどうかはわかりませんが、私たちはそう解釈しています)。

 当日はいつも通りの家庭科の授業に加え、簡単なミニテストが行われた。テストは回収されるのではなく、先生が生徒にその場で回答させ、それを先生が解説するというスタイルだった。

 ところが私たちはテストの回答すべてに、家庭科以外の答えを書いた。誰が、どうしてそんなことを言い出して、何でそんなことをしたのかは覚えていない。

 回答するとき、私たちは世界史や日本史の単語を次々と口にして、先生を困らせた。おまけに先生が、「答えは××です」と正解を言うと、「え~、知らなかった~」とみんなで言う始末。完全に先生のことを、なめ切っていたのだった。

コメント38件コメント/レビュー

 妻が教師なので、実状の”一部”を知る人間として看過できないコメントがあるので書きます。まず、教師は忙しくないと書いている方がいますが、地方・学校毎に仕事量は全く異なります。同じ市内でもかなり違う。学期末の数週間は土日なしの平均睡眠時間3-4時間なんてのも普通だし、他にも偉い人の視察やら、何かの報告書やら、研究授業の準備やらで多忙な時期が多々あります。 今回のコメント欄にはないですが「夜にわざわざ見に行ったら学校に人がいなかった。暇なはずだ。」なんて悪意のある人もよく見ますが、余裕があるときももちろんありますが、自宅残業がもの凄く多い職業ですよ。残業はすべてサービスで時間給にしたら給料はかなり安いし、その割に世間からも親からも十把一絡げで攻撃されることが多く、私だったら絶対に教師にはなりませんね。割に合わない職業。 それから日教組に関しては他の方も書いておられますが、政治的な思想がある人などほんの一部です。私の知り合い関係、学生時代も含めて、そんな教師を見たこともありませんし、妻によれば日教組のことなど全く考慮せずに授業をしている人がほとんどだそうです。(2010/02/26)

「河合薫の新・リーダー術 上司と部下の力学」のバックナンバー

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「モンスター化した大人が破壊する、子どもたちの大切な“もの”」の著者

河合 薫

河合 薫(かわい・かおる)

健康社会学者(Ph.D.)

東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(Ph.D)。産業ストレスやポジティブ心理学など、健康生成論の視点から調査研究を進めている。働く人々のインタビューをフィールドワークとし、その数は600人に迫る。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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 妻が教師なので、実状の”一部”を知る人間として看過できないコメントがあるので書きます。まず、教師は忙しくないと書いている方がいますが、地方・学校毎に仕事量は全く異なります。同じ市内でもかなり違う。学期末の数週間は土日なしの平均睡眠時間3-4時間なんてのも普通だし、他にも偉い人の視察やら、何かの報告書やら、研究授業の準備やらで多忙な時期が多々あります。 今回のコメント欄にはないですが「夜にわざわざ見に行ったら学校に人がいなかった。暇なはずだ。」なんて悪意のある人もよく見ますが、余裕があるときももちろんありますが、自宅残業がもの凄く多い職業ですよ。残業はすべてサービスで時間給にしたら給料はかなり安いし、その割に世間からも親からも十把一絡げで攻撃されることが多く、私だったら絶対に教師にはなりませんね。割に合わない職業。 それから日教組に関しては他の方も書いておられますが、政治的な思想がある人などほんの一部です。私の知り合い関係、学生時代も含めて、そんな教師を見たこともありませんし、妻によれば日教組のことなど全く考慮せずに授業をしている人がほとんどだそうです。(2010/02/26)

僕らの児童・生徒の時代はどの先生にも僅かなりとも恐怖を持っていました。小学校では先生のゲンコツで毎日頭にこぶがありました。中学ではそこまで行かなくても恐怖による緊張感がありました。河合様の中学時代に先生に対しすごい意地悪をなさったようですね。多分僕らが当時、先生に意地悪をしたなら、鼻血程度は済まず、口の中が切れるか頬っぺた破れていたと思います。何か異常に思われ、一件暴力教師のように見えますが、こういった先生は面倒見が結構良くそんなに嫌われていないんです。無くなった僕の父も映画俳優断念後に教師になったという異色なのですが、筋金入りの戦前の帝国教師のため、恐怖の塊のような人でしたが、卒業後も含め教え子に対する面倒見の良さには子供ながらに感心しました。先生には恐怖を感じさせる一面が必要であり、且つ、教師にそれを許容する必要があります。子供はそんなに甘いものではありません。併せて、勤まる人のみ教師になるべきです。(技術者 59歳)(2010/02/26)

モンペにもいろいろいますが、教え方に注文をつけてくる親が増えたのは、教師よりも親の方が学歴が高くなってきたことが一因でしょうね。昔は学卒が珍しかったですから。だから、学区などで一律に配分せずに、成績で上から順に割り振っていって指導方法もそれに応じて変えた方が合理的です。また、教師の耐性の無さは、新卒採用が多いからじゃないでしょうか。苦労知らずの若者が教師になるから、それは鬱にもなるでしょう。■コメントにコメントするのも良くないですが、児童・生徒はお客様ではありません。義務教育の義務とは親が教育を受けさせる義務であって、子供にとっては権利です。学校に行きたくなければ行かなくてもよいのです。嫌なら私立もあります。したがって、意識しているかどうかには関係なく、子供は自ら望んで学校に行っていることになります。高校以上は言わずもがなです。戦前にはよくあった児童労働から子供を解放し、教育を受けてよりよい人生を享受することが日本国憲法と教育基本法の精神ですね。(2010/02/25)

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