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左手で弾くピアノとTwitter(ツイッター)の出会い

――舘野泉の挑戦と、魂を伝えるメディアの新たな可能性

2010年3月2日(火)

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 前回がTwitter(ツイッター)の最初の記事で、当日いろいろ「実験」をしてみましたので、今回はその結果報告から・・・と大まかに思っていたのですが、よく考えたら日数がなく、もう1つ別の話題を取り上げねばならないタイミングになっていました。というのも3月6日、「アミューたちかわ(東京都の立川市市民会館)」で開かれるピアニスト・舘野泉さんのリサイタルでの、私が一昨年から昨年にかけて書いた「水の幻映」という左手のためのピアノ作品の初演があるのです(演奏会情報については、こちらをご参照ください。翌 週の3月13日土曜日午後3時からも白石蔵王・ホワイトキューブで演奏会があります)。

舘野 泉(たての・いずみ)氏

1936年東京生まれ。60年東京芸術大学首席卒業。64年よりフィンランド・ヘルシンキ在住。68年、メシアンコンクール第2位。同年より、フィンランド国立音楽院シベリウス・アカデミーの教授を務める。81年よりフィンランド政府の終身芸術家給与を得て、90年以降は演奏活動に専念。2006年「シベリウス・メダル」授与。演奏会は世界各地で3000回以上、リリースされたCDは100枚にのぼる。人間味溢れ、豊かな叙情性をたたえる演奏は、世界中の幅広い層の聴衆から熱い支持を得ている。この純度の高い透明なる抒情を紡ぎだす孤高の鍵盤詩人は、2002年脳溢血(脳出血)により右半身不随となるが、2004年「左手のピアニスト」として復帰。その左手のために間宮芳生、ノルドグレン、林光、末吉保雄、吉松隆、谷川賢作等第一線で活躍する作曲家より作品が献呈される。命の水脈をたどるように取り組んだ作品は、静かに燃える愛情に裏打ちされ、聴く人の心に忘れがたい刻印を残す。2006年、全委嘱作品によるリサイタルツアーを行う。左手の作品の充実を図るため「舘野泉左手の文庫(募金)」を設立。2007年、吉松隆ピアノ協奏曲「ケフェウス・ノート」(舘野泉に捧ぐ)をドレスデン歌劇場室内管弦楽団と初演し、大きな反響を巻き起こす。2008年、末吉保雄、cobaの新作を含む全委嘱作品(『左手の文庫』助成)によるリサイタルを各地にて行う。同年秋、長年の音楽活動の顕著な功績に対し、旭日小綬章受章、および文化庁長官表彰受賞。 2010年演奏生活50周年を迎える。エッセイ集「ひまわりの海」(求龍堂刊)、左手のコンチェルト(佼成出版社刊)、左手による音楽CDは、エイベックス・クラシックスより「風のしるし」など6枚リリース。南相馬市民文化会館(福島県)名誉館長、日本シベリウス協会会長、日本セヴラック協会顧問。舘野泉公式ウェブサイト

水の幻映(2008~2009)

伊東 乾

 左利きの私が子供時代から熱中し、師匠の松村禎三から「あらゆる作曲の模範」と教えられたモーリス・ラヴェルの「左手のためのピアノ協奏曲」。館野泉さんへの左手ピアノ作品の構想で、最初に考えたのは、「どうやってこの<私の原点=ラヴェル>から自由になるか?」だった。
 曲は「穴あき手袋」をはめて演奏する。珍しく思われるかもしれない。作曲直前に亡くなったもう1人の師友、カールハインツ・シュトックハウゼンが若い頃に用いていたものだ。1水琴窟 2 泉の反映 3 波と波紋の戯れ。曲中に現れるMi-Si♭-A-E♭のモチーフは高校1年生の時の作品Variationの動機。まさに自分の原点の1つと言えるものだ。作品は「左手」から発想してショパン、ドビュッシー、ラヴェル、ブーレーズ、シュトックハウゼン・・・と、自分とピアノとの捩れた(ねじれた)関係を零から考え直す「音楽の問い」になった。問いへの答えは水面に映る翳(かげ)のように、揺らめく形の中に暗示される。

 ありゃりゃ、これは困ったことになったな・・・と一瞬思ったのですが・・・3秒後に考えを変えました。両方一緒に取り上げればいいじゃないか、つまり僕が舘野さんのために書いた作品のあれこれも、Twitterというメディアで随時発信しながら1つのトピックにしてしまえば良いだろう、という訳です。必要は発明の母ですね。

 Twitterも「媒体」ですから、音楽の話題を取り上げて悪いという法はないでしょう。音楽もメディアも、より踏み込んだ内容は僕のTwitterの方でリアルタイムで取り上げます。明らかに全読者より数が少ないと思われる、ご興味の方はどうか、そちらをご覧いただければと思います。

 同時代の作曲家が特定の演奏家のために作品を書く、その初演を挟む過程であらゆるリスナーの方からTwitterでコメントをもらう、質問を受け付ける、というのも、たぶんあまり例がないと思いますし、、面白いじゃないですか。大資本や古いマネジメントに縛られていたらできない相談です。というわけで、ひょうたんから出た駒のようですが、今回は本業の音楽と副業(?)のネット周りのあれこれをワンセットに、お届けしたいと思います。

「左手のためのピアノ曲」

 舘野泉さんについて、ご存じの方が多いと思いますが、経済誌ですので一応補わせていただきたいと思います。日本を代表する国際的なピアニストである舘野さんは、国内とフィンランド・ヘルシンキとを往復しながら、50年以上に渡って偉大な演奏活動を展開し続けておられます。

 とりわけ僕が舘野さんの音楽が本当に素晴らしいと思うのに、古典の卓越した解釈者であると同時に、同時代の作曲家とのコラボレーションを一貫して継続しておられることがあります。間宮芳生、林光、武満徹・・・舘野さんがフィンランド~世界に紹介した日本人作曲家の作品は数知れません。専門の話題で恐縮ですが、日本フィルハーモニー交響楽団と共演した(子供の頃の恩師である)野田暉行「ピアノ協奏曲」のこの世ならざる完璧な演奏など、長年僕にとって大切な音楽経験を多く頂いてもきました。尊敬する大音楽家です。

 一昨年の春先だったと思います。私には渡世上の「兄貴」に当たる指揮の井上道義夫人でもある、黒田珠世さんがオーナーである音楽ホール「MUSICASA(ムジカーザ)」(東京・代々木上原)で開かれた舘野さんの演奏会で、珠世さんにお引き合わせとお薦めをいただいて、新たに「左手のためのピアノ曲」を書くことになりました。

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