「ソニーのジレンマ」

ネットワークに賭ける未来

「ソニーオンラインサービス」積年のビジョンは今度こそ花開くのか

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2010年3月2日(火)

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 今春、ソニーは将来の命運を賭けるネットワークサービスを始める。「ソニーオンラインサービス(SOLS)」だ。テレビやブルーレイディスク(BD)レコーダー向けに映像などのコンテンツを配信する。複数の機器間で、消費者の購入情報を一元管理できるようにするこの新サービスで、他社との差異化を図る。

 ハードとソフトの融合は、出井伸之・前会長時代から掲げてきた10年越しのビジョン。しかし、その成果はいまだ見えない。今度こそソニーの構想は実現するのか。

 第2回目はネットワークプロダクツ&サービスグループ(NPSG)を率いる平井一夫EVP兼ソニー・コンピュータエンタテインメント(SCE)社長と、その右腕の鈴木国正業務執行役員SVP(NPSGデピュティプレジデント)兼SCE副社長に聞く。


(聞き手は広岡 延隆=日経ビジネス記者)

新組織でグループ内の壁解消へ
――平井一夫EVP兼ソニー・コンピュータエンタテインメント(SCE)社長

 ―― 足元の販売状況をどう受け止めていますか。

平井一夫(ひらい・かずお)氏
1960年生まれ。84年国際基督教大学教養学部卒、CBS・ソニー(現ソニー・ミュージックエンタテインメント)入社。ソニー・コンピュータエンタテインメント・アメリカCEOなどを経て、2006年ソニー・コンピュータエンタテインメント社長。2009年4月から現職

 平井 ネットワークプロダクツ&サービスグループ(NPSG)の商品群についていうと、年末商戦は好調でした。とりわけゲーム機の「プレイステーション(PS)3」、パソコン「VAIO(バイオ)」、米国で発売した電子書籍端末「リーダー」などの手応えが良かったです。

 PS3は全世界で380万台を販売し、発売から最も好調な年末商戦となりました。有力なゲームソフトが色々揃ったことも大きかったです。「コール オブ デューティ モダン・ウォーフェア2」「アサシンクリード2」「アンチャーテッド 黄金刀と消えた船団」。そして日本ではPS3向けのみとなった「ファイナルファンタジー13」もPS3本体の拡販に貢献してくれました。

 パソコンもシェアを伸ばしました。ウィンドウズ7発売効果に加えて、薄型軽量の「VAIO X」といったユーザーに評価してもらえる洗練されたデザインの製品が出てきたことも奏功しました。リーダーは市場が伸びている中で、3G(第3世代)の無線通線機能を搭載した新製品が好評でした。

 今年1月に米ラスベガスで開催されたCES(コンシューマー・エレクトロニクス・ショー)では、各社とも3Dを展示の目玉に据えました。各社強弱はありますが、コンテンツに力を入れる方針も打ち出していました。

ゲームで培ったネットワーク資産生かす

 ―― コンテンツへの取り組みはソニーが先行してきましたが、各社もキャッチアップしてきています。脅威を感じませんか。

 平井 当然のことながら競争は激化しますが、ソニーには強みがあります。グループ全体での戦略の中でプレイステーションネットワーク(PSN)を活用できることです。PSNのアカウント数は約4000万。液晶テレビのブラビア向けにSOLSがスタートした瞬間、このアカウント数がすでにサービスに登録されていることになります。

 そして36カ国、22通貨、12言語に対応していることも大きい。SOLSはこの基盤を活用して、3月からまずは米国や日本、英国、ドイツなど6カ国に向けてテレビやパソコン向けに順次サービスを始める予定です。

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著者プロフィール

広岡 延隆(ひろおか・のぶたか)

日経ビジネス記者。



このコラムについて

ソニーのジレンマ

2009年3月期に巨額赤字に陥ったソニーの業績が回復傾向にある。工場閉鎖や人員削減などの構造改革が奏功しているからだ。今年からは3D(3次元)液晶テレビや、映画やゲーム、音楽といった他社にない豊富なコンテンツ資源を活かした総合オンラインサービスも展開する。攻めに転じるソニーは完全復活を果たすことができるのか――。今後の成長戦略を託されたソニーの経営陣に、その狙いと勝算を聞く。

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