「ソニーのジレンマ」

今度こそ、縦割りの弊害を取り払う

キャッシュ捻出し、斬新な製品を世に問う

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2010年3月3日(水)

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 縦割り組織の弊害――。ソニーは過去、組織改正を繰り返しながら、何度も社内連携に失敗してきた。2009年4月の組織改革では、製造、調達、開発などモノ作りのベースとなる機能をグループ全体で統括する役員を決めた。長年指摘されてきた欠点をどう克服するのか。これらの分野を組織横断で統括する2人の役員に、現状の取り組みと課題を聞いた。


(聞き手は鷺森 弘=日経ビジネス記者)

韓国メーカーに突き放されてしまった
――中川裕・副社長(製造・物流・調達担当)

 ―― ソニーは工場運営や調達方針がバラバラだったことが、コスト増を生む要因になっていました。ようやく、組織横断的に見る体制を採用しましたが、運営面でどのような変化が起きていますか。

中川 裕(なかがわ・ゆたか)氏
1945年生まれ。1968年東京工業大学工学部卒業、ソニー入社。2003年業務執行役員上席常務。2006年副社長。2009年4月から製造・物流・調達を統括する役割を担う
(写真:村田 和聡)
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 中川 ソニーは、半導体メモリー1つを見ても、グループ全体でまとめて取引交渉をすることがまったくありませんでした。物流に関しても、ソニーとソニー・コンピュータエンタテインメント(SCE)で利用している業者が異なっていました。これは単に組織のエゴから出た問題です。

 コンサルティング会社に依頼して、ライバル企業との比較をしてもらいましたが、テレビのSCM(サプライチェーン・マネジメント)は韓国サムスン電子に完全に差を付けられてしまいました。

 2005年に会長に就任したハワード・ストリンガー(現会長兼社長)が組織の壁を壊そうと努力し、組織の壁が低くなっていたところに、昨年4月、製造・物流・調達を横断的に見るプラットフォームを作りました。2005年以降の取り組みがあったからこそ、今はスピード感を持って改革を進めることができていると思います。

 「ウォークマン」の構造の複雑さはパソコン並みですので、部品を共通化できる部分はたくさんあります。こうした共通点を見つけ、共同購買すれば、コストは下がります。2010年度末までに調達先を半減の1200社にするという計画は予定通りです(編集部注:現在は1300社まで削減)。

役割が明確でなかった製造子会社

 中川 エレクトロニクス事業を見ている吉岡浩・副社長(コンスーマープロダクツ&デバイスグループ統括)とホームエンタテインメント事業本部長の石田佳久・業務執行役員SVPが合理主義者であることも、改革が順調に進んでいる要因です。ただ、現場で有機的に動いて、取り組みを末端まで浸透させるには時間がかかると思います。

 ―― ソニーは2001年に国内の製造部門を分社化してソニーイーエムシーエス(ソニーEMCS)を発足させました。にもかかわらず、製造部門の効率化ができなかったのはなぜですか。

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このコラムについて

ソニーのジレンマ

2009年3月期に巨額赤字に陥ったソニーの業績が回復傾向にある。工場閉鎖や人員削減などの構造改革が奏功しているからだ。今年からは3D(3次元)液晶テレビや、映画やゲーム、音楽といった他社にない豊富なコンテンツ資源を活かした総合オンラインサービスも展開する。攻めに転じるソニーは完全復活を果たすことができるのか――。今後の成長戦略を託されたソニーの経営陣に、その狙いと勝算を聞く。

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