温暖化ガスを1990年比で25%削減する――。その目標を日本が達成できるのかどうかを論ずる前に、直視しなければならない現実がある。それは日本が環境分野で先進国どころか、欧米勢や中国勢の後塵を拝していることだ。
実態を明らかにするため、日経ビジネスでは2010年3月1日号で「環境後進国ニッポン」と題した特集を企画した。日経ビジネスオンラインでは、今まさに環境分野で起きているパラダイムシフトの現場をリポートする。
アブダビ国際空港から車で10分ほど走ると、砂漠地帯に突如としてクレーン群が見えてくる。建設途中のビルのほか、大規模太陽光発電所(メガソーラー)や太陽熱発電の実証プラントもある。この地は、アブダビが国家の威信をかけて建設を進める世界最先端の環境都市「マスダールシティー」だ。
アラブ首長国連邦(UAE)最大の国であるアブダビは、世界第5位の原油埋蔵量を誇り、1人当たりGDPは6万ドル(約550万円)を超える。そのアブダビが潤沢なオイルマネーを注ぎ込んでいるのが、クリーンテック(環境・エネルギー)分野である。世界中が20世紀型の大量生産・大量消費の社会構造から、21世紀型の低炭素社会への移行を模索し始めた今、クリーンテックは最も有望な成長市場と言われる。
アブダビは、クリーンテックの技術も情報も、そして企業までも世界中からかき集め、クリーンテックで世界の“ハブ”になろうとしている。それは、「石油が枯渇した後も、アブダビが世界で存在感を誇示し続けるための国家戦略そのものだ」と伊藤忠商事の福地久雄・アブダビ事務所長は語る
2兆円投じてCO2ゼロ都市を建設
マスダールシティーの建設計画は圧巻だ。約2兆円を投じて、約7平方キロの敷地に最新のクリーンテック技術を詰め込んだ近未来都市を作り上げる。目標は「CO2(二酸化炭素)排出量ゼロ」と「ごみ排出量ゼロ」。
ではどうやってこの2つのゼロを実現するのか。
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