今をときめくクリエイティブ・オフィス、佐藤可士和ひきいるSAMURAIのマネージャーという肩書きと、おもに「りゅくす」な雑誌のグラビアに紹介されるライフスタイルは、「オトコらしい」目からすると、ちょっと斜めから見たくなるものだ、と思います。なにをかくそう、話をうかがいに行くまでの私がそうでした。清野さんとの長い付き合いがなければ、たぶん「いやわたしはそういう華やかな方の華やかなお話は」とご遠慮していたと思います。だからこそ、ぜひ、多くの自覚無くオトコらしい方々に、ふたりの会話を届けたいなと思った次第。「オトコ」の外側から見ないと分からない弱点に、タダで気づけるなんて!
さて今回の「オトコ」らしいポイント、貴兄は何カ所見つけられるでしょう。気づけば気づくほど、お仕事の力は増していく、と思います。(編集Y)
清野 佐藤さんが仕事をする時に、こころがけていることは何でしょうか。
佐藤 「常に笑顔で」「感情を出したら負け」。この2つですね。
清野 それらは誰かに言われたこと? あるいは、自らの経験を通して身に付けたことでしょうか。
佐藤 もう、経験につきます。前回にお話したように、フィーなどの条件交渉の際に、なるべく後で揉めないように率直に話そうとしたら、先方から「不愉快なやつだ」的な態度表明をされたことが何度もありました。数字と条件を明確にしようとした時に、相手の男性から「どうしてお金の話を先にするんですかね」と、うんざりした顔で言われたことも、よく覚えています。ビジネスの場でそういう態度を実際に見聞きする中で、同じことを言うにも、言い方と態度って本当に重要だな、と心底思うようになりました。
清野 仕事で感情が先走る場面は不快ですよね。ただ、感情に感情で応酬しても、いい結果にはならないでしょう。そういう時は、どうやって持ち直すんですか。
感情的にキツい場面の乗り切り方
佐藤 相手が感情的になったとしても、自分は常に冷静でいようと努力しています。それから女性ですから、きつい場面があっても笑顔というか、やわらかい物腰でいるようにも心がけています。
清野 佐藤さんの言動からは、そういった自己統制の意志を感じます。冷静でありながらやわらかな物腰、というバランスは、心身に強靭さがないと、なかなかできないものですよね。
ちょっと話が逸れるのですが、以前、脳の研究をしている学者の方に聞いた話を思い出しました。その方の説によると、人間の感情は内臓から湧き上がり、それを統御するのが筋肉なのだ、ということなんです。つまり理性の発動には筋肉が必要なのですが、佐藤さんは週に2回、ジムでのトレーニングも日課にされていますよね。佐藤さんはアスリートのような体型で、筋力、強そうですね。

佐藤 筋力がどうかは分かりませんが(笑)、とにかく感情的になっていいことは何もない、ということは、今までの経験からよく知っています。
清野 とはいえ、人間だから感情が湧き上がることもありますよね。
佐藤 それはあります。でも、たとえ相手と感情的な行き違いが生じたとしても、冷静な対応ができれば、話し合いの余地はあるので、案件は続きますよね。逆に、感情的な対応以外に発展しないような方との仕事は、続けるのが難しいです。
清野 案件が続くか、続かないか、そのあたりの見極めや割り切りは、男性より女性の方がはっきりしていると思うのですが、ただ、感情的なモノの言い方って、男女の別はないですよね。
他人の「イヤな態度」は、学ぶ素材にするしかない
佐藤 基本的にはないと思います。で、相手の感情的な態度がイヤだな、と思ったら、自分はそうしないように努力します。そうやって学んでいくしかないですよね。
清野 ほかにもイヤな態度って、ありますか。
佐藤 イヤ、というのではないのですが、必要以上に威張っているような人は、かえって安っぽく見えるのに、と思ったりはします。
清野 いますよね。小さいことをいちいちエラそうに指示したがる人。あれ、エラそうな人ほど、エラくなく見える、ということを、ご本人は分かっているのでしょうかね。
佐藤 私は基本的にはPRの出身なので、ぎえっ、と思うようなことがあっても、即、顔には出さないようにはしています。でも、相手が佐藤だとそうもいかないですよね(笑)。
清野 おっ。そこを聞くと安心します。佐藤悦子にしても、鉄の妻ではないんだ、と。
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