「「オトコらしくない」から、うまくいく」

第7回 パーティで人脈が広がる、と、本当に思いますか?

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2010年3月9日(火)

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 今をときめくクリエイティブ・オフィス、佐藤可士和ひきいるSAMURAIのマネージャーという肩書きと、おもに「りゅくす」な雑誌のグラビアに紹介されるライフスタイルは、「オトコらしい」目からすると、ちょっと斜めから見たくなるものだ、と思います。なにをかくそう、話をうかがいに行くまでの私がそうでした。清野さんとの長い付き合いがなければ、たぶん「いやわたしはそういう華やかな方の華やかなお話は」とご遠慮していたと思います。だからこそ、ぜひ、多くの自覚無くオトコらしい方々に、ふたりの会話を届けたいなと思った次第。「オトコ」の外側から見ないと分からない弱点に、タダで気づけるなんて!

 さて今回の「オトコ」らしいポイント、貴兄は何カ所見つけられるでしょう。気づけば気づくほど、お仕事の力は増していく、と思います。(編集Y)

清野 佐藤さんが仕事をする時に、こころがけていることは何でしょうか。

佐藤 「常に笑顔で」「感情を出したら負け」。この2つですね。

清野 それらは誰かに言われたこと? あるいは、自らの経験を通して身に付けたことでしょうか。

佐藤 もう、経験につきます。前回にお話したように、フィーなどの条件交渉の際に、なるべく後で揉めないように率直に話そうとしたら、先方から「不愉快なやつだ」的な態度表明をされたことが何度もありました。数字と条件を明確にしようとした時に、相手の男性から「どうしてお金の話を先にするんですかね」と、うんざりした顔で言われたことも、よく覚えています。ビジネスの場でそういう態度を実際に見聞きする中で、同じことを言うにも、言い方と態度って本当に重要だな、と心底思うようになりました。

清野 仕事で感情が先走る場面は不快ですよね。ただ、感情に感情で応酬しても、いい結果にはならないでしょう。そういう時は、どうやって持ち直すんですか。

感情的にキツい場面の乗り切り方

佐藤 相手が感情的になったとしても、自分は常に冷静でいようと努力しています。それから女性ですから、きつい場面があっても笑顔というか、やわらかい物腰でいるようにも心がけています。

清野 佐藤さんの言動からは、そういった自己統制の意志を感じます。冷静でありながらやわらかな物腰、というバランスは、心身に強靭さがないと、なかなかできないものですよね。

 ちょっと話が逸れるのですが、以前、脳の研究をしている学者の方に聞いた話を思い出しました。その方の説によると、人間の感情は内臓から湧き上がり、それを統御するのが筋肉なのだ、ということなんです。つまり理性の発動には筋肉が必要なのですが、佐藤さんは週に2回、ジムでのトレーニングも日課にされていますよね。佐藤さんはアスリートのような体型で、筋力、強そうですね。

(写真:樋口 とし)

佐藤 筋力がどうかは分かりませんが(笑)、とにかく感情的になっていいことは何もない、ということは、今までの経験からよく知っています。

清野 とはいえ、人間だから感情が湧き上がることもありますよね。

佐藤 それはあります。でも、たとえ相手と感情的な行き違いが生じたとしても、冷静な対応ができれば、話し合いの余地はあるので、案件は続きますよね。逆に、感情的な対応以外に発展しないような方との仕事は、続けるのが難しいです。

清野 案件が続くか、続かないか、そのあたりの見極めや割り切りは、男性より女性の方がはっきりしていると思うのですが、ただ、感情的なモノの言い方って、男女の別はないですよね。

他人の「イヤな態度」は、学ぶ素材にするしかない

佐藤 基本的にはないと思います。で、相手の感情的な態度がイヤだな、と思ったら、自分はそうしないように努力します。そうやって学んでいくしかないですよね。

清野 ほかにもイヤな態度って、ありますか。

佐藤 イヤ、というのではないのですが、必要以上に威張っているような人は、かえって安っぽく見えるのに、と思ったりはします。

清野 いますよね。小さいことをいちいちエラそうに指示したがる人。あれ、エラそうな人ほど、エラくなく見える、ということを、ご本人は分かっているのでしょうかね。

佐藤 私は基本的にはPRの出身なので、ぎえっ、と思うようなことがあっても、即、顔には出さないようにはしています。でも、相手が佐藤だとそうもいかないですよね(笑)。

清野 おっ。そこを聞くと安心します。佐藤悦子にしても、鉄の妻ではないんだ、と。

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著者プロフィール

清野 由美(きよの・ゆみ)

ジャーナリスト。
1960年生まれ。82年東京女子大学卒業後、草思社編集部勤務、英国留学を経て、トレンド情報誌創刊に参加。「世界をまたにかけた地を這う取材」の経験を積み、91年にフリーランスに転じる。国内外の都市開発、デザイン、トレンド、ライフスタイルを取材する一方で、時代の先端を行く各界の人物記事に力を注ぐ。『アエラ』『朝日新聞』『日本経済新聞』『日経ベンチャー(現・日経トップリーダー)』などで執筆。著書に『セーラが町にやってきた』(プレジデント社)、『ほんものの日本人』(弊社刊)、『新・都市論TOKYO』『新・ムラ論 TOKYO』(集英社新書・隈研吾氏と共著)『「オトコらしくない」から、うまくいく』(佐藤悦子氏と共著・日本経済新聞出版社)など。



このコラムについて

「オトコらしくない」から、うまくいく

 自分の仕事の枠や殻を越える、破るのは、だれにとっても難しい。今までの働き方じゃダメなことは分かっても、新しい方法を試すには勇気以上の何かが必要だ。それにはまず、今までの自分を外から眺めて、考えること、ではないだろうか。でもこれだって相当難しい。毎日鏡をのぞき込んでもオトコたちは「ヒゲばかり見て、顔のシワを見ない」のだ。

 この連載では、従来の「まっとうな、普通な、誰もが認めやすい」、いわば「オトコらしい」働き方をあえて外から見直して、殻を破った、破らせた人々のお話を、時には母、時には妹、そして時にはアニキの凄腕インタビュアー、清野由美さんにざっくばらんに紹介していただく。

 まず登場するのは、ユニクロを手がけたことで知られるアートディレクター、佐藤可士和氏…ではなくて、彼のプロデュースを担当する、佐藤悦子さん。え、なぜご本人ではないのかって? やっぱりオトコって、可士和さんといえども、なかなかすぐには鏡が見られないのですよ…(編集Y)

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