「ソニーのジレンマ」

IBMのノウハウ持ち込み変革を進める

ストリンガー会長兼社長の腹心が語る変革の行方

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2010年3月8日(月)

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 2009年6月、ソニーが新設したあるポストが話題になった。「チーフ・トランスフォーメーション・オフィサー(CTO)」。そこに就いたのは直前まで米IBMで半導体部門を率いていたジョージ・ベイリー氏だった。

 「ソニーのジレンマ」。第4回に登場するのは、ソニーの変革を主導するジョージ・ベイリー業務執行役員SVP CTO。就任からこれまで日本のメディアに対して沈黙を守ってきたハワード・ストリンガー会長兼社長の腹心が、初の単独インタビューに応じた。


(聞き手は広岡延隆=日経ビジネス記者)

 ―― 米IBMからソニーに移って半年以上がたちました。移籍の経緯を教えてください。

 私はハワード・ストリンガー会長兼社長とは旧知の仲です。ソニーの経営体制が昨年4月に刷新された時、私のソニーに対する見方も変わりました。その時からソニーを強力な経営チームが率いるようになり、製造やソフトなどの横串がきちんと通った、統合された組織もできました。

 こうした果断な動きを見て、ソニーは構造改革を推し進めて必ずやエレクトロニクス産業のトップに返り咲くと確信しました。そのストーリーを実現する一員になりたい。そう考えたのが、私がソニーに加わったきっかけでした。

コスト削減と進化を両立

ジョージ・ベイリー業務執行役員SVP チーフ・トランスフォーメーション・オフィサー(CTO)
1956年生まれ。79年米クレアモント大学院大学でMBA(経営学修士)取得。81年米ペパーダイン大学で人材活用や組織変革に関する修士取得。82年米タワーズペリン(現タワーズワトソン)、米プライスウォーターハウス、米ワトソンワイアットなどを経て、2002年米IBMのゼネラルマネージャーに就任し、ハイテク産業向けの営業及びコンサルティング事業を統括。08年IBMの半導体事業部門のゼネラルマネージャーに就任。09年6月 ソニー業務執行役員SVP チーフ・トランスフォーメーション・オフィサー(CTO)に就任、09年8月から情報システム担当を兼任し現在に至る
(写真:村田 和聡、以下同)
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 私はソニーへの移籍直前まで、米IBMの半導体事業を率いていました。IBMとソニーは東芝と一緒にゲーム機用高性能半導体「セル」を開発するなど良好な関係を築いており、私もソニーの経営陣を知る機会がありました。それまでのコンサルタント経験において、日本の電機メーカーと多くの付き合いがあったのもソニーへの移籍の背景にあります。

 ―― チーフ・トランスフォーメーション・オフィサー(CTO)は、馴染みが薄い言葉です。どんな役割なのでしょうか。

 ソニーにとってもCTOという役職は新しいものです。私は自分自身の役割をソニーの変革(トランスフォーメーション)を加速させることと考えています。具体的な内容は大きく2つあります。

 まずコストダウンです。競争の激しい業界ですからコスト削減は重要です。そのための手段の1つに、1カ所で共通業務を行う「シェアードサービス」があります。

 例えば、買掛金の支払い業務はこれまで各事業部で別々にやっていました。これを1つのサービスとしてまとめることで、効率を高めてスピーディーにできます。

 もう1つはさらに重要です。ソニーの内部にあるイノベーション(革新)、成長、新製品、新しいビジネス精神といったことに着目し、それを育てることです。そのためソニーの企業文化、ビジネスのやり方を研究しました。もっと身動きや意思決定を早くする方法を見つけたいと考えたのです。

チームの力、そしてそれがソニーの力

 ―― もう少し具体的に教えてください。例えば中川裕・副社長は生産、物流、調達といった部門を取りまとめて、コスト削減に力を入れています。ベイリーさんの役割とどう違うのでしょうか。

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著者プロフィール

広岡 延隆(ひろおか・のぶたか)

日経ビジネス記者。



このコラムについて

ソニーのジレンマ

2009年3月期に巨額赤字に陥ったソニーの業績が回復傾向にある。工場閉鎖や人員削減などの構造改革が奏功しているからだ。今年からは3D(3次元)液晶テレビや、映画やゲーム、音楽といった他社にない豊富なコンテンツ資源を活かした総合オンラインサービスも展開する。攻めに転じるソニーは完全復活を果たすことができるのか――。今後の成長戦略を託されたソニーの経営陣に、その狙いと勝算を聞く。

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