温暖化ガスを1990年比で25%削減する――。その目標を日本が達成できるのかどうかを論ずる前に、直視しなければならない現実がある。それは日本が環境分野で先進国どころか、欧米勢や中国勢の後塵を拝していることだ。
実態を明らかにするため、日経ビジネスでは2010年3月1日号で「環境後進国ニッポン」と題した特集を企画した。日経ビジネスオンラインでは、今まさに環境分野で起きているパラダイムシフトの現場をリポートする。
米国におけるクリーンテック(環境・エネルギー)分野での盛り上がりの一翼を担うのが、ファンドやベンチャーキャピタル(VC)といった投資家だ。この数年で、有力と見られているクリーンテック関連のベンチャーに、1億ドル規模を出資する事例も少なくない。
クリーンテック分野へ投資している主なファンドと投資先
| 代表的なファンドなど | 出資先 | 分野 | 金額※ |
|---|---|---|---|
| グーグル(Google.org) | イー・ソーラー | 太陽熱発電 | 1億3000万ドル |
| ブライトソース・エナジー | 太陽熱発電 | 1億1500万ドル | |
| マカニ・パワー | 風力発電 | 1500万ドル | |
| インテル・キャピタル | シー・パワー、グリッドネットなど5社 | 電力制御 システム |
1000万ドル |
| セコイア・キャピタル | イー・メーター | 電力制御 システム |
3200万ドル |
| ファウンデーション・キャピタル | シルバー・スプリング・ネットワークス | スマート メーター |
1億ドル |
| エナーノック | 電力制御 システム |
775万ドル | |
| クライナー・パーキンス・コーフィールド・アンド・バイヤーズ(KPCB) | シルバー・スプリング・ネットワークス | スマート メーター |
7500万ドル |
| ブルーム・エナジー | 燃料電池 | 4億ドル |
※複数のファンドによる共同出資の合計額を含む
表を見てもらえば分かるように、その投資先はクリーンテックを幅広く網羅している。最も目立つのは再生可能エネルギーだ。風力発電や太陽熱発電、太陽電池、燃料電池などに、大規模な投資をするファンドやVCが多い。「急速に伸びているクリーンテック分野は有望な投資分野だ」と、ファウンデーション・キャピタルのゼネラルパートナー、ウォーレン・ワイス氏は言う。
米グーグルや米インテルの子会社など、IT(情報技術)企業による投資が多いのも特徴だ。インテルの投資部門、インテル・キャピタルのマネージングディレクターを務めるスティーブ・エイシェンラウブ氏は、「クリーンテック分野への投資は、イノベーションを加速できるのが利点。インテルの半導体製品との親和性も高く、新たなビジネスを創出することでグループ全体の事業を加速できる」と語る。
このほか省エネルギー分野、電気自動車(EV)や電池などの次世代自動車関連への投資も増えている。パラダイムシフトが起きると見るや、一気に巨額のカネが流れ込んでイノベーションを加速させる。こうした動きは、米国、そしてシリコンバレーのダイナミズムを象徴している。
ファンドは米中韓、インドに熱視線
巨額の資金を動かすファンドやVCの目が向いているのは、主に米国や中国、韓国、そしてインドだ。ファウンデーション・キャピタルのワイス氏は、「日本企業には1990年代まで半導体分野で注目していたが、クリーンテックでは中国やインドに注目している」と説明する。著名ファンドのクライナー・パーキンス・コーフィールド・アンド・バイヤーズ(KPCB)のサイトを見ると、そこには英語のページとは別に中国語ページが設けられているほどだ。
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