第1回と第2回のコラムで、財務諸表の基本的な仕組みと財務分析の手法について説明しました。そして、それ以降の3回(第3回JALとANA、第4回ユニクロと丸井、第5回フォルクスワーゲンとスズキ)の分析でPLとBSを図にすれば企業の実態が直感的に把握できることをご理解いただけたと思います。
今回はアップルとグーグルを比較してみましょう。アップルは、iPod(アイポッド)、iPhone(アイフォーン)、iPad(アイパッド)と斬新なデジタル機器を世に出し続けています。まさに「アップル革命」といっていいでしょう。また、グーグルも検索ツールだけでなく、Gmail、Googleマップなど斬新なサービスを立て続けに世に出し、いまやネット業界に君臨する先進企業です。アップルやグーグルの名前を聞かない日はないくらいですが、これらの2社は財務的にはどのような会社なのでしょうか。
アップル(2009年9月期)とグーグル(2009年12月期)のPLとBSを同じ縮尺で図にしてみました。読者の皆さんはどちらがアップルでどちらがグーグルかわかりますか。
左がグーグル、右がアップルです。規模的にはアップルのほうが少し大きいですね。いままでの5回のコラムを読んできてくださった方はこの2社がいかに優良な財務体質であるかは見た瞬間にわかると思います。
グーグルの自己資本比率は88.9%で借金「0」。営業利益率が35.1%で、当期純利益率が27.6%の会社です。驚異的です。アップルもたくさんの利益剰余金を積み上げ、高い利益率になっています。
この2社で気になるのは総資本回転率(売上高÷総資本)の低さです。投下した資本を効率よく売上高に変えることができてないのでしょうか。
両社のBSを見て気付くことは流動資産の比率が大きいことです。実際のBSの流動資産の項目を見ると両社共に“Marketable securities"という項目に巨額の数字が記載されています。“Marketable securities"とは「市場性証券」と呼ばれるもので、流通市場で売買可能な株式や社債などの証券のことです。つまり、比較的簡単に現金に変えることが可能な株券や国債などのことですから、いわば現金に近いものです。この“Marketable securities"がグーグルは約1兆3000億円、アップルは1兆6000億円あります。グーグルでいえば現金と“Marketable securities"を合わせると2兆2000億円で、流動資産約2兆6000億円の約85%が現金のようなものなのです。アップルでいえば、現金と“Marketable securities"の合計が流動資産の約65%を占めています。
両社共に事業投資に向ける以上のお金が好業績によって会社に貯まってきているということなのでしょう。
アップルとグーグルを日本の企業と比較する
グーグルとアップルの売上高は2兆円〜3兆円です。これがどれくらいの規模なのかピンとこない方が多いかもしれません。日本の似たような規模の会社と比較しておきましょう。ソフトバンクと任天堂を比較対象として選びました。4社を同一縮尺で並べたのが次の図です。
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