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林業は途上国の産業という“ウソ”

労働集約から機械化へ転換する時期に来た

  • 梶山 恵司,戸矢 晃一

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2010年3月15日(月)

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 林業は労働集約産業であり、森林整備のためには外国人労働者を入れざるを得ないというのが、一般によく言われる見方だが、現実はその逆で、林業は先進国でないと成立するのが困難な産業である。

先進国で増加する木材生産

 このことは前回指摘した通りであるが、実際、世界の木材生産および木材加工の3分の2は先進国(北米、EU=欧州連合=およびオセアニア)におけるものである。残り3分の1は発展途上国やロシアだが、その多くは原生林伐採などによるもので、必ずしも持続可能な森林経営が行われているわけではない。植林・収穫を繰り返すことによって持続的に林業を行う基盤を構築しているのは、基本的に先進国なのである。

 しかも、先進国における木材生産は1990年代以降、増加してきている。特に欧州では、1992年から2006年にかけて、増加率は4割にも達するほどである(先進国丸太生産の推移)。

 ところが、先進国の中で日本のみ木材生産の低下に歯止めがかからず、林業の衰退が際立っている。これは木が若すぎたことに起因するものであるが、これからは50年を超える木も多く出るようになり、林業のビジネスチャンスがようやく顕在化することになる。昨年末に新政権が発表した「森林・林業再生プラン」で木材自給率50%を目指すとしたのも、こうしたことを背景としている。

 日本で林業を成立させるための課題を明らかにし、ビジネスチャンスを現実のものとするための具体的な施策を提示していくことが本シリーズの目的だが、今回はまず、自給率50%を目指すうえでの前提となる生産性の問題について、欧州との比較で分析する。

 なお、ここでいう木材生産とは、山にある木を根こそぎ伐採する皆伐を意味するものではない。現状行われている皆伐は、土壌保全や生物多様性の観点から問題であるばかりでなく、経済的にも成立せず、持続可能ではない。我々が目指すのは、森林の多面的機能を発揮するための前提となる、間伐(木を間引くこと)による木材生産である。

日本の生産性は欧州の20分の1

 現状、日本と欧州の生産性格差は、あまりにも大きい。

 例えば、欧州では林業機械を使っての1人当たり年間木材生産量は、最低でも2000立方メートルである。チェーンソーなどを使わず、すべて大型の機械で作業する完全機械化されたシステムであれば、生産量は1人当たり1万立方メートルを超える。仮に材価を1万円とすれば、単純計算で1人当たり売り上げは1億円に達することになる。

 これに対し、日本の場合、皆伐による木材生産でも、2000立方メートルを超えることはまれで、間伐では500立方メートルで優良な部類に入るほどである。その場合、売り上げは500万円にしかならず、そこから諸経費を引いていけば、機械経費はおろか人件費すらカバーできない。

 森林所有者が木材売り上げで収益を得ることなど夢のまた夢に終わってしまうだろう。これでは、所有者が森林への関心を失うのもやむをえない。

 このような生産性格差の大きな背景にあるのが、林業機械である。つまり、欧州と日本では機械の能力およびその使い方が根本的に異なるということだ。

 木材生産は、立木を伐採し、伐採された木の枝を払い、所定の長さに切って丸太にし(これを「玉切り」という)、これをトラックの通れる土場まで運搬する工程からなる。

 このうち、立木の伐採、枝払い・玉切りまでは工程が連続していることから、この工程は一つの機械で処理できる。ハーベスタと呼ばれる機械である。

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