3月1日号の「日経ビジネス」では、人材活用の研究と称して「働きがいのある会社」という企画を掲載している。従業員が働きがいを感じる会社とはどのような会社なのか。現実に、どこが働きがいのある会社なのか――。それを検証するためだ。
実際の調査を手がけたのは「Great Place to Work® Institute Japan(GPTWジャパン)」。参加を表明した81社に調査を実施、そのうち25社が「働きがいがある会社」という評価を受けた(25社の詳細は3月1日号日経ビジネスを参照、購読申し込みはこちら)(2011年版調査の参加申し込みは、contact@greatplacetowork.jpまで)(調査の詳細はこちら)。
ランキング上位にソフト開発や金融関連の企業が並ぶ中で、製造業として気を吐いたのがブラザー工業だ。11位〜25位にランクインした。ミシンの国産化から始まった同社は、今や世界的な情報通信機器メーカーに変貌。絶え間なく新規事業に挑戦し、時代の変化に対応した事業構造を作り上げている。
調査では従業員から「裁量が持てる」「チャレンジできる」「経営方針がわかる」といった点が評価された。入社3年目で米国事業に携わり、それ以降23年間も米国に駐在して情報通信機器事業を育てた小池利和社長は、同社の企業文化を体現したような存在だ。
―― 従業員は、「若手や現場に権限がある」「チャレンジできる」という点を評価しています。ブラザー工業の企業文化とはどのようなものでしょうか。
ブラザー工業社長。1979年に早稲田大学政治経済学部経済学科を卒業後、同年ブラザー工業に入社。3年後から米国事業に携わり、2000年にブラザーインターナショナルコーポレーションの社長に就任。23年間の米国駐在を経て、2005年に帰国し、2007年に現職に就いた(写真:早川 俊昭、以下同)
小池 私がブラザー工業に入社したのは、そんな社風にひかれたからです。大きな会社に入って歯車の1つになるよりも、2000〜3000人の社員がいる適度なサイズで、自分の責任で仕事を任せてもらえる会社として選びました。実際、私は入社3年目に米国事業を本格的に立ち上げる話があると、語学力も十分でないのに手を上げた。当社にはそんな若者にも権限を委譲する社風があります。それ以降23年間、米国に駐在して帰国した2年後の2007年から社長を務めています。
―― 小池社長が入社した当時に比べて会社の規模も大きくなっています。そんな社風を維持するために、社長として社員にどのように働きかけていますか。
小池 直接社員にメッセージを伝えることを大事にしていて、社内ブログを週に2回は発信しています。確かに以前は社員1人ひとりがお互いの考え方から家族構成まで知っているところがあった。今は規模が大きくなったので、まずは「隗より始めよ」で、社長の私から公私を厭わずすべてを開示することを心がけています。
―― ご自身をさらけ出すんですね。
小池 そうそう。普段の生活や日々の考えなど、ごちゃ混ぜですよ。だいたい週に1回はビジネスに関する考えを、残りの1回は生活や家族、趣味などについて書いています。
関係会社も含めて従業員が2万人以上もいるので、社長が何者かわからないと、社員にメッセージが伝わりません。社長というと偉そうですが、やっていることは野球観戦やハイキングなのかと。社員から「うちの社長はこんなもの。この程度の奴だ」と思われた方がいいんですよ(笑)。その方が親しみを感じて一体感が生まれ、メッセージも伝わりやすい。趣味や生活の話に自分の思いを連動させて、伝えたりもしています。
「社長」ではなく「テリーさん」
―― 社員の反応はいかがですか。
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