「「熱血!会計物語 〜社長、団達也が行く」」

第24話「誰も試みたことのない方法で、高性能リチウム電池をつくることができそうなんです」

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2010年3月17日(水)

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これまでのあらすじ

 日野原工業の社長となった団達也は、社名を「ヒノハラ」に変えて新たな第一歩を踏み出した。

 達也は、会社の経営に欠かせない人材であるエンジニアの金子順平を取り戻すために、上海にいるUEPC社のリンダに助けを求め、無事、金子はヒノハラに戻ってきた。

 リンダは金子を達也のもとに返すにあたって、交換条件を出していた。それは、1年以内に、金子の力によって世界が驚く新製品を開発し、真っ先に上海で発表すること、ビジネスパートナーはリンダの会社である『李団有限公司』にすることだった。

 ヒノハラは日豊自動車の購買部長に言われるまま、巨額の遊休設備を建設し、滞留在庫の山を築いてしまっていた。これが利益とキャッシュフローを圧迫し、経営は危機に陥っていた。

ヒノハラ役員会議室

 金子の夢のような話に真理らは釘付けになった。しかし達也は冷静に耳を傾けていた。電気自動車がガソリン自動車に取って代わるには、リチウム電池内の抵抗値を減らして、電圧と電流値を大幅に改善しなくてはならない。そして、そのカギは電池の負極材料と正極材料が握っている。

 「高性能リチウム電池は、世界中の会社が血眼になって開発しているんですよね。それに開発資金だって半端じゃない。金子さんには自信があるんですか」

 達也は珍しく慎重になった。留置場から解放されたばかりの金子が、ハイになっているだけなのかもしれない、と思えからだ。だが、金子は自信にたっぷりにこう言い放った。

 「誰も試みたことのない方法で、高性能リチウム電池をつくることができそうなんです。半年で完成させてみせます」

達也の自宅

 会議を終えて、達也と真理は豊橋20時43分発のひかりで帰京した。2人は毎日ひかりで東京の自宅からヒノハラに通勤している。座席に座るなり真理は眠りについた。だが、達也はこれからのことで頭がいっぱいだった。あの慎重な金子が電気自動車用のリチウム電池を作ってみせる、と断言した。日豊自動車との取引が先細ったいま、ヒノハラの命運を金子に託すしかない。

 達也が千駄木の自宅に戻った時、すでに23時をすぎていた。達也は上着を脱いで椅子に腰を下ろすと、ポケットから携帯を取り出して短縮ボタンを押した。

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著者プロフィール

林 總(はやし・あつむ)

林 總公認会計士、税理士、LEC会計大学院教授(管理会計事例)、林總アソシエイツ代表取締役。1974年中央大学商学部会計科卒業。経営コンサルティング、一般会計および管理会計システムの設計、導入指導、講演活動などを行っている。主な著書に『経営コンサルタントという仕事[改定版]』『よくわかるキャッシュフロー経営』『わかる!管理会計』『やさしくわかるABC/ABM』『餃子屋と高級フレンチでは、どちらが儲かるか?』『売るならだんごか宝石か』『美容院と1000円カットでは、どちらが儲かるか』『つぶれない会社には「わけ」がある』など。最新刊は『コハダは大トロより、なぜ儲かるのか?』『読む管理会計 企業再生編――「キャッシュ経営」で会社を救え!』『読む管理会計 粉飾決算編――会社の「ウソの数字」にダマされるな!』『ドラッカーと会計の話をしよう』『世界一わかりやすい会計の授業』『貯まる生活―見えない未来にそなえる家計マネジメント術』。自身のホームページの「団達也会」では、「団達也と真理と一緒に会計を語りつくそう」という会員向けのサービスを主催している。



このコラムについて

「熱血!会計物語 〜社長、団達也が行く」

 主人公の団達也は、シンガポール大学ビジネススクールで学んだ後、恩師の経営コンサルタント、宇佐見秀夫の薦めで中堅電子部品メーカー、ジェピーに入社した。達也は、当時専務の間中隆三らによる不正が常態化、粉飾決算が行われていた。経理課長に就任した達也は、経理部員の細谷真理とともに数々の不正を明るみに出し、間中らを追放した。
 経理部長になった達也は、ジェピーCFOとして会社の再建に着手した。その直後から隠れ負債が発覚し、工場には仕掛かり在庫の山。資金繰りに窮したジェピーは、銀行からも見放され倒産寸前だった。
 ジェピーを救ったのは、かつての級友、ジェームス。ジェピーは、同じく級友のリンダが勤めるアメリカの大手電子部品会社UEPCの傘下に入って新たな道を歩み出した。
 創業者未亡人の大株主、財部ふみの遺言で達也の手にはジェピーの株式が渡ることになったが、達也はそれを手放し、自分の手で会社を立ち上げようと決心した――。
 管理会計が専門の現役会計士である著者による、“読む管理会計”シリーズの第3弾。ストーリーを追いながら、経営に役立つ管理会計の最新の理念と実践的な知識が身につきます。
第一シリーズ【「熱血!会計物語 〜経理課長、団達也が行く」
第二シリーズ【「熱血!会計物語 〜経理部長、団達也が行く」

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