「小野譲司の「サービスで勝つ企業はここが違う!」」

待望の「業界横断」顧客満足ランキングが登場!

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2010年3月16日(火)

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 日本初の業界を横断した顧客満足度指数(JCSI)が出た。産官学で組織したサービス産業生産性協議会は、この分野での世界的なパイオニアである米ミシガン大学の調査方法(ACSI)を参考にしつつ、3年前から実験を繰り返しながら独自の調査方法を磨き上げ、ついに「日本版の顧客満足度指数」として、JCSI(Japanese Customer Satisfaction Index)が完成し、2009年度の本格導入となった(ランキング上位50社の指数はこちら)。

 実は、この指数の開発に、私自身も主査として参加した。なので、この指数の考え方をまず説明したいと思う。

 今回の顧客満足度指数(JCSI)の第一の特徴は、中長期で顧客満足度を測定することだ。顧客満足度の測り方にはさまざまある。例えば、レストランでの食事や、旅行における飛行機・ホテル利用の際に、帰り際に「満足しましたか」と利用客に聞くのはよくある方法だ。こうしたものは短期的な顧客満足度の測定である。それに対して、今回の指数は、例えばある外食店を一定以上利用した人に対して、過去1年間を振り返ってどれくらい満足したか、という形で満足度を調査している。

 そして、利用者に満足したかどうかだけでなく、「期待していたか」「サービスの質は良かったか」「価格を考えてサービスの価値は十分か」「もし他人に話すとすると、良い話題とするか、悪い話題とするか」「今後も継続的に利用したいと思うか」といった5つの項目についても調査している。あわせて6つの指数を算出することで、日本のサービス産業を顧客視点で評価し、業界横断的な比較をする仕組みとなっているのだ。

 こうした調査を準公的機関から発表すると、批判の声もあると思う。だが、この指数の開発の目的は、あくまでも日本のサービス産業の生産性の向上をめざしたものだということをご理解いただきたい。生産性は分母に投入量、分子に産出量という計算式で算出できるが、この指数はその分子をいかに高めていくか、という視点で作られている。

 言い換えれば、サービスの満足度を高めることは、それが相応の対価を支払ってくれる顧客創造にもつながり、ひいては生産性の向上に貢献するというのが基本的な考え方だ。経済産業省の委託事業として開発と実施が行われてきたが、これが行政指導に使われることはまったく目的としていない。

 今回の指数の革新的なことは、「業界横断的」な満足度指数となっていることだ。これまで、個別業界のサービス満足度調査は数多くあった。だが、業界の壁を越えて比較できるものはなかった。

 なぜ、そういうものが存在しなかったかというと、ひとつにはニーズがなかったと言える。それとともに、技術的に難しかったこともある。

 例えば、質問項目の文言を合わせるのに手間取る。外食店と携帯電話とで、同じ質問項目をつかって聞くのは意外と難しい。たとえば、一方は「価格」と呼ぶものを、もうひとつでは「料金」と呼ぶ。外食は一回ごとに食べるかどうかを決めるが、携帯電話は一度決めたらしばらく同じキャリアを使い続ける。そうした言葉の違いからサービスの性質に至るまで、いかに答えやすい質問にするか、実験的な調査も繰り返しながら磨き上げていった。

 なぜ、業界横断的な顧客満足度指数が必要なのか。これは、企業にとっての意義は、社内でやっている改善努力が、世間一般にどのレベルにあるのかが認識できる点にある。自分たちがやっている改善努力が、たとえばサービス業の最高峰といわれるリッツカールトンホテルやディズニーリゾートと比べて、どのレベルまで来ているのか。ひとつのベンチマークになると考えている。

 さらに言えば、現代のサービス競争は、同業種内だけでなく、異業種間でも起きている。エアラインと新幹線、小売りと外食は、同じ類のサービスとして競合し合っている。また、休日の過ごし方という意味では、ディズニーリゾートと百貨店とJリーグだって競争している。そこで、それぞれの企業が、業界を超えた戦いの指標にもなるわけだ。

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著者プロフィール

小野 譲司(おの・じょうじ)

小野 譲司明治学院大学経済学部経営学科准教授、博士(経営学)。 専攻は、マーケティング、サービス・マネジメント。サービス産業生産性協議会が実施するJCSI(日本版顧客満足度指数)に開発主査として関わる。
2000年、慶應義塾大学大学院経営管理研究科博士課程単位取得、明治学院大学経済学部専任講師などを経て2004年から現職。
主著に『顧客満足[CS]の知識』(日経文庫、日本経済新聞出版社)、『仕組み革新の時代』(有斐閣、共著)、『顧客ロイヤルティの時代』(同文舘出版、共著)、『消費者・コミュニケーション戦略』(有斐閣アルマ、共著)、『バリュー・プロフィット・チェーン』(日本経済新聞社、共訳)、『顧客資産のマネジメント:カスタマー・エクイティの構築』(ダイヤモンド社、監訳)など。個人のブログはこちら



このコラムについて

小野譲司の「サービスで勝つ企業はここが違う!」

「日本版の顧客満足度指数」であるJCSI(Japanese Customer Satisfaction Index)の指数を様々な角度から分析していく。業界全体の評価は低くても、1社だけ飛びぬけた企業もある。そうした企業は何が優れているのか。業界全体が苦境に追い込まれているところは、他業界と比べて何が違うのか。また、デフレと言われる経済状況の中で、「価格」という要素がどう顧客満足に影響しているのか…。この指数の開発に主査として参加した筆者が分析していく

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