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第10回 「おはよう」から「おやすみ」まで、化粧をしている彼女の覚悟

2010年3月30日(火)

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 編集Yです。昔、パソコン雑誌のお仕事をしていた時に、当時中学生だったギタリスト、村治佳織さんに、ご実家でインタビューしたことがありました。写真を撮るために演奏のポーズをお願いしたところ、彼女は実際にギターを弾きはじめ、しかも、演奏に納得がいかないらしく、すごく素直に「すみません、もう一度いいでしょうか」と断って何度もやりなおしました。「いや、音は写りませんからそのくらいで」と、私を含めて居並ぶおっさんたちが誰ひとり突っ込めなかった。オレはこんな姿勢で仕事しているかな? なんだか「さわやかに負けた」気分で、会社に引きあげました。

 さて今回も厳しいお話です。自分の好きなことを仕事の中で、たとえ数%でもやっていくには、何が必要か、を突きつけられます。しかも女性は、我々男性に比べ圧倒的に大変に面倒くさいことを毎日こなした上で働いている。それだけでも、我々男性は驚嘆すべきだと思います(見ている分には楽しそうだけど)。「化粧だろ? そんなの別にしなくたって気にしないよ、素顔でいいじゃないか」などとおっしゃるご同輩、女の人がお化粧をするのは、自分のためだけではないのです。(編集Y)

清野 佐藤さんは、クラランスのプレスに就任された時、その時点でクラランスに足りないものがぱっと見えた、とおっしゃいました(第2回「SAMURAIは『価値のないもの』に敏感であれ」参照)。クラランスに限らず、次にゲランに移られた時もそうだったし、SAMURAIのマネジャーに就任した時は、佐藤可士和さんがおっしゃった「時代のアイコンになりたい」という言葉に、「だったら、ここが足りていない」と、課題点をすぱっと切り取って示されました。

佐藤 本人に向かって、それほど率直に言ったわけではないのですが、自分の中では整理していました。

清野 そういった整理は、どうしてできるのでしょうか。

佐藤 ひとえにその対象を真剣に見ているからだと思います。

清野 見ているだけ?

佐藤 いえ、見ているだけではないですね。見た上で、自分なりに納得が行くか分析して、言語化していきます。

 たとえばクラランスだったら、ブランドとしての成り立ちや製品の素晴らしいところと、それから社会におけるクラランスのポジションや見え方を真剣に考えました。

画像のクリックで拡大表示

清野 化粧品に限らず、ある商品なり製品なりをPRすることが仕事だったら、それらのよさを考えるのは、当たり前ですよね。なので、佐藤さんの方法論の鍵は、後者の「社会における見え方」という視点にありそうです。

佐藤 「見え方」を考えるのは重要ですが、その「見え方」をどうすべきかを読むことが、対象物の本質の理解に関わってきます。誰かに何かを伝えたいなら、両方の要素をともに真剣に見ることが必要なのではないかと思います。

清野 む、難しい……。

佐藤 クラランスを例に取りますと、知れば知るほど製品の素晴らしさでは、他を圧倒するオリジナリティやストーリーがあるのが分かりました。クラランスでは製品の本質には関係ない過剰なファッション性は排除していて、それもブランドの誠実さの表れでした。ただ、それは内側から見た場合は大きな長所なのですが、外側から見た場合は、それゆえ逆にブランドのよさが十分に伝えられていない、ということにもつながっていました。

清野 「社会における見え方」を、もっと身近に解釈すると、佐藤さん自身に消費者の視点がある、ということですか。

佐藤 そうだと思います。ただ、「消費者」というよりは、「世間一般」の視点がある、といった方が正しいでしょうか。

「自分なら買うか?」で、対価を強く意識できる

清野 モノにしろ、サービスにしろ、自分がお金を出して買いたいか、買いたくないか、そのあたりの判断基準って、女性はすごく厳しいですよね。しかも、いつでも「安いから買う」というわけじゃなくて、「対価があるかどうか」という点にすごく敏感ですよね。佐藤さんも、その辺の対価意識というものは厳しいですか。けちけちしている、という意味ではなく。

佐藤 けちではないと思うのですけど(笑)、無駄なものは買わないし、無理なのにがんばって買ってしまう、みたいなことはしないですね。それから、買う方ではなく、お金をいただく立場になった時にも、対価意識はすごく出るかもしれません。

清野 どんなことでしょう?

佐藤 ごく稀にですが、佐藤の仕事のパフォーマンスがちょっと下がっているな、と感じた時には、「このプロジェクトでいったい、いくらいただいていると思っているの?」と言ったりすることがあります。

清野 うわっ、厳しい。厳しいけれど、すごく大切なことかもしれない。

佐藤 クライアントからいただいたフィーに値する最高のパフォーマンスを提供するのは当然の義務だ、ということは、佐藤に限らず社内では常にリマインドするようにしています。

清野 普通、それは社内や仲間うちで思っていても、なかなか口には出せないです。というか、逆効果になる恐れもすごくあるから、滅多なことでは口に出せません。どうしても必要な場合でも、言い方や状況によっては、人間関係が永久に決裂しかねないし。

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「第10回 「おはよう」から「おやすみ」まで、化粧をしている彼女の覚悟」の著者

清野 由美

清野 由美(きよの・ゆみ)

ジャーナリスト

1960年生まれ。82年東京女子大学卒業後、草思社編集部勤務、英国留学を経て、トレンド情報誌創刊に参加。「世界を股にかけた地を這う取材」の経験を積み、91年にフリーランスに転じる。2017年、慶應義塾大学SDM研究科修士課程修了。英ケンブリッジ大学客員研究員。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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