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アカデミーでなく、先住民の支持を得た映画「アバター」

巨大なすり鉢状になった「聖なる山」も現実にある

  • 谷口 正次

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2010年3月25日(木)

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 インドのオリッサ州で、英国の鉱山会社がアルミの原料であるボーキサイトを採掘するプロジェクトを進めている。採掘対象の山は、豊かな森に覆われ、そこで自然と調和して暮らす先住民族たちにとっては、聖なる山であるとともに森を破壊し川を汚染されると生きていけないといって激しく抵抗している。

 会社側は「“貧しい”子どもたちのために学校を作り、道路も作り、便利な生活ができるようにするというのになぜ反対するのか」と主張する。しかし、先住民たちは「そっとしておいてほしい」と訴える。そして会社側は、最後に強制的に移住させる構えだ。

 SFファンタジー映画「アバター」のことを知った先住民族たちは、強制的に移住を迫られ、聖なる山が崩されようとしている実態は、まさしく現実の「アバター」だと言って、自分たちを映画に登場する宇宙衛星パンドラの先住民ナビ(Navi)と重ね合わせて、国際NGO(非政府組織)ばかりか、「アバター」を監督したジェームズ・キャメロン氏にも手紙を送って援けを求めている。

真髄は3Dよりもストーリー

 筆者は、去る2月18日にも「映画『アバター』は“資源の呪い”を描く」と題するコラムを書いたが、その時点で「アバター」は米映画賞の最高峰、アカデミー賞の最優秀作品賞、監督賞の最有力候補であった。

 多くの人たちが受賞を疑わなかったと思うが、予想に反して、3月7日に行われた選考結果では、キャメロン監督の元妻であるキャスリン・ビグロー監督による「ハート・ロッカー」が作品・監督賞など計6冠を獲得して圧勝した。

 「アバター」は撮影賞、美術賞、視覚効果賞といった技術関係の部門賞3冠に終わった。しかし、その世界興行収入では史上最高記録を更新し、今もなお快進撃を続けている。

 米有力紙のUSA Today(USAトゥデイ)によると「(選考に当たった)アカデミー会員は、結局のところ売れたかどうかではなく、映画作りの土台や基本のところに1票を投じたのだ」と分析した。土台や基本とは、結局、SF映画はアカデミー賞にはそぐわないジャンルということか(それなら、なぜあれほど前評判が高かったのか。作品賞にそぐわないということは最初から分かっていたのに、なぜ最有力候補になったのか)。

 日本でも、3DによるSFファンタジーで観客を魅了して興行成績10週連続トップを続けている。NHKの番組「クローズアップ現代」でも取り上げられた。ここでは、3D映像についての解説・論評が中心であった。

 「アバター」に関して、ストーリーに対する日本の観客の反応は、「あまりに単純なので途中眠くなった」という感想が多かったようである。どうやら、日本の多くの観客は3Dの映像のファンタジーとその迫力に魅せられただけということになりそうだ。

 しかし、キャメロン監督自身もインタビューで語っていることであるが、筆者に言わせれば、ストーリーこそ「アバター」の真骨頂なのである。

 だから、SFファンタジーとは言え、そのストーリーの現実味を考えると、アカデミー賞の技術部門賞だけしか獲れなかったことは割り切れないものを感じる。そして、アメリカの保守派の人たちが「アバター」を反米映画ととらえ、米国海兵隊を侮辱するものだとして批判の声を上げたこともアカデミー会員に影響を与えたのではないかと憶測したくなる。

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