「購買行動を創造する「通販のヒミツ」」

ネット通販企業と百貨店の“相性”を診断する

【最終回】競合から補完へ、関係性が変わり始めた

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2010年3月26日(金)

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 通販企業に勤める女性3人組、藤野香織と榊理恵と中津川あや。いつものように、行きつけのダイニングカフェで通販談義に花を咲かせている。

 「今日は2人にお土産があるの!」と、あやは何やらガサゴソと、鞄から袋を取り出した。「え? 何々? 『おいもや』というお店のスイーツ? おいしそう♪」。お土産を確認した理恵がはしゃぐ。「これって、楽天市場で人気の芋スイーツのお店じゃない。ネット通販でしか買えないと記憶してるけど・・・。わざわざ私たちのためにお取り寄せしてくれたの?」と香織があやに尋ねる。

 「実はこれね、さっき百貨店で買ってきたの。今、東京・池袋の東武百貨店で、楽天市場とのコラボレーションによる物産展を開催中なのよ」とあやは、つい先ほどまで視察していた会場の様子を語り始めた。

 3月25〜30日まで、東武百貨店池袋店にて「楽天市場うまいもの大会」が開催中です。これは、楽天が運営する通販サイト「楽天市場」に出展する50店舗が、ネットからリアルに飛び出した百貨店とのコラボ物産展です。以前も取り上げましたが(「“まちこ”は、顧客を満足させるか?」)、1月には西武百貨店池袋本店にてヤフーの通販サイト「Yahoo!ショッピング」とのコラボ物産展「人気グルメ&スイーツお取り寄せ市」が開催されたことは記憶に新しいところです。

「通常の催事よりも20歳ぐらい、年代が若い印象」

 さて、「楽天市場うまいもの大会」の初日である3月25日(木)に、早速、東武百貨店に行きました。雨天にもかかわらず、開場前から百貨店入口では来店客が列をなすという人気ぶりです。

 「月に1回は全国の物産催事に出展している」という出店者によると、「通常の催事よりも20歳ぐらい、年代が若い印象」とのこと。普段、ネットをよく利用する若い世代がチラシを持って駆けつけたようです。

 会場内は通路が広めで比較的ゆったりとした作りでしたが、「魔法の壷プリン」を販売する神戸フランツの店頭には、開店から1時間足らずで、1時間待ちの行列ができるなど、催事開始直後から会場はごった返し、通路は人で埋め尽くされていました。

 会場内にはテレビ局の取材も各社入っており、その日の夜のニュースや、翌日の朝のニュースなどで取り上げる予定だそうです。その注目度の高さがうかがえました。

 出展店舗を見ると、楽天市場内で人気の店舗のほか、地域の強みを生かした新商品の開発・販売に取り組む中小企業を支援している「中小企業基盤整備機構」(以下、中小機構)が共催ということもあり、百貨店に初お目見えする、地方色豊かな物産品も数多く出展されていました。「サイトで購入していただくと送料がかかる。今回はその送料分を引いて、さらにお得にした特別セットを用意した」という店舗も多く、買いやすいように通常ネットで販売しているサイズをばらして、小分け販売するブースも目立ちました。

 来場者をリアルからネットへ誘導する工夫も随所に見られました。商品の購入者に楽天市場内で使えるクーポンを配布したり、会場内の楽天ブースで携帯電話からメールマガジン登録をすると商品券が当たる抽選会を実施していたりしました。

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著者プロフィール

藤野 香織(ふじの・かおり)

大学卒業後、大手量販店に入社。食器、キッチン用品、寝具、インテリア、玩具など住居関連の売り場責任者とバイヤーを経験。現在はカタログ・ネット通販企業に所属する現役バイヤー。著書は『製造業・小売業のバイヤーが教えるThe調達・仕入れの基本帳77』(日刊工業新聞社)、『ヒットする! PB商品 企画・開発・販売のしくみ』(同文舘出版)。

榊 理恵(さかき・りえ)

新卒で通信教育業界に入ったのを皮切りに、企画制作、販促、マーケティングなどと立場と会社を変えながら「通販」に十数年間、携わり続ける。

中津川 あや(なかつがわ・あや)

大学卒業後ネット通販企業に入社。コールセンターのスーパーバイザーとして、長らくクレーム対応に携わる。その後、バイヤー、データ分析など様々な業務に携わって今に至る。



このコラムについて

購買行動を創造する「通販のヒミツ」

モノあふれで生活する満ち足りた消費者に、どう購買意欲をわき立たせるかは、小売業にとって共通の課題だ。リアル店舗を持たない通販ビジネスでは、“見えない消費者”の心をつかむ絶え間ない努力や工夫が必要になってくる。通販ビジネスを解き明かすことは、消費者の購買行動を赤裸々にすることにほかならない。

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