「ケータイユーザーの「トリセツ」」

「できなくて当然、が許される」という心理

消費者は、自分では何もしなくなる

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2010年4月8日(木)

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 「パスワードを忘れました。教えてください」

 私(吉田文儀)はクロス・コンセプト(大阪市)という会社を立ち上げて、様々な業界の企業ケータイサイトの運営・サポートを手掛けています。業界や企業に関係なく、ケータイサイトの登録利用者からいただく問い合わせ件数で常にトップ3に位置するのが、「パスワード忘れ」です。

「企業が対応してくれる」と甘えているのでは?

 パスワードは、改めて言うまでもなく、情報を保護・管理するための重要な役割を担っています。「絶対に忘れないように」と、いつも同じパスワードを使うようにしている人も少なくないでしょう(これはこれで、安心とは言えないのですが)。

 そんな人にしてみれば信じられないかもしれませんが、パスワード忘れの理由を尋ねてみると、登録時に、

・「その時に好きな歌のワンフレーズ」などノリで設定した

・どこにもメモせずに、適当に文字列を入力した

 といった人が案外と多いのです。そして、いざ必要となった時に「あれ? なんだっけ?」となってしまうのですね。

 このパスワード忘れに関する問い合わせ、対応自体は簡単です。登録者自身がケータイサイトでパスワードを再取得できるようにしておき、そのサイト画面を案内すればいいだけですから。カスタマーサポートにしてみれば、すぐに問題を解決できる“安心な”問い合わせ、とも言えます。

 しかし、こうした問い合わせが一向に減らない、ということ自体が、少し気になります。

 自分の登録情報を自分で管理しようとしない――この姿勢の裏には、「聞けば教えてくれる」という意識があるように思えます。しかも、企業は問い合わせに対して、ほとんどの場合は無料で応じますし。

 企業が消費者に対して親切になればなるほど、消費者は自分では何もしなくなり、ある意味、企業に“甘える”構図が生じるのかもしれない、と感じています。

 そんな甘えが“エスカレート”していった結果なのでしょう。「自分本位でしか物事を考えていないのでは」と思わざるをえないようなケータイメールを受け取ることもあります。例えば、次のような文面です。

 「送ってくんな 訴えんぞ」

 メールマガジン(メルマガ)の配信を停止してほしいという意味でしょう。このような場合、言葉は不穏ですが、カスタマーサポートは気にせず、解約手続きの方法をご案内します。

 「こっちはウェブで制限されとんねん そっちでなんとかしろや ボケ 退会希望じゃ わかっとんのか お(おうおう、分かったのか? の意)」

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著者プロフィール

吉田 文儀(よしだ・ふみよし)

クロス・コンセプト代表取締役。1954年生まれ。79年に米ハワイパシフィック大学経営工学部中退後、米半導体商社などを経て、94年に産業機器用コンピューターを手がけるために独立。そこでケータイサイトを中心としたソフトウェアやシステム開発を行うようになり、2009年6月にクロス・コンセプト(大阪市)を設立。飲食店、ドラッグストア、ファストフードチェーン、食品販売、ゴルフ場などのケータイサイトに関するシステム開発やカスタマーサポートセンター(Webコンシェルジュ)運営を受託し、合計で数百万人というケータイサイト会員を抱える実績を持つ。

飛田 恵美子(ひだ・えみこ)

フリーライター。1984年生まれ。2006年に明治大学政治経済学部を卒業後、地域新聞を発行するタウンニュース社に入社。町の著名人へのインタビューやお祭りのパンフレット制作を行う。2008年に退職後、映画作品の分析評価や教育系フリーペーパーの編集補助の仕事に携わる。



このコラムについて

ケータイユーザーの「トリセツ」

携帯電話の進化が著しい。通話だけでなく、メールやショッピング、テレビ、おサイフなど、様々な場面で使われている。既に1人1台が当たり前となったケータイによって、新たな企業と消費者の接点が生まれた。これまでになかったコミュニケーションツールの登場は、消費者の購買に関する意識や行動に何らかの影響をもたらすはずだ。そこで、ケータイユーザーからカスタマーセンターに寄せられる問い合わせやクレームなどを通じて、今どきの消費者の行動を探るとともに、顧客対応のあり方についてヒントを提供する。

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