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社会福祉法人が育てた「現代アート」の新星たち

共同スタジオ「アトリエ インカーブ」《前編》

  • 高嶋 健夫

バックナンバー

2010年4月1日(木)

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 経済の成長戦略が問われる日本。そのためには、新たな付加価値を創り出していく企業の存在が不可欠だ。そこでカギを握るのは、企業を支える人材にほかならない。

 どうやって1人ひとりの能力を最大限に引き出すか――。この解の1つが、「ダイバーシティ(多様性)」だ。年齢や性別などバックグラウンドの異なる人材が互いの立場を尊重しながら議論する中から生まれる「集合知」が、組織に創造性や活力をもたらすという考え方である。

 実際、日本企業でも女性や外国人を登用する動きが出始めている。ただ、見逃されている層がある。「障害者」だ。

 法定雇用率1.8%(従業員56人以上の民間企業の場合)をクリアしている企業は、2009年6月現在いまだ45.5%に留まる。本当の意味で障害者を「戦力化」できている企業は稀なのが現状だ。多くの企業経営者や人事担当者にとって、障害者雇用は「渋々ながら取り組んでいる義務」あるいは「やむを得ず支払っている社会コスト」というのが本音であろう。

 だが、「障害のある社員」が生産や販売、顧客対応、さらには商品企画・開発の現場で、「即戦力」として企業に貢献しているケースは少なくない。健常者にはない斬新な着眼点や発想力を持つ彼らの働きは、社内に刺激を与え、組織を活性化する。それにより、障害者の活躍の場がさらに広がる。こんな好循環が、企業パフォーマンス向上に結びつき、新たな企業価値を創り出している。

 「なぜ、彼らはうまくやっているのか?」。本コラムでは、障害者雇用の最前線の取材を通じて、「企業におけるダイバーシティ=人材力を最大限に発揮する経営」の真髄を探っていく。

 大阪市の南端、平野区瓜破(うりわり)。地下鉄谷町線喜連瓜破(きれうりわり)駅から車で10分ほど走った大和川の護岸沿いの住宅地に、現代美術界が注目する新進気鋭のアーティスト集団の活動拠点がある。共同スタジオ「アトリエ インカーブ」だ。

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 運営しているのは社会福祉法人素王(そおう)会(今中博之理事長)。ここは知的障害のある人のための「指定生活介護事業所」、いわゆる通所施設なのだ。現在ここには「絵を描くことが大好き」な24人の知的障害者が通っている。それぞれが思い思いに絵筆を取り、自由なスタイルで自分が描きたい絵画の制作に明け暮れている。

 そんな福祉施設の活動の中から、コンテンポラリーアートの世界で脚光を浴びる作品が続々と生み出され、ニューヨークをはじめとする国内外の有力画廊が作品を取り扱う「新進作家」が何人も誕生している。中には、1点数百万円もの値が付く作品もあるほどだ。

 アトリエ インカーブのアーティストたちの作品は、世間の人々が一般に抱くような“知的障害者が描いた上手な絵”といった固定観念をはるかに突き破り、「芸術作品」として斯界に確固たる地位を築いているのである。

 ある人は「現代アートの奇跡」とまで言う。けれども、それは偶然の産物ではなく、ある社会起業家の挑戦から生まれた成果なのである。一言にまとめるなら、「既存の社会システムの仕組みを巧みに組み合わせて、“障害者のチカラ”を引き出す1つの社会実験」と言えるかもしれない。

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