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障害者のチカラを引き出す“社会実験”

共同スタジオ「アトリエ インカーブ」《後編》

  • 高嶋 健夫

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2010年4月8日(木)

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 通所する知的障害者がのびのびと才能を発揮できる環境作りに徹する「アトリエ インカーブ」(大阪市平野区)。その理念や運営方針を端的に表すユニークな“所内用語”がある。

 ここでは、通所者を「クライアント」と呼んでいるのだ。その理由を、アトリエ インカーブのエグゼクティブディレクターでもある今中博之氏は「施設にとって利用者はあくまでもお客様ですから」と事もなげに言い切る。

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 ここに通う知的障害のある人は現在24人。定員は20人なのだが、通所希望者が後を絶たないため、「ギリギリいっぱいまで受け入れています。それでも空き待ち状態が解消されない」と今中氏は嬉しい悲鳴を上げる。今もわざわざ東北地方から引っ越してきて、住民票も移して通所を続けるクライアントがいるほか、評判を聞きつけた保護者などからの問い合わせは毎日のように全国各地から寄せられるという。

 通所希望者の受け入れ条件は「絵を描くのが好きなこと」だけ。ただし、単純に絵が好きなら誰でもOKというわけではない。事前にこれまでに描いた作品を提出してもらい、その人のスキルや才能、意欲、適性などをきちんと評価したうえで、本人や家族との面接を行って最終的に受け入れるかどうかを判断する。

 「1人でも多く受け入れたいが、キャパシティに限界がある以上、シビアに選考せざるを得ない」(今中氏)。

実力主義による自立支援

 入所を果たした後も、時に「実力による厳しい選別」が通所者を待ち受けている。すべての「クライアント」がそのまま「アーティスト」として独り立ちできるわけではない。画廊での委託販売も、美術館での作品展示も、すべては「第三者による客観的な評価」に委ねているのである。

 例えば、ある美術館で作品展を企画した場合、誰の作品を取り上げるかは、あくまでもその美術館の学芸員が決定する。作品展の前には必ず24人全員の作品を一堂に並べ、一切の情実なしで自由にピックアップしてもらう選考会を開くのが決まりだ。当然、いつも選ばれる人もいれば、期待していたのに選ばれなかった人も出てくる。アーティストとして作品を扱われたことがあるのは現在のところ、10人ほどに留まっている。

 実力勝負は障害のあるなしには関わらず「渡る世間の常」だし、ましてやアートの世界は作品がすべて。それはその通りだが、なぜそこまで「客観的な評価」をシビアに貫くのか。

 その理由は、作品の売り上げがそのままクライアントの「個人収入」になる仕組みにしているからでもある。通所者の作品はアトリエ インカーブの公式ウェブサイトや各地の画廊などで販売しており、作品が売れた場合は諸経費を除いた全額が当人の口座に払い込まれる。

 では、作品が単独では売れない人の収入はどう確保しているのか。アトリエ インカーブでは、クライアントの作品を使用した様々なオリジナルグッズを開発し、同じようにウェブサイトや各地の美術館のショップなどで販売している。ブローチやストラップなどのアクセサリー類、ブロックパズル、Tシャツ、トートバッグなど、その数は20点ほど。これらのオリジナルグッズの売り上げは一律「24分の1」が各人に還元される。つまり、通所者全員でシェアする仕組みにしているのである。

 障害のある人でも、持てるスキルや才能が「仕事」となり、そこから「収入」を得て、「自立」できる仕組みを作る。障害者の自立支援を、こんな明確な成果配分方式で実践しているのである。

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