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不動産バブル崩壊も、「ワクワク感」を失わないドバイ

「地の利」による成長モデルは日本にも通ず

2010年4月9日(金)

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「経営レンズ箱」はこちら(2006年6月29日~2009年7月31日まで連載)

 ドバイはなかなか奥が深い。

 2009年11月に政府系持ち株会社ドバイワールド、その傘下の不動産開発会社ナヒールが債務の見直しを求め、ドバイの先行きに暗雲が立ち込めたのは、ご存じの通り。アブダビからの支援もあり、とりあえず当面の危機は脱しそうだという報道もなされているが、巨額の石油収入を持たないドバイ経済については、悲観的な見通しを持つ向きが大半だろう。

 今年3月に同地で会議があり、いわゆるドバイショック後、初めて現地を訪ねた。そこで得たのは、悲観論とはうらはらに、「不動産開発モデルが駄目でも、しぶとく強みを活かして成長しようとするドバイ」という強い印象だった。

7つ星ホテルのレストランは満席

 前回の訪問は、昨年の11月、WEF(World Economic Forum、通称ダボス会議)の本会議での議題を詰める専門家会合のためだった。

 ちょうど金融危機のあおりを受け、ドバイの経済成長継続に疑問が呈されている時期だったのだが、皇太子のスピーチでも、現地のビジネスパーソンたちからも、その1週間後の債務見直し発表に直接つながるような悲観的な話は全く出てこなかった。

 「大変だが、何とかなるだろう」という感覚だったのか、銀行との交渉状況など、悪い話の全体像がトップの耳に入っていなかったのか、あるいは、分かっているからこそ、強気の姿勢を崩せなかったのか。

 なんとなく、1990年代初頭の日本で我々の多くが、資産バブル崩壊と不良債権のインパクトについて、その深さと長さを本当には理解できていなかったことを思い出させた。

 不動産開発を中心とする大型開発プロジェクトを打ち出し、それが最終フェーズに至る前に、次々と新しいプロジェクトを開始する。それが、海外から人と投資をどんどんひきつけ、また新たなプロジェクトにつながる。

 現段階で見れば、ドバイにとって、この開発型モデルが経済成長の原動力となる時代が、当面戻ってこないことは間違いなさそうだ。

 さて、今回こういう悲観的な先入観を持ってドバイに行ってみたのだが、街の雰囲気が意外なほど明るく、活気に溢れているのには驚かされた。

 7つ星ホテルのレストランは、相変わらず予約が取りづらいらしく、私のグループもトライしたものの、結局入れずじまい。なんとか隣のホテルの屋上にあるバーで10人分の席を確保したのだが、ここもあっと言う間に満席になってしまった。フライトの都合で、深夜1時半過ぎにホテルをチェックアウトした際にも、長時間の食事やパーティの帰りなのだろう、数多くの(主として中東地域からの)宿泊客が、タクシーで続々と帰還していた。

 水族館が売り物のショッピングセンターとホテルの複合施設には、観光客がわんさかといる。イランから来たのだろうか、目だけを出して、あとはすべて黒装束で身を包んだ女性を含む大家族の一行。もう少し世俗寄りのイラクやトルコからの人々。こういった人たちに加えて、インド、アフリカ、中国といった新興国のビジネスパーソンや、欧米からの駐在員ファミリーなどが、混雑した観光施設の中で、様々な言語で話しながら、すれ違いあっているのは、なかなか壮観だ。

 何よりも、中東地域の人たちから、強い好奇心や「ワクワクした」感じ、あるいは、将来への希望といったものが、強く伝わってくる。ベールの下で表情が伺えなくても、何か前向きのエネルギーに満ちている感じなのだ。

 もちろん、すべて明るい話ばかりというわけではない。

 あちらこちらで建設工事が中断しており、ほぼできあがった建物が塀で囲われているのを何カ所も見かけた。塀の前で、パキスタン辺りからの出稼ぎだろうか、警備員諸氏が多数所在なげに過ごしているのも目立つ。完工にこぎつけた大型プロジェクトも、次期フェーズに進むメドは全く立っていないものがほとんどだという。

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「不動産バブル崩壊も、「ワクワク感」を失わないドバイ」の著者

御立 尚資

御立 尚資(みたち・たかし)

BCGシニア・パートナー

京都大学文学部卒。米ハーバード大学経営学修士。日本航空を経て現在に至る。事業戦略、グループ経営、M&Aなどの戦略策定・実行支援、経営人材育成、組織能力向上などのプロジェクトを手がける。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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