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あなたは学びやすい人か、それとも「学ばないことを学んでしまった」人か

【特別対談】東京大学“ラーニングバー”中原淳さんと大人の学びを考える(前編)

  • 鈴木義幸

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2010年4月6日(火)

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 コーチングのトッププロである鈴木義幸氏が、各界で活躍するリーダーやリーダー論者に会ってリーダーシップの磨き方を語りあう。今回のテーマは「大人の学び」。対談者は東京大学・大学総合研究センター准教授である中原淳さんだ。

 「大人の学び」は中原さんの専門である。「学び」の研究領域といえば、これまでもっぱら子どもたちの勉強だった。だが、世の中には、勉強とはまたちがった学びを実践している大人たちも多い。大人は何を誰からどのように学ぶべきなのか。中原さんは、これを研究している。

 中原さんは大人の学びの機会を提供するプロデューサーでもある。研究者や実業家が集い、学習やコミュニケーションなどを語りあう「ラーニングバー」を東京大学で定期的に開いており、毎回好評だ。

 春は新しい学びをはじめたくなる季節。コーチングのプロと学びのプロによる“学び談義”をお届けする。

(写真:佐藤 類、以下同)

中原淳(なかはら・じゅん)

東京大学・大学総合教育研究センター准教授。北海道出身。大阪大学より博士号授与。「大人の学びを科学する」をテーマに、企業・組織における人々の学習・成長・コミュニケーションについて研究する。研究室は研究者や実業家を招いて行う“Learning bar@Todai”をプロデュース。共編著・共著に『企業内人材育成入門』(ダイヤモンド社)、『ダイアローグ 対話する組織』(同)、『リフレクティブ・マネジャー 一流はつねに内省する』(光文社新書)、『職場学習論』(東京大学出版会、近刊)。
Blog:nakahara-lab.net,U-TOKYO Twitter ID:@nakaharajun

鈴木義幸(すずき・よしゆき)

コーチ・エィ取締役社長。慶應義塾大学文学部卒。マッキャンエリクソン博報堂勤務を経て、渡米。ミドルテネシー州立大学大学院臨床心理学専攻修士課程を修了。帰国後、コーチ・トゥエンティワンの設立に参画。延べ200社以上の企業において管理職を対象とするコーチング研修を行う。また200人を超える経営者、管理職のマンツーマンコーチングを実施。著書に『職場スイッチ―ひとりでもできる会社の空気の入れ換え方』(ダイヤモンド社)、『リーダーが身につけたい25のこと』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)、『エグゼクティブ・コーチング入門』(日本実業出版社)など。

鈴木:中原先生は、これまであまり学問的研究が多くなかった“企業で働く大人の学び”について着目し、研究してこられました。まず単刀直入に訊きますが、「学ぶ」という行為を中原先生はどんなふうに定義しているのですか?

中原:話を聞いて、考えて、対話して、気づき、行動する。ここまでするのが「学び」だと考えています。それで、何かが「変わること」、何かを「変えること」が学びです。

 たいていの人は「学び」に対して、話を聞いて、聞いて、聞いて、家に帰る、というイメージをもっていると思うんです。つまり、知識の記憶が「学び」ということですね。有能な人の話を聞く講義も大切ですが、そこで情報や知識を獲得することだけが学びなのではないと思います。そんな世の中にある「学び」のイメージを変えたいのです。

 僕は、自分が変容することこそが、「学び」の本質なんだと思っています。周りからの影響で自分が変容する、あるいは、自分が周りに発信しつづけて変化を起こしていくうちに自分も変容する。いずれにしても、一連の過程で自分が変わってこそ、学んだ、といえるのではないでしょうか。

「それってどうして?」と聞けますか

鈴木:すごくいいお話です。次の質問をさせてください。一人ひとりの人間を見てみると、学びやすい人と学びにくい人がいる気がします。中原先生は、どこにその違いがあると思いますか?

中原:クルト・レヴィンという研究者の提案した方程式に、「B=(P・E)」というものがあります。難しいことはありません。人間の行動や認知は、パーソナリティ(P)と環境(E)の関数として定義される。もっとひらたくいえば、パーソナリティ、つまりキャラと環境によって決まっちゃうということですね。

 どちらも重要ですが、僕は、このうち後者の環境に着目します。正直にいえば、個人というものは、どんな環境に置かれているか、誰といっしょにいるかによって、ずいぶん違ってしまうと思うんですよ。

 子どもは、気付いたことを「あれなぁに?」とか「これどうして?」とか、すぐ口にしますよね。もともと人間は、普通に人と接していれば、話してみて、気付くことがあって、変わっていきます。

 でも、“萎縮した子ども”である大人は、置かれた環境や上下関係などに阻害されて、そうした変容のプロセスを踏めないことが多い。会社の上司に「それってどうしてですか?」と聞こうとする前に、「うちの会社は上司にそんなことを尋ねる風土じゃないよな」というセンサーが働いてしまう。

 自分が本来もっていた姿をうまく表せない大人が、「あの人って学ぶことのできない人だよね」と見られるのではないか。そして、学べない状況が続くと、その人は学ばないことを学んでしまう。「どうせ学んでも何も変わらないんだ」って。そういう負のスパイラルによって陥るのが、「学習性無力感」というものです。「無気力」っていうのは、「学習」されてしまうものなのですね。

鈴木:たしかに、学ばないことを学んでしまった人はすごく多い。そういう人が再び学ぶようになるには、何が必要なのでしょう?

中原:学ぶようになる要因も、やはり周りの環境や人が大切なんでしょうね。もちろん、パーソナリティの問題もあるのでしょうけど、僕は、教育学としては、周囲の環境や人に注目したいです。学んだ成果に対して周りの反応がなかったり、裏切られたりすれば、学ばないことを学んでしまいます。

 でも逆に、学びのきっかけになる環境や人との出会いがあれば、「もう一度やりなおせるかも」とか「学びなおそうかな」とか思うようになるかもしれません。しかし、一度獲得されてしまった、この種の「信念」を変えるのは、そう容易なことではありません。そのきっかけが具体的に何かはわからない。

 鈴木さんはどう思いますか?

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