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障害に関係なく、社員を活かすのが人事の鉄則だ

マイクロソフト《後編》

  • 高嶋 健夫

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2010年4月22日(木)

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 マイクロソフトには、前編で紹介した全盲のITエンジニアである細田和也さんのような「障害のあるIT(情報技術)エンジニア」の育成を目指す「ITラーニングプログラム」という独自の就業支援プログラムがある。

障害者のためのインターンシップ制度

 一連のアクセシビリティ機能も活用しながら、単に「パソコンが使える」といったレベルではなく、IT業界に就職できる高度なITスキルと資格取得を目的にした本格的な教育研修プログラムだ。研修期間は1年間で、その間はマイクロソフトの契約社員となる。いわば、障害者のための本格的なインターンシップ制度である。

ITラーニングプログラムの概要

 高度なITスキルの修得を目的にした障害者のための就業支援プログラム。研修生はマイクロソフトの契約社員となり、1年間の研修期間中に「MCP(マイクロソフト認定プロフェッショナル)」などの資格取得を目指した専門的なIT研修を受講する。

 2009年度のプログラムでは、原則として月・水・金は午後1~5時までマイクロソフト代田橋オフィスで研修プログラムを受講。火・木は午前10時~午後5時のフルタイムで社内の様々な職場でビジネス実習を行う。

 ITの専門トレーニングのほか、ビジネスマナーなどの一般ビジネス研修もあり、年明け後からは面接トレーニングや企業紹介などの就職活動サポートも行う。月・水・金の研修日は新宿から迎えのバスを運行しているが、帰りは各自がそれぞれ帰路につく。これも「就職後の満員電車での通勤に慣れるための準備」(人事本部採用グループの木原暁子さん)という。

 2007年にスタートし、3年間で約35人が受講。この5月半ばには、第3期生14人が新たに社会に巣立っていく。受講者の障害特性は、下肢不自由、脳性麻痺、精神障害、内部障害など。年齢は20歳代~40歳代半ばまでと幅広く、男女別では男性8、女性2の比率。研修修了後の就職率は5割前後という。

障害者を特別視する現状

 第3期生の1人である30歳代の女性は下肢と精神の複合障害を抱えながら、このプログラムによって、最上位の資格である「MCSE(マイクロソフト認定システムエンジニア)」を取得した。以前もマイクロソフトで働いていたが、体調を崩して離職。一昨年秋から再就職を目指して就職活動を開始したものの、約40社を回っても就職先が見つからず、このプラグラムに応募した。

 「実は1社内定をもらえたのですが、私が障害者手帳を持っていることが分かると『この仕事を長く続けることは無理』と取り消されてしまった。それならばと、もう一度勉強し直して、今後の道を切り拓こうと考えたんです」と動機を語る。

 目下、就職活動中だが、障害者として応募しても、今度は「こんなに高いスキルは必要としていませんと、断られることも多い」と嘆く。せっかく専門資格を取得してもそれを生かせる会社が少ないのが、今の最大の悩み。「宝の持ち腐れにならないように、障害のあるITエンジニアにもっと門戸を開いてほしい」と訴えている。

 この就業支援プログラムを立ち上げたのも、細田さんと同じく、全盲の女性社員だった。人事本部採用グループに所属するHRスペシャリスト、木原暁子さん。HRとは「ヒューマン・リソース」の略。木原さんもまた、手探りで「居場所」を作り出してきた障害のある社員の1人だ。

 木原さんは7年前の2003年、眼病を治療するために受けた手術がうまくいかずに失明した。それ以前は人材派遣会社に勤務。教育担当や営業所長を務めるなど、着実にキャリアを積み上げていた。「自分が失明するなんて想像もしていなかった」と語る、ごく普通のキャリアレディーを突然襲った事故。会社も退社せざるを得ない状況に追い込まれた。

焦っても空回りするだけ

 ここから、木原さんの奮戦が始まる。失意の退院からわずか2カ月後には、再就職を目指して就職活動をスタート。音声ソフトを使いながらパソコンで履歴書を作り、数十社にアプローチした。

 目が見えていた頃はもちろんパソコンを使っていたが、ワープロや表計算ソフトなどごく一般的な業務だけ。音声ソフトを使うのも初めてなら、そもそも「自宅用のパソコンも、失明してから初めて買ったくらいでした」と木原さんは笑いながら振り返る。

 まだ光を失ったばかりで、日常生活もままならない状態。焦る気持ちばかりが空回りしていた。そんな無謀とも言える挑戦がうまくいくはずもない。雇ってくれる会社はどこにもなかった。

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