「誤解だらけの日本林業」

日本は「木の文化の国」という“ウソ”

多様な木材利用も多様な森づくりにも、永遠に到達できない

  • 梶山 恵司,戸矢 晃一

>>バックナンバー

2010年4月12日(月)

1/6ページ

  • このエントリーをはてなブックマークに追加はてな
  • mixiチェック
  • Facebookでシェアする 0

印刷ページ

 日本は「木の国」「木の文化」と言われ、誰もがそう信じてきた。全国各地に存在する神社仏閣や古民家などの木造建築は、世界にも類を見ない文化遺産であり、まさに日本の木の文化の象徴そのものである。これに対し欧州では基本的に歴史的建造物は石造りであり、日本と対比させれば、石の文化ということができるだろう。

 これはいわば一般に言われている常識ともされているものだが、常識が必ずしも真実というわけではない――。

途切れた日本の木の文化

 日本の過去は確かに木の文化だったと言えるが、果たしてそれが現代にも継承されているかどうかは別問題である。

 日本で木の文化を強調する時に必ず引用されるのが、住宅の木造比率が高いことだろう。実際、住宅の木造比率は4割を超え、戸建てに限ればその比率はさらに高まるはずである。しかし、このことがそのまま、日本が木の文化を継承し、それを現代に活かしているということにはならない。

 そもそも、日本の住宅の平均寿命は30年に過ぎず、このような木の使い方と、数百年も続く建造物を作ってきた伝統的な木の文化とを同列に置くことはできない。また、最近では伝統的な木造工法とは言いながら、木質ボードで壁を張って柱を隠す大壁工法の普及によって、木の家を直接感じることができる家が少なくなっている。

 日本では、戦後、森づくり・木材利用ともに単純化しており、木の文化はむしろ衰退してしまったのではないだろうか。

家庭で、オフィスで、実感できる木の利用

 これに対し、ドイツでは木造住宅比率こそ2割前後にとどまるものの、コンクリートやレンガ造りなどとの違いを図るためもあり、木造であることを生活の中で常に感じることができる作りになっている。構造材も太く、かつふんだんに使った作りであるうえ、これを見せるような工法とすることで常に木を感じることができるわけだ。

 頑丈な作りということはまた、何世代にも受け継がれる家でもあるということでもある。この世代を超えて受け継がれることこそ、歴史となり、文化となっていくものだ。

 欧州では全般に木の利用が日常生活に根づいており、その利用も高度化・多様化している。石造り・レンガ造りの家であっても、屋根の部分は木造であり、いわゆる屋根裏部屋は総木造と言ってもいいほど木造住宅そのものである。

 木の利用は構造材にとどまるものではない。家具、壁やフローリングなどの内装材、窓枠など多様である。多様な木材利用があってはじめて、人々は日々の暮らしの中で木の良さを感じることができるのであり、多様な木材利用は、木の文化を育むベースとなるものである。

木材をふんだんに使ったドイツの木造住宅
画像のクリックで拡大表示

 ドイツではまた、オフィスにおいても、家具や内装などに木を多用し、オフィスの知的生産性を高めるよう高度な木材利用を進めている。日本のオフィスが机や引き出しなどの家具のみならず、壁などもスチールでできているのとは対照的である。

 さらに、近年では木材需要の拡大を図るべく、集合住宅やオフィスビルまでも木造となるなど、ドイツにおいて、木の文化はますます熟成してきていると言えるだろう。

木造オフィスビル
画像のクリックで拡大表示

ここから先は「日経ビジネスオンライン」の会員の方(登録は無料)のみ、ご利用いただけます。ご登録のうえ、「ログイン」状態にしてご利用ください。登録(無料)やログインの方法は次ページをご覧ください。



関連記事

コメント

参考度
お薦め度
投票結果

記事を探す

読みましたか〜読者注目の記事