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【第4回】クチグセで企業を再生させる

2010年4月20日(火)

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再生の現場にこそ良いフレーズを

 これまで3回にわたって、再生の現場での「時間」と「合意形成のためのルール形成」と「人」の重要性についてお伝えしてきた(記事一覧)。今回は、実際に改革の主人公となる経営陣と社員に着目し、彼ら・彼女らが一枚岩になって動けるようにするための「仕掛け」の重要性についてお話ししていく。

 昨年1月、「Yes we can!」のフレーズとともにバラク・オバマ上院議員(当時)が米国第44代大統領の座に就いた。このフレーズは米国民のみならず世界中の多くの人を魅了し、「オバマ大統領の演説CD」は爆発的なヒット商品となった。そう、良いフレーズは人を惹きつけ、人を動機づけ、そして方向づけるのである。

 翻って再生の現場においても、良いフレーズは非常に重要な意味を持つ。社員を惹きつけ、社員を動機づけ、社員を方向づける。墨書し、額縁に入れ、社長室や応接室のいちばん目立つところに飾るのも良いが、筆者は社員一人ひとりにまで「クチグセ化」させてこそ再生の現場ではその効力を発揮すると確信している。これこそが、改革で最も重要な一機能を担うことになる「仕掛け」にほかならない。

なぜ再生の現場は「良いフレーズ」を必要とするのか?

 経営危機に陥った、とある企業を思い浮かべていただききたい。

 再生のための事業計画が完成した。ステークホルダー(債権者、株主、社員組合、取引先等)もこれに合意している。債権者からは返済の履行を、株主からは企業価値向上を、社員組合からは雇用の確保と賃金の現状維持を、取引先からは廉価での製品の安定的供給を引き続き求められているが、「三方一両損」の原則に則り、それぞれ痛み分けする形で事業計画が完成した。

 では、「これで再生は半ば達成したようなもの」と言い切ってしまっていいだろうか? 多くの読者のご賢察の通り、むしろ大変なのはここからである。

 少し前の話になるが、筆者は、さる大手上場企業からの要請で、その出資先企業に再生担当役員として派遣されたことがある。1000人近い社員を有するこの派遣先の企業は、高い製品開発力とそれを実現するための高い製造技術力を有しており、「いい物を作れば必ず売れる」という、過去の実績によって裏付けられた確固たる自信に満ちあふれていた。

 歴史的には市場の成長率以上のスピードでシェアを伸ばしてきた同社だったが、ひとたび市場の成長が止まると、今度は急激なコスト競争に巻き込まれ、シェアを維持するために赤字覚悟での製造・販売を続けていた。その結果、10期以上連続で赤字を計上し続け、筆頭株主である上場企業からの借入も年を追って増大し、このままいけば債務超過の状態に陥るのも時間の問題という状況にあった。

 筆者は、一緒に経営支援に入ったコンサルタント2人とともに、まず経営課題の特定とその解決策をまとめ、大筋でステークホルダー(筆頭株主と主要取引先)の承認を得た後、定量的な事業計画に仕上げたものをベースに、社長の口から直接社員に向けたプレゼンテーションを行ってもらうように準備を進めた。

 この間、およそ1カ月。プレゼンテーションは自社が財務的に危機的な状況にあること、シェア志向から利益志向に切り替えるためにやらなければならないこと、そのための打ち手とそのスケジュール、財務面・オペレーション面両方からの目標数値といった内容から構成されていた。

 しかし実際にはこうした施策が最初から社員にすんなりと受け容れられることはまずない。むしろ反発や抵抗でもって迎えられるのが常である。この企業の場合でもご多分に漏れず、様々な反論が社員から返されてきた。

 「儲からないからといって、頑張って開拓した顧客との取引を停止したら信頼を失い、二度と再参入できなくなる!」「高い製品開発力がうちの強み。それを販売計画が立たないというだけの理由で停止するとは何事か!」、「結局、人切りがしたいだけだろ!」等々。

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