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新社会人よ、「一芸あるオトナ」を目指そう!

――もうジェネラリストは要らない?

2010年4月20日(火)

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 前回(「『中国での日本人処刑』に国権を考える」)、前々回(「『遠山の金さん』の三権分立論(1)」)と話が大掛かりになってしまい、シリーズのテーマが見えにくくなってしまったかもしれません。僕のツイッターでも補足するようにしましたが、ちょうど年度の初めでもあり、新たなスタートを切ったフレッシュパーソンの皆さんにエールを送る気持ちも込めて、職業人の専門性について考えたいのです。おりしも今年は「ゆとり」第一世代が4年制大学を出て新社会人になるというタイミング。「ゆとり」を持って育った(?)世代がどんな風にオトナの社会に入ってゆき、また社会自身もどのように変化してゆくか、たいへん気になるところです。

 以前、大学内の仕事で「大学での人材育成方針」というのを(今考えると冷や汗ですが、僕1人で)書いたことがあります(『動け!日本』[動け!日本タスクフォース編、日経BP]参照。僕は「教育分野での挑戦」など分担執筆しました)。プロジェクトリーダーだった当時の小宮山宏・東京大学工学部長(後に副学長を経て東大総長)と設定した大前提は、

ジェネラリストは要らない

育成すべき人材は、ジェネラルな業務できるスペシャリスト

 というものでした。

 でもこれ、大学が実質的に教育機関としての役割を全うできていない日本の現状では、新人研修の時期である年度アタマに社会に向けて発信すべきメッセージなんじゃないか? という思いがありましたので、「ゆとりフレッシュパーソン」のタイミングに合わせて、こんなふうに準備してみました。

主権者は素人!

 ここでもう一度、前回までの話をおさらいしておきましょう。日本国憲法を参照しながら民主主義の大前提を確認するなら、日本国民受けてきた教育、身につけた特定の能力や技術によって差別されることなく、誰もが等しく権利と義務とを負う主権者であることが分かります。

 つまり主権者は能力を問われない。憲法の保障するところ、日本国民一般はあらゆる専門に関して素人であるという重要なポイントが分かります。そんな国民の代表であるはずの議員、代議士さんたちもまた、あらゆる専門について素人が大前提。もちろん実際には、お医者さんや弁護士が議席を持つことになりますが、医師免許や弁護士資格が立候補の条件じゃないですよね? つまり議会=「立法府」(特に二院制での「下院」)はすべての専門について素人の合議体であるという、これまた一般に認識されにくい、でも大切な原理(「常識の源流」?)が明瞭になると思います。

 「1つの国を成立させるためには、ありとあらゆる高度な専門能力が必要ですが、主権者国民はあらゆる能力について素人である」。これって、歴史的にも普通のことで「あらゆる国の王様は、支配者・権力者であって、特定の専門に能力を持つことはほとんどない」という事実の延長で考えると、自然に理解できるような気がします。天皇がご学問所で歴史や海棲生物を研究するとしても、それは国事行為ではありませんよね?

 しかし、1つの国を立ち上げ、それを動かしてゆくには、多くの高度な専門の知恵が必要です。今、国権を3つに分け、「司法権」「立法権」「行政権」と区分した時、各々のトップをコントロールするのは(王様であっても、国民主権でも)常に素人であること。そしてもうひとつ、「立法権」は素人の代表が合議するものという特徴を、ここで考える必要があります。

 これ、本来は、議会というのは特定の専門家だけの会合でなく、あらゆる社会構成員が参加するというのが、ありうるべき理想なのだと思います。そういう「民主主義」でもありえますが、現実にはタレント議員の跳梁跋扈などに端的に見るように「衆愚政」への堕落を常に警戒しなければならないのが、21世紀日本の隠れない現実でしょう。今の議員さんたちには、どのような確固たる専門性の背景をも期待できないし、またそもそも期待してはいけないというのが、今日の状況でしょう。

素人議員の「仕分け」悲喜劇

 そういう現実を最も痛切に感じたのが、先般の「事業仕分け」パフォーマンスでした。参議院選挙を念頭に、また第2弾を進めるようですが、財政政策でそれらしくカッコよさげなパフォーマンスをするのは(どこかの自動車メーカーで外人社長が断行してみせたように)比較的簡単なこと。本当にたいへんで難しいのは、長年かけて専門家たちが作り上げ、よりよく磨いてゆく経世済民の政策(という意味での「経済政策」)であって、これは選ばれたばかりの政権、素人議員が手を突っ込んで乱暴にかき回すような性質のものではない。ここを大きく勘違いしていることに、率直に亡国の念を持っています。

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