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おかしいことは、「おかしい」と言い続ける

なぜ医薬品をネットで販売してはいけないのか

  • 後藤 玄利

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2010年4月23日(金)

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 ヒトはネットとどう向き合うべきか。

 インターネットが普及し、今や生活や仕事に欠かせない社会インフラの役割を担いつつある。この新しいツールの登場は、従来の制度や仕組みに一石を投じる。

 例えば、ネットと選挙。国会議員がブログやツイッターなどを通じて発信する影響力は、もはや無視はできない。一方で、現在の公職選挙法は、ネットの存在を想定していない。こうした現状を問題視する声が上がっており、今国会ではネット選挙に関する議論が行われることになる。

 ネットの存在感が増すにつれて、目立ってきた現実とのギャップ。それは、ネットと選挙だけにとどまらない。こうした動きを先んじたと言えるのが、医薬品のネット販売だ。

 3月30日、東京地方裁判所は、厚生労働省による医薬品の一部についてネット販売を禁じた省令を「合法」とした。

 なぜ医薬品をネットで販売してはいけないのか。

 日経ビジネスでは、この問題をこれまでも取り上げてきた(「ネットの『常識』司法に通ぜず」2010年4月12日号、「薬事法規制を嗤う“脱法”の真意」2009年11月9日号、「改正薬事法、犠牲にされた1億3000万人の利便性」2009年6月29日号)。

 国を相手取って訴訟を起こした後藤玄利氏は、医薬品・健康食品などのネット通販大手ケンコーコムの社長である。今回の判決に納得が行かず、4月12日、正式に東京高等裁判所に控訴することを発表した。

 図らずも“ネットとリアルの狭間”に立たされた後藤氏は、現在進行形の事態に何を思うのか。ここに至った一連の出来事を、本人が振り返る。

 「インターネットは危険あふれる不法地帯である」

 そのように断じたと言っても過言ではない内容の判決が下された。3月30日、東京地方裁判所の法廷で岩井伸晃裁判長が「原告の訴えを却下する」と判決文を読み上げたのを耳にした時は、正直ショックだった。最後の最後まで、司法は法の番人だ、と信じていた――。

 ケンコーコムは、2009年5月25日、国を相手に訴訟を起こした。発端は、医薬品のインターネットを含む通信販売を一律規制した厚生労働省が出した省令だ。「省令」というのは、その名の通り、省庁の一存で決められるルールである。役人が自分たちの判断で作ることができるルールである、と言ってもいいかもしれない。

 今回の省令ができる前は、医薬品のネット通販は何の問題もなく行われていた。電話やファクス、電子メール、ウェブサイトなどを使って、薬剤師などの専門家が日本全国の利用者に対して説明責任を果たす形で販売していた。利用者側も、近くに薬局がなかったり、近くで売っていないような医薬品を買いたかったりする場合など、ネット通販で購入していた。

 体に不自由があったり、人と対面すること自体に苦痛を感じたりなど、薬局やドラッグストアなどの店頭まで出向くこと自体が難しいという人もいる。店頭で買うのがはばかられるような医薬品もある。利用者はそれぞれの事情や都合から、ネット通販で医薬品を購入し、健康を維持していた。この意味では、医薬品のネット通販は、既に社会に根付いた必要不可欠なサービスとして地位を確立していた。少なくとも、私自身はそう信じている。

突然、出現した「対面の原則」

 ところが、厚労省は突然「対面の原則」なるものを省令の段階で出現させ、医薬品のネット通販を禁止した。ちなみに、国会議員によって審議される改正薬事法には、「対面の原則」は一言も記載されていない。にもかかわらず、公務員である官僚(と一部の既得権益団体)が、「医薬品は店頭で買うべし、それができなければ置き薬や配置薬を使えばいい」という、乱暴としか思えない規制を打ち立てた。それが、施行されてしまったのである。

 この省令については、対抗手段として意を同じくする仲間たちと一緒に、「パブリックコメントでちゃんと意見を言いましょう」というキャンペーンを張った。すると、ネット通販に関して2300件以上の意見が寄せられ、しかも約97%が規制に反対という結果を得た。にもかかわらず、厚労省は強行突破したのだ。

 2002年から今日まで、ケンコーコムではネットを通じて医薬品をできる限り安全に、そして安心して購入してもらうために創意工夫を凝らしてきた。お客様に活用してもらうことで成長してきた。もちろん、私たちだけではない。医薬品をネットで販売する多くの事業者は、それぞれが工夫を凝らし、お客様のニーズに応えてきた。そのような中で強行されたこの省令は、到底、納得できるものではなかった。

 そこで、「この省令は営業の自由を侵害する違憲・違法なものであり、無効である」として、ケンコーコムと同じように薬剤師が医薬品を適正に販売してきたウェルネット(横浜市)とともに訴訟に踏み切ったのだ。

コメント74件コメント/レビュー

自社の商売が「ネットは危険である」という一言で潰されそうになるのだから、声を上げるのは当然だと思いますが。ただ、賛否どちら側も論理的ではないと感じます。問題点は何で司法はどんな判断をしたのか、判決文をよく読む必要がありますね。(読んでなくてすみません。)(2010/04/30)

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いただいたコメント

自社の商売が「ネットは危険である」という一言で潰されそうになるのだから、声を上げるのは当然だと思いますが。ただ、賛否どちら側も論理的ではないと感じます。問題点は何で司法はどんな判断をしたのか、判決文をよく読む必要がありますね。(読んでなくてすみません。)(2010/04/30)

革新的なことが成就し定着するには時間が掛ります。歴史の審判などと大袈裟な物言いをしなくても。事実人間の知力は決してそんなに優れているとは言えず、本当に良いのか悪いのか決まるにはそれなりの過程を踏むしかないのでしょう。信念確信を持っているのであれば廻り道があっても到達できるものと思います。健闘を祈ります。(2010/04/30)

薬と毒は紙一重のものだと思っています。近所の薬局で、話を聞いてもらい選んでもらう方が安心できます。なによりも、ネット販売しなきゃいけない意味が分からないのです。 近くに薬局がなくて…なんていう地域には、出張販売車でという方法もある気がしますし。(2010/04/28)

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