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材価が下落したから儲からないという“ウソ”

新しい林業を実現する「将来への投資」も始まった

  • 梶山 恵司,戸矢 晃一

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2010年4月26日(月)

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 これまで4回にわたり、日本の林業について海外の事例も交えながら日本林業にかかわる様々な誤解について指摘してきた。それらを踏まえて、今回からは、「では日本の林業を再生するにはどうすればいいのか?」という視点から、新しいモデルや展望、残された課題などについて書いていきたい。

 今回取り上げるのは、林業の新しいビジネスモデル構築に向けて、どのように条件を整備していくかである。

材価の下落が迫った林業のパラダイムシフト

 日本の林業経営は、かつてないほどに厳しさを増してきている。これは、それまでの木を植えて育てる保育の時代から、間伐した材を搬出して利用する時代へと林業のあり方が変わったこと、長年にわたって国際価格を大幅に上回っていた木材価格が世紀の変わり目にかけて急落し、国際価格に収斂(しゅうれん)したことに起因している。しかも、これがほぼ時を同じくして起こったことが、現場の混乱に拍車をかける結果となった。

 保育の時代は使う道具もチェーンソー程度であり、単純労働主体だったことから、それほど特別な訓練がなくても、地元の人を雇用して何とか対応できた。

 これはまた、木材生産においても似た状況だった。例えば、スギの価格は1970年代半ば以降、一貫して立方メートル当たり2万円を上回る高値で取引されてきた。

 この材価では、例えば1人1日当たり2立方メートルも生産すれば、それだけで売り上げは4万円以上となる計算である。これは簡単な機械でなんとかこなせる量であり、機械の償却負担も低く抑えることができたことから、それほど特別な訓練を受けていなくても、採算を合わせることは難しいことではなかった。

 また、人力主体の作業が主だったことから、木材生産も保育同様、地元の雇用で何とか対応できたうえ、その大部分は高齢者で子供の養育負担からとっくに解放されていること、農業などとの兼業で家もあることなどから、低い賃金でも、低い生産性でも支障が生じることはなかった。

 ところが、2万円を割って材価が下がってくると、要求される技術水準が格段に高くなり、従来の延長では太刀打ちできなくなってくる。

 例えば、材価1万円で4万円の売り上げを達成するためには、単純計算で4立方メートルが必要ということになるが、これはもはや林業機械を駆使しなければ達成困難な水準である。そうなると、機械のみならず、そのオペレーターを雇用するなどの新規投資が必要になってくる。

 そして、機械も人も新たに投資するとなると、今度は安定した事業量を確保していかないと、機械の償却もできず、給与も払えないということになりかねない。つまり、林業機械を使いこなすためには、単に現場の技術力のみならず、年間を通して事業量をどう安定的に確保していくか、営業力・マネジメント力そのものが大きく問われることになるということだ。

 このように、保育から利用へと林業が一大転換期を迎えるのと並行して、材価が1万円の時代になったことから、大正時代のものとも言える日本の林業モデルは、一気に近代経営への脱皮を迫られることになったのである。そうした意味では、日本林業が直面しているのはパラダイムシフトそのものである。

国産材は天然の非関税障壁に守られてきた

 それではなぜ、日本の木材価格は長年にわたり、国際価格の倍もの水準を維持することができたのだろうか。木材輸入は既に1965年に完全自由化されていたが、それにもかかわらず国産材は、30年以上にわたり国際価格からかけ離れた価格で取引されてきた。

 その最大の理由は、木材には天然の非関税障壁が存在したためである。

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