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「COP10」開催で考える真の環境経営

グローバル時代を生き抜くヒントは、生物にあり

  • 常盤 文克

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2010年4月28日(水)

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 「生物多様性」という言葉が、にわかに注目を集めています。国際条約の一つである「生物の多様性に関する条約」の締約国が集まる会議(COP10)が、今年10月に名古屋市で開かれるからです。会議の狙いは、地球上の多様な生物と生息環境を守りながら、その恵みを将来にわたって享受し続けるための議論を交わすことにあります。

 議題から透けて見えるのは、人間が自然やその生物多様性を、自分たちに都合のいいように見ている、ということです。例えば、生物多様性から得られる利益を各国でどう配分するか、といった議論もその一つ。豊かな生物多様性が存在しているのは主に新興国ですが、そこから得られる利益を享受しているのは先進国です。利益の享受や分配を前提にして、生物多様性を保護し持続させる議論をするのは、ちょっと本質的におかしい気がします。

社会貢献としてアピールするのはいかがなものか

 あたかも人間が自然を支配しているかのような視線で生物多様性を議論するのではなく、自然と共存しながら、人間が生き物たちの生き方を学ぶという姿勢が大切です。豊かな自然の中に生きる生き物たちの多様性には、様々な「知」が潜んでいます。企業はその知から学び、どう日々の活動に生かしていくか。それが企業にとって、生物多様性を維持する意味を見いだしていくうえで重要な点です。

 では、なぜ生物の多様性を維持することが必要なのでしょうか。それは人によって、また立場によって解釈が異なります。

 第一に「種の保存」という視点が挙げられます。この地球上には何千万種ともいわれる生物が存在しており、食物連鎖などで上手に結びついてバランスを保ちながら、豊かな生態系を形成しています。そこにあるのは、生き物たちの「いのち」の連鎖と「生」の循環です。人間もその一部なのですから、この連鎖と循環を断ち切ってしまうと、大変なことになります。だから人間は、自然界の生き物たちと調和した社会を作っていかなければなりません。

 2つ目は、生物多様性が人間に多くの生物資源や生物機能を提供してくれているということです。食糧や木材、石炭、石油といった資源に限らず、植物による光合成や微生物による分解や発酵といった生物機能など、どれも人間にとってなくてはならないものばかりです。そう考えると、生物多様性とは人間が生きていくための社会インフラだと言っても過言ではありません。だからこそ、このインフラを大事にしながら持続可能な人間社会を実現していく、という視点が欠かせません。

 そして3つ目は、企業は生物多様性を形成する一員として、その復旧と持続に取り組むべきだ、という考え方です。企業は社会の発展や経済の成長に大きく貢献してきた一方で、森林を伐採し、山を切り崩すなど自然環境を破壊することで、自然から利益を享受してきました。だからこそ、企業はいま生物多様性を修復し、守り、その恩恵をきちんと機能させ続ける責務を負っているのです。

 ところが、それを社会貢献の一つとして取り上げ、いかにも「我が社は自然保護に貢献しています」と言わんばかりに声高にアピールしている企業も少なくありません。まるで自然保護が利益として手元に戻ってくることを期待しているような姿勢が垣間見えるのは、いささか疑問を感じます。

 時にはマーケティングの手段に利用することもありますが、これはちょっとおかしな話ではないでしょうか。生物多様性とは本来、こうした利害得失を超えて、それぞれの企業が分相応に果たしていくべき取り組みなのです。

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