• BPnet
  • ビジネス
  • IT
  • テクノロジー
  • 医療
  • 建設・不動産
  • TRENDY
  • WOMAN
  • ショッピング
  • 転職
  • ナショジオ
  • 日経電子版

障害のあるベテラン社員が語る「会社で働く」とは《前編》

INAX

  • 高嶋 健夫

バックナンバー

2010年5月6日(木)

  • TalknoteTalknote
  • チャットワークチャットワーク
  • Facebook messengerFacebook messenger
  • PocketPocket
  • YammerYammer

※ 灰色文字になっているものは会員限定機能となります

無料会員登録

close

 日本企業に共通する経営風土の1つに、「家族主義的な団結力」が挙げられるだろう。同じ価値観を共有する優秀で均質な社員たちが、全社的な目標に向かって一致団結して行動することが、長らく「成長力の源泉」になってきた。グローバル化への対応、IT(情報技術)化の推進、法令遵守や企業統治を重視した経営情報の可視化など、環境変化に対応した経営変革を迫られながらも、「和」を重んじる伝統的な日本企業の本質は今も変わっていない。

 「障害のある会社員」にとって、こうした経営風土や企業体質は、組織の一員として働くうえで“両刃の剣”であるように思える。ひとたび仲間として受け入れてもらえれば、家族的で温かい応援・サポートの下で活躍の場を広げることができる。だか、そこにたどり着くまでのハードルは、健常の社員のそれよりも一段と高く、険しい。

 今回は、伝統ある大手企業の中で道を拓いてきた2人のベテラン社員にスポットを当てる。1人は、住設機器大手のINAXで「リフォームコンサルタント」として活躍する高橋秀子さん(車いす使用者、勤続16年)。もう1人は、歯磨き・洗剤など家庭用品大手、ライオンのお客様センターに勤務する平塚秀人さん(全盲、勤続18年)。両氏はともに、自らの障害を武器に変えてオリジナリティーあふれる仕事で実績を積み上げ、今では「職場になくてはならない戦力」として上司や同僚から全幅の信頼を獲得している。

 JR新宿駅から徒歩5分ほど、甲州街道沿いに立地する「INAX新宿ショールーム」。9階建てビルの1~4階を使って、キッチンやトイレ、浴室など同社の主要製品を一堂に展示、約50人のアドバイザーが常駐して、新築・リフォームの相談や商談に対応する、フラッグシップ的な大型ショールームの1つだ。

今時のリフォーム需要に最適の人材

 二級建築士の資格を持つ高橋秀子さんは、このショールームで唯一人、「リフォームコンサルタント」の肩書きを持つ専門スタッフだ。重度のリウマチ患者である高橋さんは下肢に障害があり、電動車いすを使用している。手も少し不自由だ。だが、現在の仕事にとっては、そうした体の障害はむしろ武器の1つになっている。

INAX新宿ショールームの「リフォームコンサルタント」である高橋秀子さん。「リフォーム相談カウンター」にて(写真:高嶋健夫、以下同)

 最近のリフォーム需要の大きなテーマは「バリアフリー対応」だ。「二世帯住宅を建て、田舎で暮らす親を呼び寄せたい」「老齢の親を自宅で介護するために全面リフォームしたい」「夫婦のどちらかが寝たきりになってもいいように、元気な今のうちに自宅を改修したい」――高齢化が加速する中で、そうしたニーズが急速に高まっている。同ショールームにも、その種の照会が引きも切らない。

 「障害のあるリフォームコンサルタント」である高橋さんには豊富な専門知識に加えて、自分自身の日常的な生活体験に裏付けられた“生きたノウハウ”がある。そんな高橋さんのコンサルティング対応とリフォーム提案は「実践的で説得力がある」と顧客からも高い評価を得ているのだ。

 長年同じショールームで一緒に働き、この4月からは高橋さんが所属する約10人のチームのチーフとしてマネジメントする立場になった北村夏生子(かおこ)アドバイザーも「新宿ショールームにとって欠かすことのできない大きな存在」と一目置く。

 高橋さんは大きく分けると、2つの仕事をこなしている。第一は、建築設計事務所、工務店、水道関係の施工業者など同社の取引先となる外部の専門家へのコンサルティング。第二は、ショールームに勤務している50人のアドバイザースタッフの後方支援業務だ。

 中でも重要な仕事は、前者の「建築のプロを相手にしたコンサルティング」である。施主からの新築・改修の依頼を受けた建築士や工務店から寄せられる様々な相談や問い合わせに対応する仕事だ。図面を引く前段階での基本的な相談に始まり、設計段階での図面の確認や修正すべき点についてのアドバイス、さらには具体的な商品選びに至るまで、コンサルティングする内容も幅広い。

 「一口にバリアフリー改修といっても、介護が必要なご家族の方の病状や障害の程度はもちろん、家族構成やライフスタイルそして予算まで、お客様の事情によって中身は千差万別。設計事務所や工務店の専門スタッフはさすがにバリアフリーの基礎的な知識は持っていますが、実際にそれをどう図面に落とし込むか、どこにどんな設備を導入したらよいか、といった実務的な点まで分かる人は、プロの中にも少ないのが現状です」と、高橋さんは説明する。

「建築のプロ」にバリアフリー対応を“伝授”

 そんな高橋さんを頼って、わざわざ施主さんを同行してショールームを訪ねてくる建築士も多い。そうした時には顧客の希望や状況を確認して、自らデモンストレーションすることも厭わない。例えば、浴室のモデルルームに案内して「なぜ、この場所に手すりが必要なのか」を、実際に自身がモデルとなり、車いすから浴槽の「またぎ」を乗り越えて湯船に身を沈めるまでを実演しながら説明する。車いす使用者の高橋さんの説明や改修提案が、健常者のアドバイザーのそれより説得力があるのは当然だろう。

コメント1

「障害者が輝く組織が強い」のバックナンバー

一覧

日経ビジネスオンラインのトップページへ

記事のレビュー・コメント投稿機能は会員の方のみご利用いただけます

レビューを投稿する

この記事は参考になりましたか?
この記事をお薦めしますか?
読者レビューを見る

コメントを書く

ビジネストレンド

ビジネストレンド一覧

閉じる

いいねして最新記事をチェック

閉じる

日経ビジネスオンライン

広告をスキップ

名言~日経ビジネス語録

企業や官公庁の幹部のメールボックスの内容が、まるごと数十万〜数百万円で売られている事例もある。

名和 利男 サイバーディフェンス研究所上級分析官