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医薬品を販売する適正なルールとは何なのか

ネットを快く思わない風潮が議論を歪めた

  • 後藤 玄利

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2010年5月7日(金)

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 薬事法はなぜ改正されることになったのか。そして、なぜ医薬品のネット販売禁止へと続いていくことになったのか。そこに至るまでには、長い歴史が存在している。

 今回、問題となった一連の薬事法改正へとつながる議論がわき上がったのは2004年頃のことである。

 それまで薬事法は1960年の公布以降、50年近くも改正されることなく、粛々と続いていた。そのため、50年前には想定されていなかったような時代の変化に、全く追いついておらず、実態と法律との乖離が問題となっていた。

 中でも改正へとつながる大きなきっかけとなったのは、以下の2つの問題であったと私は理解している。

1. ドラッグストアにおける、薬剤師不在問題
2. テレビ電話を使用した、薬剤師による遠隔での情報提供問題

 これらが、結果として、薬事法を約50年ぶりに改正させようとするきっかけとなったのだ。順に見ていこう。

薬剤師の店頭常駐は明記されていなかった

 まずは「ドラッグストアにおける、薬剤師不在問題」だ。1990年代以降、全国チェーンのドラッグストアが台頭し、その店舗数をどんどん増やしていた。そして、かつての小規模で家庭的な、いわゆるパパママ薬局と呼ばれたような“お薬屋さん”としての薬局の姿を一新し、化粧品や日用雑貨など生活用品全般を扱う店舗へと変貌させた。

 併せて、こうしたドラッグストアが「セルフメディケーション」という概念を積極的に推し進めたことで、消費者の考え方も変化した。消費者は、ほかの生活雑貨と同じように、必要な医薬品を自ら選択して買い物かごに入れ、レジに運び、速やかに会計を済ませて店を後にするようになった。そして店舗側にとっては、いかに売れる商品を安く取り揃え、効率よく速やかに来店客にレジを通過させるかが、サービス面での勝負になったように思う。

 一方、問題となったのが、医薬品を扱ううえでの薬剤師の確保だった。

 当時、チェーン展開するドラッグストアの多くが、薬剤師をほとんど配置していないという実態があった。多店舗展開により急成長を続けていたために、薬剤師が慢性的に不足していたのだ。

 そのことを問題視した厚生労働省は、「通知」の形で、ドラッグストアに薬剤師を常駐させようと試みた。しかし、それは難しかった。なにしろ旧薬事法においては、薬局・店舗は「薬剤師が管理せよ」とはうたっているものの、「店頭に常駐せよ」とは明記されていなかった。そのため、仮に薬剤師がほとんど姿を見せなくとも、法的な問題は一切なかったのだ。

 そのうえ、多店舗展開をするドラッグストアにとっては、たとえ十分な数の薬剤師を確保できたとしても、国家資格者である薬剤師の高額な人件費がボトルネックとなることは、目に見えていた。

 それらの理由から、ドラッグストアにとっては、薬剤師をすべての店舗に常駐させるということは、極めて困難な状況であった。そのようにして、薬剤師が店舗にほとんど顔を出さないドラッグストアが、どんどん増えていった。

 厚労省が、いくら通知によって、ドラッグストアに薬剤師を常駐させようと試みたとしても、法律に基づかない通知には拘束力がないから、従わせることはできない。だからといって“行政指導”などで強行したり、薬剤師の常駐を省令などで法令化したりすれば、今ケンコーコムやウェルネット(横浜市)が訴訟を起こしているように、ドラッグストアから訴訟を起こされる懸念もあったかもしれない。厚労省にとっては頭の痛い問題だったはずだ。

 一方でドラッグストアにしても、薬剤師の店舗常駐を義務づける内容の通知には、「法的根拠がない」と言い張りつつも、厚労省が強硬手段に出てくる可能性を危惧していたことは容易に想像できる。互いにとって、薬事法改正をも視野に入れた、何らかの対応が必要な時期に差しかかりつつある、という認識が生まれたのではないかと思う。

厚労省とドラッグストアが対立した時期もあった

 次に、「テレビ電話を使用した、薬剤師による遠隔での情報提供問題」である。これは、量販店大手であるドン・キホーテが始めた新サービスによって注目を集めた。テレビ電話を使い、薬剤師が1カ所から複数店舗に向けて情報提供をする“センター薬剤師方式”とも言える、新たな取り組みの登場だった。

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