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第16回 近い将来、日本中がリストラになる

<識者に聞く>あなたの「生きるチカラ」の鍛え方

  • 武田 斉紀

バックナンバー

2010年5月10日(月)

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(前回の「もはや独立・起業は、働く人すべての問題だ」から読む)

 5年、10年先の自分自身のために今日からできることは何なのか。独立・起業を希望する人たちを支援する『NICe(起業支援ネットワーク環境整備事業:ナイス)』の増田紀彦氏に話を聞いた。

増田紀彦氏の写真

増田紀彦(ますだ のりひこ)氏
(社)起業支援ネットワークNICe理事長、(株)タンク代表取締役社長、NPO法人キープラネット副理事長
1959年生まれ。1987年、株式会社タンク設立。1997年、起業・独立・新規事業を応援する情報誌「アントレ」創刊に参加。2007年~09年、経済産業省委託事業・起業支援ネットワークNICeのチーフプロデューサーを務める。また中小企業大学校講師、「女性と仕事の未来館」講師なども歴任。著書に『起業・独立の強化書』(朝日新聞社)、『正しく儲ける「起業術」』(アスコム)。ほか共著も多数。 毎年、講演やセミナーを通じて1000人以上の経営者や起業家と出会い、アドバイスと激励を送り続けている

今後、全国規模でリストラの進む日本

武田:増田さんはこの3月まで、『NICe(起業支援ネットワーク環境整備事業)』という経済産業省の事業を受託して、日本全国の独立・起業を希望する人たちをたくさん支援してこられたわけですが、その背景にはどんなことがあったのですか。

増田私は日本社会が、近い将来、多くの人を雇いきれなくなると見ています。経済が右肩上がりではなくなっていますし、バブル崩壊やリーマンショック後には企業側が採用する人材も変わってきています。景気がよくなれば人を採るという発想から、もう幹部しか採らないという発想に変わってきている。大学新卒がかつてのような売り手市場のようになることは、もうないでしょう。

武田:日本のGDP(国内総生産)を抜いて今年世界第2位になることが確実な中国の成長率をはじめ、新興国の成長を見るにつけ、相対的に日本が追われる立場にあることは間違いないですね。日本の独り勝ちの時代はとっくに過去のものになっているし、大幅な成長も残念ながらイメージできません。

増田:そうなると雇用環境も、高度成長期以前の1950年代に戻らざるを得ないのです。社会の教科書に、「日本には1回就職したらおじいさんになるまで働けた時代があった」と載る日も遠くないと思いますよ。そこで、人を雇いきれなくなって爆発してしまう前に、何とか日本の社会を支えられないかと考えて、この4月に社団法人『起業支援ネットワークNICe』を立ち上げました。

武田:雇用してもらって、定年まで毎月一定額以上のお給料をもらえるという時代ではなくなってくる、独立や起業を余儀なくされてくる、ということですね。まるで全国規模でリストラがされるようなイメージです。それが本当だとすると、雇用されている人たちはどんな準備をしていけばいいのでしょうか。

増田:その時に自分で価値を創造できる力、小さくても自分で市場を獲ってくる力がないと個人も生きられないし、社会全体もダメになる。起業したら得とかそういう話ではないのです。世の中があっちにいってもこっちにいっても、己の才覚で最低限メシが食えるという力を磨いておく必要が絶対にある。

武田:雇用のある今のうちに、「生きるチカラ」を鍛えていきましょうということなのですね。

自立した個人による新しい社会

増田:独りで価値を創造できて、市場を獲ってこられる自立した存在になれれば、ベースさえできれば安定していきますよね。大手企業でも明日はどうなるかわからない時代ですから、どちらが安定しているでしょうか。個人の自立にはほかにもよい側面があります。自立している者同士は、互いに個として尊敬し合え、励まし合えます。一人ひとりがちゃんと立てる力を持った上で組む、一緒に頑張ろうとなっていけば、社会としての根源的な強さも再生できると思うのです。

武田:自立への痛みがあるが、その先にはもっと個人に立脚した強い社会が生まれる、と。もはや働く上で個人としての自立は、働く人すべての問題といえるのですね。その具体的な形が「独立・起業」だと。

増田:はい。『NICe』が対象としているのは、すでに独立・起業した人ばかりではありません。会社員も公務員も農家の方も、自立に向けて動き出そうとする人をすべて応援します。キャッチフレーズは「つながり力の強化」です。入口はネットのよさを生かしたSNS(ソーシャル・ネットワーク・システム)がベース。リアルでは知り会えなかったであろう異なる業界、地域の人同士がこの場を使って出会える。自立に向けた勇気も、知恵も得られます。交流によって社会で生き抜いていくための根源的なセンスの共有をめざします。

武田:SNSだけだとなかなかリアルな交流は進まないですよね。

増田:そのためにリアルな場も用意します。これまでにも札幌から鹿児島までほぼ全国で56回のイベントを開催しました。リアルで会うのは、文通していた相手に会うような感激があるようです。3月に東京で開催したときは、ずいぶん首都圏以外からも仲間が集まりました。往復の交通費は自腹で、夜行バス、電車、飛行機といろいろですが、同じような志をもった仲間に会いたくてやってきます。

武田:それはすごい。自立に向けてすでに歩き始めている人が全国にいっぱいいるのですね。彼らはふだんSNSで情報交換していて、会いたくなれば個別にも会えるし、いつでも相談できるわけですね。『NICe』が最終的にめざしているところを教えてください。

増田:2010年が終わって2020年になるまでには、「あのナイスがなかったら今の日本は変わっていた、やばかったよね」と言われるくらいまでをめざしています。10年かけていたら遅いかもしれません。

* * * * * * * * * * * * * *

 今回のコラムシリーズ「武田斉紀の『よく生きるために働く』」で、これまでに取り上げてきたテーマを以下にご紹介します。

 雇われて働く社員の方、個人としての生き方を模索している方には、今後の生き方を考えるための視点として。また、経営者や管理層の方には、会社を運営していくうえで、社員が生き生きと働くための、また業績向上のためのヒントとしてご活用ください。

【これまで取り上げたテーマ】

第1回 子どもに「大人はなぜ働くの?」と聞かれたら

第2回 「どんな仕事にもやりがいは見つかる」は本当か?

第3回 仕事の「やりがい」と「生きがい」は別?

第4回 仕事の「誇り」の見つけ方

第5回 「あなたの替わりならいくらでもいる」

第6回 明日クビになったらどうします?

第7回 【続編】明日クビになったらどうします?

第8回 あなたはオンリーワンの自分に気づいていない

第9回 あなたのキャリアをA×B=スペシャルCに変える

第10回 【後編】あなたのキャリアをA×B=スペシャルCに変える

第11回 「私の履歴書には専門性がありません!」

第12回 変化の時代を生き抜くための「5つのスキル」

第13回 【後編】変化の時代を生き抜くための「5つのスキル」

第14回 いま“愛社精神”が日本を救う

第15回 もはや独立・起業は、働く人すべての問題だ

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