本連載のタイトルは、「百貨店が復活する日」です。
え、復活するわけないだろうって?
左様、現在、百貨店を取り巻くニュースは酷いものばかりです。有楽町で、池袋で、吉祥寺で、京都でと大消費地の店舗が続々と潰れ、リストラをやむなく慣行し、けれども日本の国内消費が一向に回復しないので、どの策も焼け石に水。
ああ、かつて流通の王として君臨した百貨店はもはや見る影もない。

けれども、涼しい顔で「百貨店、復活できますよ」とおっしゃる方がいらっしゃる。それが本連載に登場する松岡真宏さんです。
松岡さんは1990年代から2000年代前半にかけて、外資系証券会社にてナンバーワン流通アナリストとして広くその名が知られていました。切れのいい分析力と何より流通業界に対する深い愛情が買われ、産業再生機構に参加、ダイエーの建て直しのチームに加わり、自ら現場の店頭に立って陣頭指揮にも当たり、ダイエーの再生が一段落したのち、現在では企業再生とM&A(合併・買収)を専門とするコンサルティング会社であるフロンティア・マネジメント(東京都千代田区)の代表取締役を務めています。
流通業を、アナリストとして、コンサルタントとして、企業再生の経営陣の1人として経験してきた松岡さんの「百貨店復活」のあっと驚くお話、それではお聞きいたしましょう。
―― 松岡真宏さん、「百貨店が復活する」とおっしゃいますが、現状を見るとぼろぼろです。
最近では、伊勢丹吉祥寺店が閉店し、西武有楽町店も2010年12月の閉店が決まりました。とても復活するとは思えないのですが?
松岡 真宏(以下、松岡) 確かに、百貨店の業績は極めて悪い。でも、なぜ悪いのか、その理由がちゃんと説明されていません。日本の消費市場が冷え込んでいるから、と一言で片付けられていますね。
本当にそうでしょうか。1990年のバブルピーク時の日本の消費支出と2006年とを比較すると、1990年100に対して、2006年は95。たった5%しか落ちていません。となると、百貨店がこれだけ苦境に陥る理由としてはいささかパンチが足りません。
日本はアメリカよりファッションに消費しない
―― じゃあ、何が百貨店を苦境に陥れたんですか?
松岡 ここに面白い数字があります。同じく1990年の日本の消費支出のうち、衣料アパレルの消費は何%を占めていたか? 7.4%です。それが2006年になると、なんと4.3%まで落ち込む。1990年の衣料アパレル消費を100とすると、2006年の消費は55。この20年近くで、日本人のファッション市場は金額ベースで半分になってしまったのです。
- 消費支出に占める割合
- (単位:%)
| 食料 | 衣料 | 住居・光熱 | 家具・用品 | 保険医療 | 交通・通信 | 教育 | 娯楽 | |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 1990年 | 25.4 | 7.4 | 10.3 | 4.0 | 2.8 | 9.5 | 4.7 | 9.7 |
| 1991年 | 25.1 | 7.3 | 10.6 | 4.1 | 2.8 | 9.3 | 4.3 | 9.6 |
| 1992年 | 24.7 | 7.0 | 11.0 | 3.9 | 2.8 | 9.3 | 4.6 | 9.8 |
| 1993年 | 24.3 | 6.7 | 11.3 | 3.7 | 2.9 | 9.9 | 4.5 | 10.0 |
| 1994年 | 24.1 | 6.3 | 12.0 | 3.9 | 2.9 | 9.8 | 4.7 | 9.9 |
| 1995年 | 23.7 | 6.1 | 12.5 | 3.8 | 3.0 | 10.0 | 4.7 | 9.6 |
| 1996年 | 23.4 | 5.9 | 12.9 | 3.7 | 3.1 | 10.6 | 4.5 | 9.9 |
| 1997年 | 23.5 | 5.8 | 13.0 | 3.6 | 3.2 | 10.4 | 4.6 | 9.9 |
| 1998年 | 23.8 | 5.5 | 12.6 | 3.6 | 3.4 | 10.6 | 4.5 | 9.9 |
| 1999年 | 23.7 | 5.4 | 13.0 | 3.6 | 3.5 | 10.7 | 4.2 | 10.3 |
| 2000年 | 23.3 | 5.1 | 13.3 | 3.5 | 3.6 | 11.5 | 4.4 | 10.1 |
| 2001年 | 23.2 | 4.9 | 13.3 | 3.6 | 3.8 | 11.8 | 4.2 | 10.1 |
| 2002年 | 23.3 | 4.7 | 13.4 | 3.4 | 3.8 | 12.0 | 4.2 | 10.1 |
| 2003年 | 23.2 | 4.6 | 13.6 | 3.4 | 4.1 | 12.4 | 4.3 | 9.9 |
| 2004年 | 23.0 | 4.4 | 13.3 | 3.3 | 4.0 | 12.9 | 4.4 | 10.2 |
| 2005年 | 22.9 | 4.4 | 13.6 | 3.3 | 4.3 | 12.9 | 4.2 | 10.2 |
| 2006年 | 23.1 | 4.3 | 13.7 | 3.3 | 4.3 | 12.8 | 4.3 | 10.2 |
出所:総務省『家計調査統計』よりフロンティア・マネジメント作成
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フロンティア・マネジメント代表取締役。野村総合研究所、バークレイズ証券、UBS証券で10年以上にわたり、流通業界を中心に証券アナリストとして活動。2003年に産業再生機構に入社、マネージングディレクターとしてカネボウやダイエーなどの再生計画の立案・実行を担当した。2007年より現職。主な著書に『







