• BPnet
  • ビジネス
  • IT
  • テクノロジー
  • 医療
  • 建設・不動産
  • TRENDY
  • WOMAN
  • ショッピング
  • 転職
  • ナショジオ
  • 日経電子版

我が魂の鉄筋コンクリート――建築家・鉄川與助

――常識の源流対論・鉄川 進氏(その2)

2010年5月18日(火)

  • TalknoteTalknote
  • チャットワークチャットワーク
  • Facebook messengerFacebook messenger
  • PocketPocket
  • YammerYammer

※ 灰色文字になっているものは会員限定機能となります

無料会員登録

close

(前回「江戸から現代まで30年で駆け抜けた長崎」から読む)

電化以前の環境設計を考える

伊東 乾(以下、――) 僕ら音楽家の立場と興味というのは、石造りの教会は基本的に振動で考えると「固定端」になっていて、例えば石造りのロマネスク聖堂はどう響くか、その環境がゆりかごとなってどうしてグレゴリオ聖歌や初期のポリフォニーが生まれたか、といったことを、パリやミラノ、ボローニャなんかで考えているわけですが、実は壁の表面材1つでえらく変わっちゃうわけですよね。

鉄川 進(以下、鉄川) そうですね。

鉄川 進(てつかわ・すすむ)氏

鉄川進一級建築士事務所代表取締役。1956年9月生まれ。79年、長崎大学工学部構造工学科卒業。2002年、長崎大学大学院海洋生産科学研究科修了。錢高組、鉄川工務店を経て、2004年より現職。「長崎の教会群を世界遺産にする会」の設立発起人、長崎市都市景観審議会委員、長崎県美しいまちづくりアドバイザー、長崎大学工学部非常勤講師、長崎県建築士会長崎支部支部長なども務めている。 (写真:増田 泰久、以下同)

―― 布なんか1枚敷いちゃっただけで全然変わってくるんですけれども。一方で仏教でも、これは浄土真宗から入っていますが、須弥壇の置いてある、真宗は宮殿(くうでん)と言いますけれど、内陣のど真ん中では、ちょうど能舞台と同じように、床板自身がすごく鳴るように造ってあるんですね、これは偶然の経緯で見つけたんですが。

 工学院大学教授の後藤治さんにお伺いしても、音響振動体としての日本木造建築、なんて研究はぜんぜんないということなので・・・もちろん有名な例ではうぐいす張りの廊下とか、鳴き龍とか、個別のものはあるんですが、系統だったものはないらしいので、我々のグループとしては「インパルス応答」という手法などを使ってヒト両耳聴の脳認知をベースに考えますが、測定はまだまだ入り口で、実は起こっている現象はとても深いわけですよね。

鉄川 そうなのですか。

―― ええ石造りの、例えばヨーロッパのロマネスク聖堂でうまく響くようなことを考えてゆくと、我々はポリフォニーと呼んでいるんですが、最終的にド、ミ、ソの音楽ができてくる。これは実際にノートルダム大聖堂という特定の建築物の改築史と対照して確認することができます。というか昔、博士論文を書いた時、ちょっとこれに触れたのが、僕にはコトの始まりだったんですね。友人というか芸術上の先輩の建築家、磯崎新にたぶらかされたという側面もあります。

 で、木造の寺院では、全く違う宗教音楽の発達の仕方をしていて、それは環境も風土も違うから当然なわけですね。

 しばらく前に真宗大谷派、名古屋教区の有志の方々から、最初「歌を作曲してくれないか」というご相談をいただいたのですが、お寺のご本堂で歌うのに「ドミソの音楽」いきなり、は竹に木を接ぐことになりますよ、といったんお話を宙吊りにさせてもらって、普段唱えておられる南無阿弥陀仏のお念仏、声明やご和讃を雅楽で伴奏し直す、日本の空間で可能な、欧州ならミサとかレクイエムに相当するものを作る、っていうのなら、お役に立てると思うんですが、とお話して、実際に「清浄楽法要」というものをやることになりました(6月26日、名古屋東別院)。

 これはただ単に紙の上で音符を書くとか、そういう素人じみたことでなくて、ご本堂の中で雅楽がどう響くかとか、坊さんのどういう声がどこまでノーマイクで伝わるかとか、いろんなことを検証し直さなきゃできないわけです。

 やっぱりお寺とか教会という器があって、そもそもは電気なんか通っていない時代が何百年もあって、そこで養われてきたものがあるわけです。これを、まずフィールドワークをやって、次に空の建物のインパルス応答で調べて、今度はパイプオルガンをいろんな状況で弾いてみて、それらのダイナミクスをきちんと調べて・・・という、気が長くなきゃできませんが、そういうことを結論ありきじゃなくて、地味な積み重ねで。どういう響きなのかなというのは、行ってみなければ決して分からない。

鉄川 私の感覚でいうと、最初、先生からメールをいただいた時に思ったのが、要は構造的な問題はありますし、それは外側にレンガの壁があった方が共振はしにくいでしょうけど、ただ、人間の声ぐらいで共振するわけはないわけで。そうすると、内装材と形状の問題だけですよね。

コメント1

「伊東 乾の「常識の源流探訪」」のバックナンバー

一覧

日経ビジネスオンラインのトップページへ

記事のレビュー・コメント投稿機能は会員の方のみご利用いただけます

レビューを投稿する

この記事は参考になりましたか?
この記事をお薦めしますか?
読者レビューを見る

コメントを書く

ビジネストレンド

ビジネストレンド一覧

閉じる

いいねして最新記事をチェック

日経ビジネスオンライン

広告をスキップ

名言~日経ビジネス語録

意外なことに、伝統的な観光地が 訪日客の誘致に失敗するケースも 少なからず存在する。

高坂 晶子 日本総合研究所調査部主任研究員