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収入激減! それで人生まで“無意味”になった?

週刊誌の記事で改めて考えた働くことの意義

2010年5月13日(木)

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 「給料っていうのは、右肩上がりに上がっていくものと思っていたんだけど、世の中変わっちゃったよね~。あと3年でリタイアだっていうのに、この年になって下がるなんて考えてもいなかった。年収にすると200万円は下がった。大変な世の中になってしまったね」

 これは先日、知り合いの男性がふと漏らした言葉である。

 仕事から“希望”がなくなり、「仕事=ストレス」という方程式が当たり前になってしまった今の世の中。頑張ったからといって給料が上がるわけでもなければ、出世が期待できるわけでもない。50代になれば悠々自適に過ごせたのは、もはや遠い過去の話だ。

 どんな大企業であれ何が起きるか分からない。どんなに出世しても、リストラされないという保証はない。いつの間にか会社の人間関係もギクシャクし、何を信じ、どんな希望を持って働けばいいのか、どんな働き方をしたらいいのか、そんなことさえも分からなくなってしまった。

 ストレス、うつ病、過労死、派遣切り、上司と部下のコミュニケーションレス…。現代の仕事に関連するキーワードは、ネガティブなものばかりである。

 そんな現実を「時代が変わったから…」と誰もが釈然としない思いで受け入れ、「仕事だけに人生を賭けるなんて時代遅れだ」と誰もが言う。仕事に働きがいを求めたり、仕事に何かを期待したりすることが、タブ―視されているのが今の世の中なのだ。

「会社は人間の欲求を満たす最適の場所」と語ったマズロー

 「すべての人間は無意味な仕事より、有意義な仕事を好むものである。仕事が無意味であれば、人生も無意味なものになる」

 これは心理学者でありながら、経営学に強い影響を与えたA・H・マズローの言葉である。

 彼は人間の欲求を、「生理的欲求」「安全への欲求」「社会的欲求」「尊敬への欲求」「自己実現の欲求」という5段階のピラミッドで示した。さらに、「ユーサイキアン・マネジメント(働く人々が精神的に健康であり得るためのマネジメント)」という造語を作っている。

 「個人の成長という観点から見た場合、企業は自律的な欲求充足に加えて、共同的な欲求充足をもたらすことが可能であり、この点において心理療法に勝っている。私の知る幸福な人々は、いずれも自分が重要と見なす仕事を立派にやり遂げている人である」

 こう説いたマズローは,企業を人間の様々な欲求を満たすために最適な場所であると位置づけ、最も高次の欲求である「自己実現の欲求」を充足するためには、仕事が必要不可欠な要素だと考えた。

 そして、「重要で価値ある仕事をやり遂げて自己実現に至ることは、人間が幸福に至る道」であるとして、「仕事が無意味であれば人生も無意味なものになる」と結論づけたのである。

 このマズローの仕事に関する解釈を真摯に受け止める人が今、どれだけいるだろうか。

 「少しでも働きがいを感じたい」「少しでも自分の能力を発揮したい」「少しでもいい人間関係の中で働きたい」──。

 誰もが本当はこうした気持ちを持っているはずなのに、マズローの言葉が「きれいごと」にしか聞こえないほど、“現代の仕事”はネガティブにとらえられているように思う。

 思い返せば世間がバブル景気に浮かれ、「新人類」と冷やかされた世代が就職した頃は、「自己実現のため」に仕事があり、よく働き、よく遊ぶことがカッコイイと考えられていた。「24時間戦えますか?」というキャッチフレーズを用いたドリンク剤のCMがヒットし、「ヤンエグ」なる言葉が流行り、「5時から男」のコピーそのままに夜まで元気なビジネスマンがたくさんいた。

コメント6件コメント/レビュー

懐古記事の本旨が判りませんが、「仕事は人生の一部」に過ぎません。過労死が危険視される月残業80時間でも、フルタイム労働者なら週休二日で合計月240時間労働、通勤片道2時間(往復4時間)としても仕事拘束時間が320時間、一方で1ヶ月720時間なのでまだ半分に満たないのです。仕事が優先など幻想に過ぎません。(2010/05/13)

「河合薫の新・リーダー術 上司と部下の力学」のバックナンバー

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「収入激減! それで人生まで“無意味”になった?」の著者

河合 薫

河合 薫(かわい・かおる)

健康社会学者(Ph.D.)

東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(Ph.D)。産業ストレスやポジティブ心理学など、健康生成論の視点から調査研究を進めている。働く人々のインタビューをフィールドワークとし、その数は600人に迫る。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

懐古記事の本旨が判りませんが、「仕事は人生の一部」に過ぎません。過労死が危険視される月残業80時間でも、フルタイム労働者なら週休二日で合計月240時間労働、通勤片道2時間(往復4時間)としても仕事拘束時間が320時間、一方で1ヶ月720時間なのでまだ半分に満たないのです。仕事が優先など幻想に過ぎません。(2010/05/13)

先日イギリスのブラウン首相の辞任会見をTVで見たが、「私の2番目の使命は終わったが、まだ1番目が残っている。いい夫、いい父親として役目を果たして生きたい」と語ったことに共感を覚えた。仕事は生き甲斐としても生活の糧としても重要だが、家庭生活の基盤あってこそということであり、欧米人の芯の強さを表していると思う。しかるに日本人はどうか。仕事に自分を投影しすぎて、共倒れになる愚だけは避けなければならないと思う。(2010/05/13)

バブル世代なので、過去データを懐かしく拝読しました。私も未だにバブル期の収入額を越えることが出来ません。もっとも当時は消費に夢中で資産形成するどころでは無く、残りも所得税でほとんど持っていかれました。経済的特異点は既に国外に移動していますから、もう日本国内に薔薇色の時代は当分来ないでしょう。これからは如何に少ない収入で、安定した生活を維持するかという、英国的なライフスタイルを指向するべきだと思います。(バブルに浮かれる上海から)(2010/05/13)

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