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正攻法で主張するも、全く向き合ってもらえなかった

「規制反対」が多数のパブリックコメントも反映されず

  • 後藤 玄利

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2010年5月14日(金)

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 薬事法改正にまつわる、2004年から始まる歴史を改めて振り返ると、見えてくるものはとても多い。

 今思うと、新参者であった自分たちがどれだけ「医薬品通販規制はおかしい」と訴えを続けようと、恐らくは既存業界の思惑が周到に根回しされることによって、“強固な要塞のように仕上がった”改正薬事法の建て付けに入り込むのは困難であったと感じる。

 このようなことを認めるのははなはだ遺憾であるが、我々はあまりに“正攻法過ぎた”のだ。

 そもそもの入り口から、我々は間違ってしまっていた。

誰のために薬事法を改正したのか?

 薬事法の改正に関わることだからと、我々は厚生労働省にばかりコンタクトをとっていた。厚労省はもちろん、正規の窓口ではあった。しかし、そこから先へは、なぜか緩衝材にやんわりと包まれて跳ね返されるかのように、いつものらりくらりとかわされて、時が過ぎてしまっていた。

 この件については、真正面から正攻法でぶつかるのではなく、“裏口”からの立ち回りが必要だったのだ。

 2008年頃、改正薬事法に関する議論も終盤になった時期に、ある知人から「日本チェーンドラッグストア協会へは相談に行ったか」と言われて、初めてその“裏口”がどこであったかを知った。

 しかし、それを知ったタイミングでは、既に手遅れの段階になってしまっていた。

 我々は、“裏口”の重要性を認識しきれないまま、2004年からずっと、厚労省という正面玄関の扉を叩き続けた。その一方で、改正薬事法のからくりは、その“裏口”からのしっかりとした根回しを経て、既存の業界にとって都合のよい内容に、着々と整えられていた。

 改正薬事法に関し、有識者たちが議論を戦わせた検討部会も、言うなれば、根回しを経たうえでシナリオ通りに演じられていた、といっても過言ではないと私は考えている。

 ただ、最後に医薬品ネット販売規制に反対する声が想定よりも大きくなってしまったことだけが、当初の筋書きから外れた事象だったのだろう。だが、何はともあれ、ほぼ予定通りの内容で、改正薬事法は無事に施行された。

 改正薬事法は、特に日本チェーンドラッグストア協会にとって、たいへん都合のよいものになっている。

 改正薬事法以前は、ドラッグストアは、医薬品を販売していながら、医薬品の専門家が不在であるという状況の改善を求められていた。しかし薬の専門家である薬剤師は、慢性的な人員不足と高い人件費から、その雇用の拡充は難しい状況であった。

 それが改正薬事法で、登録販売者という新しい資格が誕生したことによって、自分たちの店舗スタッフを、登録販売者という薬の“専門家”にそっくり昇格させることに成功した。これで、店舗における薬剤師不在問題を、薬剤師を雇用するための多大なコスト負担や人材確保に困窮することなく、やってのけることができたのである。

 しかもこの資格制度は、ドラッグストアや医薬品業界以外の人材は、なかなか登録販売者の資格を取ることができないように巧みに仕組まれており、異業種からの参入を困難にしている。

 登録販売者は、薬剤師のように大学で薬学部を卒業している必要はない。いくつかの条件を満たせば、試験を受験してその資格を取得することができる。しかし、その受験条件の1つに、薬剤師の管理の下で1年以上の勤務経験が必要という項目が含まれているのだ。従って、試験を受けられるのは、ほとんどがドラッグストアの社員やアルバイト店員のみ、という仕組みになっている。

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